地獄でなぜ悪いのレビュー・感想・評価
全22件中、1~20件目を表示
いや、悪くはないんだけど、いつもとおんなじ地獄ですね
「愛のむきだし」のメジャーヒットによって、製作に余裕と名声の欲が出てきたのか、園監督がそれから生み出してきた「冷たい熱帯魚」から「希望の国」という作品群のおかげで、それまでの俺の園子温監督への興味が一気に失っていった。
そんな俺なので、最新作の「地獄でなぜ悪い」がいつの間にか公開していたのにようやく気付いた次第。
まあ、正直「愛のむきだし」の路線を、自伝的に、自虐的に、血みどろたっぷりに仕込んだ作品、と言えば、そうはずれではない。
本作、園監督の作品群を一応見てきている人間には決して新味ではないし、やっぱり園子温ってエログロしかないじゃん、と言っても誰も否定しないし、本人もそうなんだろうな、と思いつつも、照れ隠しで「地獄でなぜ悪い」?と言っているようなものだ。
いきなりの茶番劇で、相変わらずなよなあ、とほとんど飽きてきたやり方でオープニング。
まあ、園ファンにとっちゃ、コレ、コレ、と大騒ぎするだろうな。
まあ、わざとなんだが、もう少し芸風を変えてもいいんじゃないかと思う。
セリフも幼稚だし、後半への3つの大筋がつながるまでの前半の話の一個一個が全然面白くないし、バカ臭くて見てられない。
ところが、後半はもう、ものすごいテンション。このテンションはさすが、日本映画界のエログロの帝王、園子温監督。
オレ、こういうの、とっくに卒業しているはずなのに、このテンションだけはすごいと思ったね。後半もはっきりいって全然面白くないんだけど、テンションはめちゃくちゃ高い。
これはもう映画ファンではなく、園ファン大興奮の展開。それに乗っかるオレもどうかしている。
本作、深作監督へのオマージュが随所にあり、タランティーノ、北野武なんぼのもんじゃい、と映画ファン感涙、、、というには前半バカバカ臭くて、ホンモノの「映画」ファンは途中退場必至。
その前半のバカバカ臭は、自虐的な意味であろうから、それを察することができるのもおそらく園ファンしかいないだろうから、これまで園監督の作品を見ていない映画ファンは「なんだこれ」な映画であるには間違いない。
だから最後まで見続けることができるのは、「映画」ファンじゃなくて、ホンモノの「園子温」ファンかエログロファンでいいじゃんという、意味で「園子温健在」な映画にはなっている。
ただ、園さんは、しょせんエログロしかないんだから、雑誌やテレビであんまりかっこいいこと言っても、ダメだよ。
追記1
しかし、この園監督のエログロ映画がレイティングPG12はいかがなものか?
そりゃ、どう考えても、肉塊はつくりもんだし、二階堂さんの美脚は本物だろうが、ちゃんと着衣してるんで、そうなのかもしれないが、堤真一さんの顔芸含め、誤解の恐れがある高校生に見せられる映画では決してない。
追記2
おっと、このポスター、三谷幸喜作品のパロディじゃないか!?
+0.5点!!
狂気の映画
...............................................................................................................................................
ヤクザの嫁が敵を返り討ちにして過剰防衛で服役する。
その娘は子役でCMに出ていたが、放送中止となった。
10年後、それを気に病んでいた嫁は出所を迎える。
それに間に合うように娘主演の映画を作ることになる。
しかしグレていた娘は、そんな父のもとから逃亡。
結局捕まり、組全体で映画を作ることになる。
そこで巻き込まれる形で参加したのが映画バカ4人。
相手をヤクザと知りながら、最高の映画と撮れると喜ぶ。
良い映画を取るためなら死んでも良いと思っていた長谷川は、
抗争相手の組へ行って撮影の許可を得た上で、殴りこみ開始。
もちろん長谷川の仲間の俳優やスタッフも入って殺し合いを撮影する。
銃禁止で日本刀でという約束は最初は守られていたが、一人が銃を撃った。
それを機会に全員が銃を撃ち合う形に。
それを予期していたか、長谷川の仲間のスタッフも機関銃乱射。
敵味方なく皆殺しを始める。もう無茶苦茶w
そこに刑事が踏み込んで、容赦なく皆殺しを始める。無茶苦茶w
長谷川は何故か生き残ってフィルムや音声を回収して脱出。
そして最高の映画を完成させたのだった。
...............................................................................................................................................
