桜、ふたたびの加奈子のレビュー・感想・評価
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人にはそれぞれの別離の形がある。
【ヒロスエ】
いま話題の広末涼子さんの出演作をレンタルしてみた。
「鉄道員・ほっぽや」で、幼くして死んだ娘の幻影として、男 高倉健を泣かせた女優さんだ。
その後いくつかの作品で彼女にはお目にかかったけれど、どこかしら少し遠くの世界に半分足を踏み入れてしまったような、不思議な眼差しと、演技の独特のテンポは、あれは一貫して彼女なりの雰囲気を醸しているかもしれない。
ハチキンの高知県の出身なのだが、毎日お遍路さんを見て育つと、影響がないことはないだろう。
とにかく つかこうへいには舞台の演技指導では「下手くそ!」と怒鳴られ続けて相当に絞られたらしいが、周りの人様を苛立たせるということは、何かしらの宝や 羨望の種を有しているからこそだろう。
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映画は、突然失われた最愛の娘について、割り切ることなど出来ない母親の悼みをたどる。
初七日、
四十九日、
一周忌、
三周忌、
十三回忌と、
物語の画面には せせらぎが幾度も印象的に現れた。
オムライスのテーブルと、
オムライスのないテーブルと。
墓参りの欠席と、初めての墓参と。
母親の諦めと混乱の揺り返しが続く。
時が、小川のごとく、如何に流れて行こうとも、人にはそれぞれの離別にかかる段階と時間があるのだ。
ようやく妻の心中を悟った夫稲垣吾郎や、助演者たちの、納得をもっての支え方が優しい。
肉親を失った遺族への接し方についても、自らを省みることの多い映画だったと思う。
乱れたっていいと思う。
狂ってしまってもいいんだと思う。
来週はお盆。
大学病院から、「献体」が戻ってくる。
叔父貴のお骨の納骨式に行ってくる。桜が豪勢な、東北は弘前城のお堀のそばだ。
従兄弟たちに久しぶり会って、時の流れをゆっくりと語らいながら、亡き叔父貴を偲びたい。
お墓に入っているみんなの名前を、一人ずつ呼んでやりたい。
別れは、ゆっくりと、それぞれ大切に、時間がかかるんだ。
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【いまふたたびのヒロスエ】
キャンドル・ジュンさんはすぐ近所の高校の卒業生だし、鳥羽周作シェフのお店も僕の住む長野県内の仕事の通り道。
ヒロスエの“恋多き人生”を叩く世の風潮はびっくりするほどだが、何がいけないんだろうね、別に僕は彼女のプライベートや自由奔放さを羨ましくも思い、称賛もしたい立場なのだが。
《 君待つと吾が恋ひをれば我が屋戸のすだれ動かし秋の風吹く 》
飛鳥の都の歌人=額田王だって、彼女は2人の帝の妻となった不世出のアーティストでしたよ。
異色作です
タイトルになんとなく目を引かれ、手に取ったDVD。
幼くして我が子を亡くす親の気持ちを分かる人は
そんなにいるわけではないだろう。
それだけに、この映画の導入部から話しが進むに
つれて、違和感覚える人が多いに違いない。
下手すりゃ、「頭おかしいんじゃないか」と
母親役の広末涼子さんの役どころに文句をつけてしまいそうな展開を見続ける。
こんな境地に立ったら、こうなる親もいるかもしれない。
実に人間の複雑さを垣間見た気がする。
ずらずらと暗〜い話しを見ていくが、ラストシーンで
どこかしこに伏線があった事を知らされて、「なるほど!」
と、妙にスッキリします。
後半では「そんのバカな」と現実離れした話も
織り混ざり、信じがたいやり取りもありますが、
それは映画としてギリギリの演出という事で許せるか。
許せなければ、その鑑賞者には駄作評価なんだろう。
レビューの少なさ、チェック数の少なさを度外視して
