リンカーンのレビュー・感想・評価
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時を逃さない洞察と覚悟
思っていたより落ち着いた作品でした。観て良かったです。
南北戦争終盤の奴隷制度撤廃に向けての議会の攻防。リンカーン大統領の人となりや信念への情熱がダニエル・デイ=ルイスの名演を通して、じっくりとしみこんできました。
印象深かったのは、成すべき時を逃さない洞察と覚悟。トミー・リー・ジョーンズ演じる人権急進派スティーブンスとの議論にこめた、静かな気迫にゾクっとしました。
スティーブンスも聞く耳の持ち主で良かった、反対のための反対は何処にも行きつけません。
議場でのやり取りは、議事録などの資料を参考にしているのでしょう、緊迫した舌戦でした。
態度を決めかねている議員をコミカル演じたウォルトン・ゴギンズ、なかなかおいしい役どころだったんじゃないでしょうか。投票に際しての私達の立場に近いと思えます。最後まで迷う、一票の重みも心に響きました。
参政権の議論の時、黒人より女性の方が怒号が大きかった、そういう時代。でも登場した夫人達は、かなり強烈な印象を残してくれました。
根回し映画
いろいろとこねくりまわす根回し映画。地味。ダニエルデイルイスが爪の先までなりきっている。当代随一のプロの俳優。ジョセフゴードンレヴィットはさぞ嬉しかったろう。しかしリンカーンの奥さんは最初から最後までやなやつだったな。
ダニエル・デイ=ルイス オン ステージ
「ダニエル・デイ=ルイスのダニエル・デイ=ルイスによるダニエル・デイ=ルイスの為」の映画でしたな。
相当リサーチしたんでしょうね。
実在の人物ですしね。
徹底して本人に成り切ろうとしてるのが分かるというか、実際こんな感じの人だったんだろうなみたいな。実際を知らなくとも。
白熱した演技!熱い!全身全霊!燃え盛るような!という表現にはおよそ結び付かないんだけども、その抑揚というか、所作というか、静謐というか、立ち居振る舞いがもうね、もう別人乗り移ってるんですよ。ちょっと気持ち悪いぐらい。いやダニエル・デイ=ルイスの人となりは知らんですけども。
何だかこうね、全編通して顔色が青白く何かの病気患ってるんじゃないかってぐらいヒョロっとしててね。それが映画が進むにつれ過労続きで心労重なってったからだって分かると、ああ、これリンカーン本人は勿論そうだったんだろうけど、ダニエル・デイ=ルイスも実際それ追体験してたんじゃないかなって。
これはちょっと唸りますねぇ。うん。アカデミーで賞を獲ってもおかしかないです。
映画の内容よりも、兎に角ダニエル・デイ=ルイスの演技を観る!みたいな。自分はそんな観賞スタイルでした。
内容がポリティカルだったのでw
いやいや、ダニエル・デイ=ルイス!堪能しましたよ。
さすがスピルバーグ作品
ダニエル・デイ・ルイスが本物の様なリンカーンを演じきっていて、ものすごく魅力があり、かっこよくて最高でした。
トミー・リー・ジョーンズなどの脇役の俳優陣も皆演技がうまく、作品をより良くしていて、見ていて心地よい。
さすがスピルバーグ監督が長年あたためていた作品だけあって、深みのありとても素晴らしいく、まるでタイムスリップしたかのように、昔に戻ってカメラをまわした映像を、見たかの様な映画でした。
また繰り返し見たい作品が一本増えました。
歴史が動いた瞬間に立ち会えたような気分を味わえる
スピルバーグ監督がどうしても描きたかったリンカーンの生き様
もっとも愛されたアメリカ大統領とは一体どんな人物だったのか
全く知らない人間からするとわかりやすくその人物とその時代の背景、
歴史が動いた瞬間の出来事を紹介した作品
政治とはこれほどまでに複雑で苦悩するものなのか
