劇場公開日 2013年6月15日

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スプリング・ブレイカーズ : 映画評論・批評

2013年6月4日更新

2013年6月15日よりシネマライズほかにてロードショー

映画が終わるころにはものすごい旅をした気分になる

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あまりに強烈な宣伝画像が各所に出回っていたのですっかり見た気分になっている方も多いかもしれない。私もそのひとりではあったのだが、実際に見てみるとやはり宣伝画像通りというしかないピカピカピチピチの娘たちが暴れまわる。笑ってしまうのだが、しかしもちろんそれだけでは映画は始まらないし終わらない。事件は起こる。事件が起こり続けると言った方がいいかもしれない。余計な説明は一切ない。ある一瞬からある一瞬へと、スイッチが入った瞬間に一気に移動する。

あまりに早く動くコマは止まって見えると記したのは、批評家の小林秀雄だっただろうか。いわゆる映画的な物語の展開よりも、そこで起こる事件の細部をあまりに精密に愛を持って見つめるあまり、もはやだれにも理解不能な映像がそこに生まれてしまったと言いたくなるような、魅力的すぎるゆえに単調といえば単調な映像がそこに現れる。この単調さこそがこの映画の醍醐味である。

ひたすら同じような映像がそこに現れる。PVの羅列といったら誤解を生むかもしれないが、それがこんなにも魅力的に映る映画の不思議。まさにマジカルな時間と空間に引き込みつつ、気が付くと娘たちの旅路の果てへと私たちを同行させる。こちらはただ座っていただけなのに、映画が終わるころにはものすごい旅をした気分になる。しかもその旅はまだ終わらない。その果てしなさこそ、この映画の最大の魅力だと思う。

樋口泰人

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