見るに耐える映画でしたよ🎬
正統派の感動作かと思ったら…
不慮の事故で幼い一人娘を亡くした夫婦。
喪失と再生を描く正統派の感動作かと思いきや、こりゃ結構な異色作。
娘を亡くした事で生きる気力を失った妻。
首をくくって自ら命を絶とうとしたり、(この時、ある“通報”で助かる)
娘が生きてそこに居るかのように振る舞う。
夫はそんな妻を察しながらも、苛立ちを隠せない。
ここまではあまりの悲しみの故に我が子を亡くした親の心痛としてはあるかもしれないが、それはエスカレートしトンデモ言動に。
ある日妻は、妊娠中の女子高生と出会う。産まれてくる子供を我が子の産まれ変わりと信じ…。
幾ら悲しみのどん底の中で何かを信じたいとは言っても、赤の他人の子をそう決め付けるのはもはやキチ○イとしか思えない。
原作小説は産まれ変わりなどファンタジー要素も含んだ作風なんだとか。
産まれてきたその子供がヒロインの事を“前のお母さん”と呼んだり、言っていた事が本当のような輪廻転生と思うシーンも。
産まれ変わりを確信したヒロインは…。
映画は人間ドラマとして描かれ、広末涼子や稲垣吾郎らは好演しているが、
ちょいホラー的に感じたり、ちょいファンタジー要素だったり(ラストシーンや“通報”の件)、やはり何だか異色の人間ドラマ。
そういや本作の作曲家も“ゴースト”だった…。
いろんな苦しみがある
大人にならなきゃわからない映画だと思います。
最初、なんの情報もなく見始めちゃってホラーだったら、どーしようかとハラハラしました。
音楽が切り刻まれるような効果音に感じたので…
ちょっと世にも奇妙な物語っぽくて怖かった。
だけど最終的にハッピーエンドだと私は思いました。
ファンタジーに近いかなぁ。
子供を授かるって大変なこと。
無事に出産するって大変なこと。
そして無事に育てるって大変なこと。
両親に感謝するとともに、子育てする自信ないなぁ…と思ってしまう私でした。
秀作だと思います。
ごく普通の夫婦が不慮の事故で娘を亡くす事から始まる物語、妻は不条理な出来事に心を病んでいく。そして望まない妊娠をした女の子と出会い、期待を持って娘の身代わりと赤ちゃんに近づいていく。女の子を見守る先生家族との付き合いの中で加奈子の生まれ変わりは先生の長男だと判る瞬間は救われた思いがした。信じるかどうか判らないが、うちの娘は小さい時、(お父さんとお母さんの結婚式見てたよ)と話していた。前世があるのかと思った。とてもシンプルな映画だけれど桜の風景とか映像で心情を表現していて、特に日本のベートーベンといわれる佐村河内守の音楽が心をとらえて離さなかった。
淡々と語られる子への想いと親への想い。
稲垣さんと広末さんの夫婦のキャスティングがいいですね。物語は淡々と進んで行きますが、要所要所に、後のストーリーへの伏線があり、鑑賞後、ああ、あのシーンは、あそこのシーンにつながっているんだと、分かります。
親子の想いは、時として、奇跡を起こすこともあるかもしれない、と思わせる作品でした。
佐村河内さんの映画音楽も、作品に溶け込んでいて、この作品の魅力のひとつです。
親孝行は死なないこと。
私が思う最悪の親不孝とは、親より先に子供が亡くなることだ。
今まで幾度となくそんな場面を見ている。
こんな辛い親御さんの顔は見たくないとその度に亡き命を恨んだ。
今回の話に触れて思い出す、ひとり息子を亡くした同僚がいた。
今作に出てくる加奈子ちゃんと同じくらい、
子供好きのお母さんはとてもその子を可愛がっていたのだが、
ある朝出勤して訃報を聞いた、自宅で亡くなってしまったと…。
おそらくは母親の不注意であった点、どれだけ自分を責めたかと
思うとより辛く、それ以来あまり大した話をしていなかった。
そんな彼女から朗報を聞いた。妊娠した!とのニュース。
出産準備のため退職した彼女が、会社近くの産院で出産を終え、
