オブリビオン : 映画評論・批評

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オブリビオン

劇場公開日 2013年5月31日
2013年5月22日更新 2013年5月31日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

既視感はあるが、細部まで緻密に作られたSFラブストーリー

一見どこかで見たようなSF映画と思われそうだが、きちんと観ると、映像もストーリーも細部までしっかり作り込まれた秀作だ。

侵略者が、月を破壊して地球に天変地異を起こした後に攻めてきたという設定が新しい。そのため、地上には廃墟ではなく何もない不毛の大地が広がり、空には月の残骸が漂う。はじめて目にするこの終末の地球の姿と、天と地の間に浮かぶ監視員ジャック(トム・クルーズ)夫妻の無気質で洒落た住居の対比が夢幻的で、なぜかジャックの心に芽生える地球への思いが胸に沁む。

また、住居はすべてが機能的で洗練されたデザインだが、かつての人間の暮らしを思い出させるものは一切ない。こうした疑問のすべてが、後で氷解する作りなのだ。ジャックが乗る未来的なパトロール機も同じ。斬新なデザインが目を引くが、後の戦闘で機能的だったとわかり、興奮させられる。さらに、操作パネルやモニターなどに随時映し出される情報映像も細部まで緻密に作られ、すべてが意味のある表示で驚かされる。

中盤でテイストが一転する構成も味わい深い。前半はジャックの任務を追いながら、彼が繰り返し見る奇妙な夢を示し、植物が再生しはじめた地になぜか惹かれてしまう地球への郷愁を静かに浮き彫りにしていく。

それが後半、夢の中の女性が実際に現れるなど次々と事件が起こり、ジャックのアイデンティティーをも揺るがす怒涛の展開に変わる。絶えず変化していくジャックの心情を、表情で示すクルーズの好演は見モノ。ジャックに絡むふたりの女性も、対照的な愛の有り様を美しく体現。3人のアンサンブルが、愛と記憶の力を問う隠し味も切なく胸を打つ。

(山口直樹)

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