劇場公開日 2013年1月19日

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「残り一ヶ月の猶予期間」ザ・フューチャー arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0残り一ヶ月の猶予期間

2014年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

ソフィーとジェイソンの30代カップルは、怪我をしたところを助けた猫がこのままでは処分されてしまうと知り、引き取ることにした。しかし、ペットを飼うことになれば、今までのような自由気ままな生活を送ることは出来ない。
彼等は猫を迎えるまでの1ヶ月の間にやりたい事をやろうと決め、仕事も辞めてしまう。

あと5年で40歳。
この現実に彼等は今更ながら気付く。

もっと賢くなりたかった。
もっと稼いでリッチになっているはずだった。
今頃は何事かを成し遂げているはずだった。

もっと意味のあるもの、もっと大切なものを求めるあまり、彼等は今すでにそこにあるものの存在に、大切さに気付くことが出来ない。

彼等の行動は少し突飛だし、もしかするとズレているかもしれない。
しかし、彼等の抱いている焦燥感や空回り感は痛々しくリアルでとても他人事とは思えない。

退屈で変わりばえしない日々の愛おしさにようやく気付いた時、取り戻すことは出来るのか?
彼等の「初め」はまだ終わっていないのか?

ミランダ・ジュライの映像作品を観たのは初めてだったが、彼女の物語世界を映像で表現したらこうなるだろうなという印象。
彼女の小説同様、響く人、響かない人に分かれるかもしれないが、私にはは響く。
彼女の物語の中には、私がいるのだ。

arakazu