「娯楽SF大作」オール・ユー・ニード・イズ・キル kenMaxさんの映画レビュー(感想・評価)
娯楽SF大作
何度も同じ日を繰り返すタイムループとエイリアンとの戦い、というよくある要素を組み合わせた内容です。
同じ日を繰り返すと聞くと、同じ映像を使いまわしてちょっとした変化のみで時間を稼ぐような作品かと思われがちですが、この作品では繰り返しの部分を上手く描いています。
混乱、焦り、恐怖、希望、前進、後退、落胆、諦め、愛情、正義感、決意などの要素を散りばめて、同じ繰り返しにならないように構成しています。
そこに、新しい映像や訓練による戦闘力UP、ユーモアや笑いも混ぜて飽きさせないようにまとめています。
どうしても時間軸が変化するのでキャラクターの心理描写などに時間が裂けない部分はありますが、娯楽作品としてはよくまとまった印象です。
この作品の一番の見所は、やはり戦闘シーンだと思います。
トム・クルーズは自分で体を張る俳優なのでスタントが目立つこともありませんし、役者の動きに関しては全体的にCGを使わないように心掛けているように感じられます。主にワイヤーを使った動きを重視しているようです。
戦闘時にはアーマードスーツを着るのですが、音響を上手く使って重量感や機械感を出しています。最初は細身で貧弱ですが、段々と頼れるスーツ感が出てきます。
エイリアンはフルCGでよく動きます。ただ、形状と動きの速さからか、ちょっと訳がわからない印象も受けます。知性が高い設定ですが、そういった描写は少なく好戦的な印象が強いので、高度に進化を遂げた獣という感じです。
ゲームっぽいという意味では、アーマードコアとゴッドイーターを連想しました。
トム・クルーズの作品は、いつも映画に向き合う空気や本気度が感じられて好きですが、賞レースに絡んでこない娯楽作品が多いのが少し残念ではあります。
それでも、年齢に負けない動きと情熱はさすがと思わせます。