劇場公開日 2015年5月29日

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ピッチ・パーフェクト : 映画評論・批評

2015年5月26日更新

2015年5月29日よりTOHOシネマズ六本木ほかにてロードショー

大興奮のアカペラシーン&下ネタ炸裂で笑えるガールズ・ムービー

現在、全米ではこの映画の続編が記録的なスマッシュヒットを飛ばし中。本作は本国で3年も前に公開されて大受けしたアカペラ・ミュージカル・コメディ。YouTubeや口コミサイトで評判を知るにつけ、日本で公開もソフト発売もされないのが不思議でたまらなかった作品だ。やっとか! 待ってました!の登場である。「イントゥ・ザ・ウッズ」「ラスト5イヤーズ」に続く“歌うアナケン(アナ・ケンドリック)祭り”のトリとしても最高のタイミングで。

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PCで音楽をミックスするのが好きなDJ志望のベッカ(アナケン)が、嫌々入った大学で渋々参加することになるのがダサさ全開の女子アカペラ部。イケてる男子アカペラ部との対立、超保守的なリーダーとの確執、友情、恋、親子の和解という青春映画のマテリアルを網羅し、まるで大学版「Glee」だ。違うのは、笑いのスパイスが利いたガールズ・ムービーだというところと、興奮を呼ぶアカペラシーンのカッコよさである。アカペラって地味なイメージだったが、伴奏もすべて楽器ナシ、口から出す声と音のみのアレンジとダンスでこれほどショーアップできるとは。選曲のセンスも素敵なのだ。

一応、80年代の名作「ブレックファスト・クラブ」をモチーフに使うなど工夫の跡は見られるものの、ストーリーは粗いしありがち。しかし、プロデューサーであり大会解説者(ツッコミ)役で出演もするエリザベス・バンクスの趣味だろう、女子映画だというのにゲロネタに下ネタ炸裂! チームを変人の寄せ集めにした設定が生きて、オーストラリア版・渡辺直美レベル・ウィルソン)や菊地凛子似のブキミちゃんらの放つギャグがゆるくも笑えるのだ。タイトルを「ビッチ・パーフェクト」と間違えても大丈夫というくらいバラッバラな個性と意地っ張りなヒロインたちが、歌声を合わせることで心を1つにする。音楽の力を描き出して共感を呼ぶあたりは外していないし、ノリノリのパフォーマンスが胸を熱くさせずにはおかない!

惜しいのは、アナケンがかなり終わりのほうまでローテンションの冷めキャラだということ。コメディもイケるのに。やっと同じテンションになったところで終わってしまったので、続編がますます楽しみだ。

若林ゆり

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