「ゲームは残機ゼロからが本番だ!!」オール・ユー・ニード・イズ・キル 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲームは残機ゼロからが本番だ!!
何度死んでも過去のとある時点に戻れる不思議な力を
手に入れた主人公が、対エイリアン戦争終結の為に
死闘を繰り広げるSFアクション大作。
まずは一言、面白かった!
特殊な設定を存分に活かした物語は
ヒネリが利いていてテンポも早く飽きない。
多機能なパワードスーツVSエイリアンの戦闘シーンも
戦争映画並みの火力で繰り広げられ、見応え十分だ。
中盤まではけっこうユーモラスなシーンも多く、
主人公と仲間たちとのチグハグなやり取りや
テンポの良い死にっぷりが妙に笑える。
少なくとも、アクション大作の主人公が
車にハねられて死亡する映画ってなかなか無い(笑)。
* * *
本作は日本のSF小説が原作とのことだが、
なるほど、観ると色々と日本っぽい。
パワードスーツで闘うのも、男勝りのヒロインが
主人公を成長させるのもロボットアニメっぽいし、
何より、戦闘→死亡→復活を繰り返し、
敵や自分の弱点を学習してステージを
先に進めていく感覚が極めてゲーム的。
で、その敵となるのが謎の地球外生命体ギタイ。
コイツら一体一体が速いしカタいし地面から
ミミズみたくワラワラ湧いて来るしでまあ強い。
『超魔界村』か『ダークソウル』の3倍速みたい。
こんなの有野課長チームじゃなきゃ
クリア不可能だろってなくらいの超絶難度である。
パワードスーツ着て闘う有野課長、見てみたいなあ。
(何書いてるか分からんという方スイマセン)
そんな強敵に対し、主人公ケイジがまあ軟弱(笑)。
元広告マンで実戦経験はゼロ。しかもけっこう卑怯者。
自分が戦場に行くのをどうにか避けようと、
「戦場に行かせるならアンタの中傷広告出すぞウォイ」
と上官を脅すくらいのダメダメっぷりである。
* * *
そんな軟派(なんぱ)な彼なので、
戦闘開始からものの5分で死んでしまうのだけど、
偶然手に入れたループ能力で少しずつ彼は変わっていく。
戦闘と死を繰り返す内に経験値を詰み、
同じく“ループ”経験者のリタの助けも借りて、
メキメキとレベルアップ。同時に、
『共に闘う仲間を守りたい』という
責任感と勇気も身に付けていく。
守りきれずに死に続けるリタを見つめる彼の眼は、
だんだんと優しさと物悲しさを帯びていく。
『けどいくら敵が強いからと言っても、無限に復活
できるんだし、時間かければどうにかなるんじゃね?』
とタカを括っていたが、終盤でいきなり残機ゼロ状態に。
それまでバンバン数百回も死んでたのに、突然一度も
死ねない状況に追い込まれると、緊張感もひとしおだ。
クライマックス、
それまで培ってきたスキルと絆を総活用して闘うケイジ。
軟弱だった彼は、ひたすら経験を積む事で英雄になった。
世に生まれついての英雄なんてのはそうそういなくて、
経験と不屈の意思さえあれば、人は誰でも英雄になれる。
そんなことをこの物語は言っているのかも知れない。
* * *
ま、ラストがちょいと納得いかないのだけど……
(ループ能力を司ってるβ(ベータ)が死んだら
ギタイの血を浴びても能力発動しないんじゃ……)
後味は良いし、それまで存分に
楽しませてくれたのでまあいいや(笑)。
いやはや、
トムクルさんの主演・製作作品てばホント打率が高い。
しかも主演シリーズ作品は『M:I』シリーズくらいで
あとはオリジナル作品ばっかりだもんね。
シリーズものばっかりのこのご時世には稀有なお方。
次回作も楽しみにしてます!
<2014,07.05鑑賞>
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余談:
実は少し前まで福岡に長期出張中だった自分。
ある休日ブラブラしてたら、博多駅に何やら人だかりが。
なんとその日にたまたま、本作のプロモで来日中の
トム・クルーズが、博多駅でイベントやってたんすね。
(戸田奈津子さん含む)
スゴい人だかりだったけど、直線距離で100mくらいの
場所から、博多駅3階バルコニーに降臨した
トムクル氏のご尊顔を拝見させて頂きました。
終始にこやかでフレンドリーな雰囲気。
しかも、いきなりバルコニーの手すりに両足を乗せて、
ほとんど落ちそうな体勢で手を振ったりしてて、
周りのスタッフ(戸田奈津子さん含む)が慌てる場面も。
なんてサービス精神旺盛なスターかしらとつくづく感心。