いやー、ホンマに無茶苦茶やけど何か楽しい。
最高の映画を作るためなら何でもやるという長谷川が最高。
ある種の狂気で、腹も座った人物を怪演していた。
全員死んだはずやのに最後みんな生きていてよく分からんかったけど、
結局一連の話がすべて映画の撮影だったってことなんやろな。
二階堂ふみって可愛いなあ。最後まで宮崎あおいと思ってたわw
堤真一や国村準も、相変わらず天才的な演技だった。
内輪ウケする学芸会のノリ
ストーリーが監督の夢と希望を詰め込んだ作品!という感じで、なにを伝えたいとかどこで笑わせたいとかどこでシリアスにしたいとかがよく分からない。
内輪でここ良かったよなぁ!と会話してる映画メンバーと、ろくに画面を見もせずに生返事している映画メンバー以外とのシーンが出てくるが、まさにそんな感じ。
基本的に観客は置いてけぼりにされる。
共感とかは無視して、監督や製作陣の、こう!と決めたレールをひたすら走って終わる。
俺たちは俺たちがいいと思ったものを撮る、周りがどう思ってるとか評判なんて二の次!みたいな、自己満足の連続。
園子温作品は、評価は高いのになかなかいいと思える場面がなくて、ミーハーにはハードルが高くて合わないのかなぁと思う。
迸るイカれたパッション!
DVDで鑑賞。
完全にイカれてる。否、もはやそれ以上。適切な日本語が思いつかない。迸るパッションの洪水。面白さはウルトラハイパーマックス級。つまり語彙力が崩壊する作品でした。
個性的なキャラクターたちの生み出す予測不能な狂騒と、大量の血しぶきに彩られた極道アクションが所狭しと展開するクライマックスが圧巻。地獄絵図とはこのことかと…
腕が飛ぶ。首が飛ぶ。泉のように湧き出る血、血、血。ここまでエグいと逆に笑けて来るのはこちらまで狂ってしまったからかも。首飛んでもうた~ゲラゲラゲラ!(笑)。
クエンティン・タランティーノ監督作品に匹敵する、否、それ以上の映画愛に包まれた園子温監督渾身の作品、と勝手に思う次第。肩の力を抜き、腹筋を捩らせてただ笑えばいい!
※修正(2024/03/13)
つまるところ「監督って大変!」
学生時代から数々の自主映画を撮っていた園子温。商業映画に関わって思うところがあったのではないでしょうか?
お金くれる側からの、「この要素入れて!」「この女優使って!」「お金はこのくらいね!」「期限はいつまでだから!」と要求ばかり、その過酷な要求をしてくる様子はさながら“ヤクザ”のように見えたことでしょう。
「俺は映画を撮りたいだけなのに!」と躍起になりつつもしなくていけないことはしょうがない。そして閃いた!
これ、映画にすればいいんじゃね?
自分の望むものを作れない奴、ある女の為だけに奮闘する奴、カメラを回すしか能の無い奴、もう夢は語れないと悟った奴、もっと自分にはふさわしい場所があると信じる奴、園子温はコイツら全部俺だ!!!とフィルムにぶつけて見せた!彼らは自分を押さえ付けてくるものさえも利用して自分を打ち出して行く!まさしくこれで“死んでしまっても構わない!”この熱量に圧倒されっぱなしでした。
見せ方もとっても秀逸で、まず冒頭に「これ意味あるの?」ってな感じのCMが流れるわけですが、コレが全編を通しての軸になって、無理のあるように見える設定を繋いで行く重要なパーツなんです。ヤンキーの乱闘シーンもコイツもう映画狂いなんだってそれだけで分かって尚且つ今後の展開も予期しているっていうことですよね。
全体がぶっ飛んだように見えて、その実しっかりと練り込まれている本当に面白い映画だと思います!
