「「本質を見抜く」」オブリビオン ISSIさんの映画レビュー(感想・評価)
「本質を見抜く」
NHKで「オブリビオン」をやっていたので見た。とても面白い映画だったが、ストーリーに大~小まで細々矛盾がありネットで指摘されているが、僕の思う最大の矛盾は誰も指摘していない。
人は、大きい矛盾・相手の立場にならないと気付かない矛盾 ほど見落としがちである。
最大の矛盾は製作者サイドは当然分かっているが、それがストーリーのネック(どんでん返し)になるので改善できない。
小さな問題で、その最大の矛盾をマスキングしている。
ネットはまんまと制作側の小さな問題に引っ掛かっている。
【ネタバレ】
それは、
過去の地球を攻め滅ぼしたクローンは、感情の無い殺人兵器で、
主人公のクローンは、同じ人のクローンなのに、人間的感情もあれば、過去の断片の記憶もある。
なんで、わざわざ 出来損ないクローン(侵略側から見たら)を、偵察役にしたのか?
もう一つ、
侵略側が突然、経済的に、みみっちくなる。
地球まで来て 月まで破壊する 大量殺人クローンで地球環境・人類滅亡をギリギリまで追い込む。
なのにその後(映画本編の物語)、殺人クローンでなく、出来損ないのクローンに地球を管理させ、ドローンもけちるし、最後の人類を、見つけては、ちびちび殺して行く。
訳が分からない。
人間全部一掃してから海水汲めよ!ってことだ。何で最後にちょっとだけ残して、変な事するのか?
映画はそこから始めるから、その視点に立って、映画を見始めさせて、どんでん返しにする為である。
その為にかなりの矛盾を作ってしまった。
相手の立場(宇宙人側)で考えられない人にはこの矛盾は気付けない。
ネットでの最大の指摘ポイント(これは製作者サイドの意図的ひっかけ問題)ラストの「旦那は別のクローンでOKなのか?」ってポイントだが、
人のアイディンティティーを記憶・精神に求めるか?肉体(別のクローン)に求めるか?である。
人間は2か月ぐらいでほぼ細胞は入れ替わってしまう。
肉体にアイデンティティを求める人の2か月前のアイディンティティー(肉体)は、トイレの汚水の中である。
人間だれしも、2か月前のクローンだけど、って話である。
この映画は「本質を見抜く」練習としてはとても良い問題になると思う。