そのお見舞いに行った際に、私に打ち明けてくれたことがある。
実は私も身内を亡くしているので(子供ではないけれど)、それで
教えてくれたのかな?と思ったけど、実はね…と切り出すと
「この子を産む前に夢を見たの。息子が出てきて、私に言ったのよ」
と、今抱いている赤ちゃんのことを詳細に彼女に教えたというのだ。
生まれ変わりとは言わなかったけど、内緒だよvって言われたから、
このことは誰にも話してなかったんだよ…と言われて、
それを私に話しちゃっていいのかい?と思ったけれど(嬉しくて)
良かったね、良かったね…と私も涙でグチャグチャになって喜んだ。
科学的にそういうことが証明されているわけではないが、
輪廻転生のことは信じている。ただ、あまりに分かり易くそれが
身近で起こったりすることはなく(気付いてないだけかもだけど)
だから感動に咽び泣いたこともない。ひょっとして、今作のように
逢いたい…逢いたい…と念じていたら、どこかで逢えたりするのか。
とはいえ、妻を支える夫の苦しみは、いかばかりだったろう。
子供を亡くして辛いのは親である夫も同じ、そして加えて、妻が
延々と亡くなった子のことを思い続けて、前へ歩んでくれない…。
我慢して、耐えて(おそらくはまた子作りをしたかもしれないが)、
それでも自分を受け容れてくれない妻に、ついに離婚を切り出す。
しかし妻を嫌いになった訳ではなく、苦しみから解放させたいと
願う(自分も幸せになりたいだろうし)そんな優しさが見てとれた。
原作とは違って、今作はひき逃げではないので、恨む場所がない。
亡くなった子供の遺志を汲んで、力強く生きていくしかないのだ。
偶然出逢った高校生が妊娠・出産をして、その子を生まれ変わりだ
と信じる妻が、トイレの前で子供を質問攻めにしたことに驚いた。
違う、絶対違うと思うよ…と思いつつ、そこまで我が子に逢いたいと
願う妻には空恐ろしい雰囲気まで漂う。さらにヴァイオリン音楽が
空を突き裂くように鳴り響くため、まるでサスペンスのように感じて
しまうところも多々ある。桜の咲き乱れた光景が、美しいのに怖いと
感じてしまう稀有な雰囲気を醸し出している。これは狙いだろうか…
ラストは意外な展開を見せる。あーそっちだったのか…と観る者を
翻弄する作りになっているが、それもあり得る結果。良い終わり方だと
思える半面、それを聞かされた夫婦(あちらの気持ちこそいかばかりか)
が、どれほどの理解者で温かい人間性の持ち主だったかにも救われる。
今度は幸せになるんだよ…。と、そればかりを祈ってしまった。
役者たちの熱演は良かったが、もう少し温かみのある表現があれば、
気持ちを和らげる観せ方ができたんじゃないか、と思って悔まれる。
(どの家族の元に生まれてきても、親子仲良く幸せでありますように)
重苦しい空気がずーっと続いてた
最近邦画はあまり見てなかったのですが、SMAPファンなので稲垣吾郎が出ている映画ということで見ることにした。事故で亡くなった我が子の生まれ変わりが現れ、我が子の死と向き合っていく、、という内容だったが、ほんっとに重苦しい。設定上たしかに重いものだけど、音楽や撮影の仕方がより気分を暗くさせる。また、個人的にセリフの言い回しや仕草など、細かいとこに気を取られることが多かった。「加奈子は線香をあげれば届くとこにいったんだよ」という場面があったが「加奈子は線香をあげないと届かないところにいったんだ」の方がよかったんじゃ、、とか余計なことばっかり考えてました(^-^;)
感動作と言われてますが、生まれ変わりという設定が馴染めないせいか、感動というよりどこか恐怖に似た感情が生まれてきました…。それでも、ここで涙を誘ってるんだろうなーってとこでは若干うるっときてしまいましたが。
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