痛くてグロくてでも楽しい
一見何の関係も無さそうな、くすぶり続けた映画バカや抗争相手のヤクザ、さらには本当に何の関係もない一般人を無理矢理まとめてまきこんだストーリーだがキレイに1本にまとめるだけの細かい布石は打っている(あくまで無理矢理ではあるが)というなかなかちゃんとしたコメディ作品。
キャストも真面目にやればカッコ良く、コメディに走っても面白い実力派俳優を揃えており色々な表情を楽しめた!
ヤクザのシーンでは怖く、ボケるところではしっかり笑えるメリハリのついた良い映画だった。
得意の(?)グロシーンも頭や体のパーツがポンポン飛び上がったりグロくも笑える演出が多く、おそらく苦手な人でも笑って見られるんじゃ無いかと思ってしまうほど。
とにかく退屈な時間がほぼ無くどの瞬間も楽しく笑ってみることができるよい作品だった。
星野源さん目当ての視聴です。いま、巷で流行りの逃げ恥からの星野源作...
星野源さん目当ての視聴です。いま、巷で流行りの逃げ恥からの星野源作品視聴してます。これは退院してからの作品になるんでしょうか。くも膜下出血の後の役柄としては何ともシャレが効きすぎてる作品ですね。本当に映画が好きな人が観たら、ストレス解消になりそうな爽快痛快愉快な作品です。二階堂ふみさんの衣装がセクシーでカッコいいのと、源さんの十八番の役どころが面白かった!星野源の役って感じがしました。(星野源さん観点からしか観てませんごめんなさい(^ω^;);););))
面白かった!
主人公がたくさんいて、とっ散らかりそうなのに、なぜか一つの作品にまとまっていて面白かった。二階堂ふみ可愛かった。
園子温がヤクザの娘とエッチして監禁されたことがあるというのは本当なんだろうか・・本当なんだろうな・・
桐島にちょっと似てる、テンポ良くバラバラの話が収束していく形が似てるんだと思うけど、桐島より不健康で不謹慎でバカバカしいんだけど、躁状態のテンションがずっと続いていってクラクラしてくるような独特の快感がある。面白かった〜。
園子温さん作品だなぁ
歯磨きレッツゴーの歌が頭から
離れなくなりますね。
かなりグロ系な映画でしたが、園子温監督ワールドが出来上がってましたね。
ストーリー的にはたくさんの一人一人の物語があって面白かったですが
あんなに死んでしまうんですね。笑
みんなが主役のようで見どころ満載でした。
が最後、カットで映画自体の本当のカットシーンが入っていたのは面白いですがちゃん映画は完成したのかどうかすごく気になる終わり方でした。
二階堂ふみさんがとても色気のある役でした。
星野さんの頭に刀が刺さってるシーンはもはやホラーでした。笑
色彩踊るスプラッター
面白かったー!これぞ痛快!!
前半ちょっと間延びするも、中盤以降は「悪の教典」と同じような疾走感で駆け抜けるスプラッター。
エグいシーンも多いけど、何故か「悪の教典」ほど暗くも重くも感じず、観終わったあとに吐き気を催すことも眠れなくなることもなく、ただひたすらに痛快だった!
その差はなんだろー。園子温が好きってことかな?
途中で完全に展開が読めたけどね、なんて細かいことは気にしちゃいけない。
「なんで最後みんな生きてんの?」とか、「あり得なくね?」とか、絶対に言っちゃいけないw
キャストも大好きな感じだった❤️
二階堂ふみ、やっぱり可愛いなぁー。
長谷川博己は、この作品とか「MOZU」みたいな目がイッちゃってる系の役がすごい似合うと思うし好き。
あと國村隼と堤真一の組長コンビもちょーーーーいい味出てた!
染谷が出てたらもっと良(黙れ
まぁいいや。
園子温サイコーーーーー!!
