「脚本と編集の妙」オール・ユー・ニード・イズ・キル arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本と編集の妙
原作(未読)の主人公は新兵の設定だったそうだが、そのままハリウッドで映像化するとなると新人に近い実績のそれ程ない俳優をキャスティングすることになって、多分そこまでのリスクは冒せないということで、ブラッド・ピット→トム・クルーズで落ち着く。
というキャスティングの内幕だったのではないかと想像する。
トム・クルーズは良くも悪くもいつも“トム・クルーズ”であり、かつ、それが許される稀有な存在だ。
今作での役柄、当初の米軍の広報担当も、ループを経て人類の危機を救うヒーローも、いかにも“トム・クルーズ”らしくハマっている。申し訳ないけれど、ブラッド・ピットではここまでハマらなかったと思う。
尚且つ、今作は“トム・クルーズ”の作品の中でも脚本と編集の出来が抜群。
ループを繰り返す設定も、単に同じシーンの繰り返しにならないように工夫されている。見せるべきところと台詞で説明させるところのバランスがいいのだ。
これに緩急が効いていてテンポのいい編集が加わり、素晴らしいスピード感で全くダレない。
アクションのイメージがなかったエミリー・ブラントの“戦場の女神”の凛々しさも意外な驚きだった。
トム・クルーズ作品としては、いまひとつ大きな話題になっていないのが勿体無い快作。
ダグ・リーマン、いい仕事でした!
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