人へ焦点
虚構と現実。
ここまで荒唐無稽だと、その裏側にあるメッセージを探そうとしちゃう。
色々感じる事はあるけれど、観客1人1人に委ねるのが妥当かと思う。
劇中の映画監督が言う数々の持論には、全くもって同意である。
新宿スワンで首をかしげた園子温作品。
…あれは、たぶん違うのだと思う。
人物への追求が足りなかったと思う。
いわゆる、台詞の選択だ。
この人物のこの部分。
それが、この作品には生々しく、生き生きと彩られてた。
面白かった。
なぜそう思えるのだろうか?
あり得ない行動とか多々ある。
でま、それも有りかと納得しちゃうような仕掛けが色々散りばめてあるんだと思う。
新宿スワンは、監督的には黒歴史か身代金みたいなものなのかな?
後、音の使い方がとても好き。
おもしろい
最初に言ってしまうと、登場人物全員死にます。(組長の奥さん除く)
人の命がどうこう言ってる方がいますが、これはあくまで映画です。
いろいろ考えず、単純におろしろかった!
そして星野源がいい。なんとなくまぬけな感じがいい。
なにげに二階堂ふみとの純愛に最後ちょっと泣いた。
後半からは大いに笑わせてもらった。 映画制作に対する情熱と狂気は園...
後半からは大いに笑わせてもらった。
映画制作に対する情熱と狂気は園子温監督もファックボンバースも同じ気持ちなんじゃないかしら。星野源のダメっぷりとか乱闘シーンの小物?使いとか、面白要素満載で好き。
中盤から引き込まれた!
星野源さんと長谷川博己さん演じる、公次と平田が出会うシーンあたりから、ぐんとストーリーが面白くなって引き込まれました。
堤さんの殺陣のかっこよさと笑える顔芸?
二階堂さんは最近の映画の中では一番好きな役です。カッコイイ!
星野源さん長谷川博己さんの演技が飛びぬけて素晴らしかった。
最後の平田が高笑いしながら走るシーンは何度も色んなバージョンで撮り直したそうですが、泣けました。
DVDの特典映像も内容が素晴らしく感動しました。
面白かった
よかったです。前半はだらだらとどうなるんかな〜と思っているうちに気づいたら夢中になってみてました。殺しあってるのにめちゃくちゃ血でてるのに笑いました。ラストはもう腕がとぼうが首がとぼうがなんでもあり。笑 真面目なのか不真面目なのかもうわかりません(笑)俳優たちの演技もすばらしかったです。星野源さん、とてもよかったです。二階堂ふみちゃんはきれいで可愛くて役にぴったりでした。グロいシーンなのに笑ってみれる、そんな映画です。
全力歯ぎしりレッツゴー♪
この映画もめちゃくちゃ面白い!
さすが園子温監督!
ヤクザが映画を作るっていう、めちゃくちゃなお話なんですがそこに映画好きの自主制作をしているグループを巻き込んでのお話。そして、全然関係ない源ちゃんが笑えるwww
とにかく、豪華なキャスト!
二階堂ふみちゃんも可愛すぎ♥️
全力歯ぎしりレッツゴー♪
あの歌が暫くは頭から離れなくなる(笑)
前半のまったりさが最後のシーンを引き立たせています。
最後の長谷川博己が走るシーン好き(笑)とにかく、笑える!!
見たあとに面白かったー!って満足、そして、爽快感パナい!
何度でも見たくなる映画だと思います。
ただ地獄を進む者が悲しい記憶に勝つ
この映画は前々から名前は知っていたけど、ふとトレイラーを見てあまりの衝撃に映画館に無理やり見に行った。公開から4か月後、1週間の再上映最終日のことでしたので、あまりにも運が良すぎましたね。
まずトレイラーの時点で最高すぎる!!気になるシーンを盛り込んで、エグい映像と相反する明るい音楽を使って、本当に悪趣味で脳裏に焼き付く。テンポも良すぎて何度も見たくなる、完璧と言っていいトレイラーです。
シナリオから演出、パロディ、出血・グロ表現、何から何まで馬鹿馬鹿しく悪趣味で、
とにかくそのしょうもなさで笑える作品になっている。そしてラストは張り巡らされた伏線がすべて収集する大団円…と思いきや、まさかの全て投げっぱなしでまさに崩壊のラスト。なんだったんだこれは・・・と思わされる、支離滅裂で、悪趣味で、気が狂ったような内容だった。しかし、自分はスタッフロール中に泣いてしまった。思い出せば泣けて泣けてしょうがない。何故、こんな泣かせる要素のない崩壊したコメディに泣いてしまったか意味がわからなかったが、きっと、あまりにも情熱的に「生きる」事を描いていたからだと思う。
以下は暴走気味な個人的解釈になるのでご了承ください。
まずザックリとこの作品が何を語っているかというと、「映画愛」はもちろんだと思うけども、それ以上に「何もかも死んだ、まさに地獄のような界隈や世界で、それでも抗い生きていく術」だと思う。作中ではわかりやすくそれが「映画」がテーマとされているが、これはあらゆる界隈、むしろ現実にも置き換えられる。(個人的にはプロレスや、今の音楽業界とかに置き換えても、わかりやすいのかなとも思う。)
この作中では何一つ「夢」がかなっていない。しかもそれらはすべて10年来の強い夢。
橋本は助かる事もなく、恋も成立せず、逆転劇もなく死んでいく。
ミツコは女優になることも叶わず死んでいく。
女房に娘が出演する映画を見せるという夢も一切かなわず、それどころかお互いの組は崩壊するだけ。
そして唯一、夢が叶っているように思えるファックボンバーズも死に、生き残り笑って走る平田だって、自分以外のスタッフが全員死んだ映画なんて、映画として成立しないし、明らかに才能がないし、まず完成するとは思えない。ただ一本の伝説級の映画を作りたいという夢さえ叶わない。
しかし、彼のラストの瞬間は人生の勝者である。まさに命がけで夢に全うできたからだ。よく「大事なのは結果ではなく、達成しようと努力することだ」と言う言葉を聞かされ、チープにも感じられるが、本当にそれは大事な事で、それこそがこの地獄を生きる術。「桐島、部活やめるってよ。」「シティ・オブ・ゴッド」でも同様な事が、同じ「撮影」と言う手段で描かれている。
生きる事は本当に大変で、現実はあまりにも辛く、まさに地獄のようで、その世界を生きる続ける術というのが「自分が信じた、愛する事を貫く」というもの。一つでも自分が生き生きと情熱をかけられる、ワクワクすることをやり続ければそれだけで、生きているという実感が得られる、生きる価値が見つけられる。世界に抗える。
平田はきっと成立しない映画のフィルムをもって駆け抜ける姿があまりにも清々しく感動的なのは、その姿がそれを体現した姿そのものだからじゃないだろうか。
(注釈として、どうでもいい点とは思いますが、メインキャストの中で作中、誰も人を殺してないのは彼だけですね。)
具体的にどう「地獄」を表現しているのかと言うと、まずは「映画は死んだ」という事はあらゆる点から描かれている。賑やかだった映画館が閉館してまさに死骸のようになってるし、佐々木が映画館の象徴・ポップコーンを蹴散らしたり、「ニューシネマパラダイス」のオマージュも、華やかだった映画界の終わりを象徴している。
取り扱うテーマやオマージュも「任侠」「クンフー」「ドタバタコメディ」など今はあまり作られなくなった映画のジャンルを取り扱っている。逆に今でも作られている「ヒーロー」「ハートフル」「ラブストーリー」などは、純粋な暴力で無残に殺されていく。(後述)
星野源さんが演じる橋本の存在が見終わった後は全然意味が分からなかった。本当に何もせず、何も達成せず、「ミツコに一目ぼれした」以外の設定もなく、ただ巻き込まれただけで死んでいくだけの存在だったし、正直、平田と設定をひとまとめにしてしまってもよかったんじゃないかと思うし、実際モデルになってるエピソードは、どちらも園子温監督の実体験らしい。
しかし、誇大妄想していくとしっかりと彼の役割がわかった。
何か才能や能力があるわけでもなく、自分から何も動くわけでもなく、ある日突然 女の子が空から落ちて来たり、すり寄ってきて、ドラマチックな展開に巻き込まれて、隠された素質とかに目覚めたりもする、よくあるラッキースケベ的展開に遭遇する主人公の役割なんですね。
この作中でも、彼は10年前一目ぼれした女の子に突然出会い、恋人のふりをしてくれと言われるという、典型的な展開を持っているのだが、驚いたことに何も成就せず純粋な不運で無残に死んでいく。
本当に彼はなんだったんだろうと思うものの、逆に彼の恋が成就したり、ミツコと共に生き延びられたり、追いつめられて刀の才能や監督としての才能に目覚めたりしてしまうと、チープな物語として成立してしまうため、彼は何もせず死んでもらうしかない。彼はそういう安易な「ヒーロー」「ラブストーリー」「逆転劇」の殺害を象徴している。
そして彼と同様に、妻のために映画を撮るという「ハートフル」も殺され、
子供のころからの夢、主演女優になる「シンデレラストーリー」も殺され、
どちらかの勢力の一人でも生き残れば勝利であるはずの「バトル」も殺され、
学生時代から続く夢を作り上げるという「青春」も殺され、
本当になにもかも殺され、あらゆるストーリーは成立せずに死んでいった。
結局何が残ったのか、何が成立したのかというと・・・なんと最終的には「地獄でなぜ悪い」という映画しか成立しなかった。だからこそ、先述の「生き残る術」という意味が強く感じられる気がした。見事すぎて、本当にこの監督は恐るべしとしかいいようがない。
そして、死んだ世界を悲観したり、あらゆるストーリーを「殺害」したものの、別にそういう内容の作品を否定はしていないのですよね。そんな状況に抗うのも面白い、その世界で生き抜くのも楽しい、こんな死骸まみれの地獄でも笑って生きるしかない。
そのための作品なんだと感じ取って、自分は泣いてしまったんだと思う。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
何度も地獄と記述したけれども、本当に映画のタイトルが秀逸です。ひらきなおった攻撃的な言葉のようにも思えるが、意外と明るくポジティブな意味が感じられる。
個人的に似たような言葉があることを思い出したのですが、それは天才バカボンの「これでいいのだ」ですね。タモリの弔辞を引用させていただくと、「笑いで意味を無化し、全てを肯定し、受け入れる」素朴で前向きな、生きていくために必要な優しい言葉です。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
余談だけれど、同名のエンディングテーマ「地獄でなぜ悪い」がまた素晴らしい!
「ここは元から楽しい地獄だ」「嘘で何が悪いか」「作り物だ世界は」「ただ地獄を進むものが悲しい記憶に勝つ」などの歌詞を明るい曲調で歌い上げ、ある意味、映画とそっくりそのままのテーマを表現している!作中、何も成果をあげなかった役を演じる、星野さんの曲ってのもなんだかいいなぁ~。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
と、誇大妄想で心底褒め称えましたが、批判意見があるのは本当にしょうがないと思います。園子温監督は、自分がやっていることを肯定し、自身の分身である平田だけが文字通り生き残るという、完全な自己正当であるとも言えるので不快になるのもしょうがないです。実際 監督以外のスタッフは死んでますからね。あんまりだ(笑)。
それと単純にあえてチープにしているとはいえ、グロ表現がエグ過ぎて流石に引く(笑)。ミツコの「お別れのキス」シーンは苦手すぎて二度と見たくないなぁ。
くじけそうになったら観たい
噂には聞いていた園子温監督作品。初めて観た。
歯磨きのCM、なにこれやたら古い…とおもってたら映画がもうはじまっていた。笑
とにかく面白かったし、ワクワクした。
作り手!いいね作り手って!
長谷川博己のハイテンションがもうかっこいいし、変な服きてるし、っていうかみんなハイテンション。
いわゆる映画オタク。とヤクザ。
全22件中、1~20件目を表示