と思い知らされた 人間の尊厳と命に狭間でもがき葛藤する 自分にそれだけ大きな権限と絶大な力がある為に、とてつもない責任がのし掛かる そこに費やした労力は計り知れないものがあると思います リーダーのあり方、聡明で、人の上に立つものの優しくもあり、力強くユニークもある説得力 機転が早く、人一倍の努力家 その圧倒的な存在感は、これだけの時間が流れても未だに引き継がれている
彼がやってのけたことの素晴らしさを伝えようとする人々がいること、その思いは永久に語り継がれると思います
伝記物ではなく、憲法改正の話でした。日本の政治家の方に見ていただきたいです。
伝記物かと思ったら、憲法改正の話でした。
アメリカの歴史はほとんど知らず、難しかったけど面白かった。
知識があれば別の面白さがあるのだろうけど、ない者にとっては、なんで?どうして?という面白さだった。
歴史秘話ミステリーみたいな感じです。
見始めた頃は、なんで憲法改正?北軍が勝てば、主張が通るのだから、必要ないのでは?と思った。
でも、奴隷解放は大義名分で、本当は黒人を白人と平等に扱う気などないらしい。
アメリカの南北戦争は奴隷解放は名目で、北部は工業地帯で、奴隷として使うよりも労働者として使う方が都合がいいし、効率もいいからと聞いたことがある。
当時のアメリカの憲法がどういうものかわからないけど、わからないながら推測すると、たぶん黒人に白人と平等な権利は認めないうというものだろうと思った。
そうなると、アメリカには州法というものがあるから、結局奴隷制度的なものが残る。
憲法>法律だから、憲法を変えれば、それはできなくなるけれど、北部政府にも、方便で奴隷解放と言ってはいるが、そこまでしてやる気はないという人がたくさんいて、大激論になる。
そんな中、南部政府の和平使節団がやってきて、反対派の人が勢いづきそうになる。
どうする?リンカーン大統領、みたいな話でした。
現在の日本の政治状況を考えると、さらに興味深いです。
違法はだめだけれど、違憲はOK。
戦争できない憲法は変えたい。
でも、変えにくいから、三分の二の賛成から、過半数に変えてしまえ。
などと主張している、日本の政治家の方に見ていただきたいです。
トミー・リー・ジョーンズ!おまえはもう少し仕事を選べ!
作品自体は素晴らしかった
映像も美しかったし
黒澤明を意識した力強いショット
主演俳優も
まるでリンカーンの銅像が
命を吹き込まれたような
凄みがあった
ただし一人だけ
日本で暮らしている俺から見れば…
トミー・リー・ジョーンズよ!
お前がどんなにシリアスな芝居をしても
お笑いにしかならないぞ
あんなくだらないCMに出過ぎた代償は大きいぞ
お前が画面に映ると
薄っぺらくなっちまうんだよ
政界の裏がよくわかる。
第16代アメリカ大統領、エイブラハム・リンカーン。
2期目の大統領選に勝利し、その3ヶ月後。
また、大統領最後の4ヶ月間でもある。
奴隷制度をめぐり争われた南北戦争。
たくさんの兵士の命が奪われていた。
戦争の勝利は見え始めていたが、このままでは終われない。
「奴隷解放」
リンカーンが宣言した。
上院は、前任期中に通過したが、下院では否決された≪憲法修正第13条≫。
なんとか今のうちに憲法を修正しておかなければ!!
議決までの1カ月間に起こる多数派工作。
事細かく描かれ、政界の裏工作の様子が、とても丁寧に描かれていた。
リーダーとしても苦悩、疲労、孤独。
大統領として、人々の声に耳を傾け、人民達と同じ間に身を置く。
要所要所でリンカーンが語る、たくさんのエピソードは、どれもがおもしろい。
ユーモアたっぷりだ。
歴史の大きな転換点となった「奴隷解放」。
リンカーンが願った政策が、わずかに、わずかに、実現されようとしていく様が見どころ。
今や「平等」や「自由」は、当たり前のように感じるけれど、
たくさんの人々の努力の賜物だと思うと
ずしりと重みが加わる。
それにしても、トミー・リー・ジョーンズ。
予告編を見た時は、「うふ~、あんな鬘をかぶっちゃって~」
な~んて思っていたのだけれど(私は彼のファンです)、
そうだったのか~。
トミーの存在感と個性と魅力的な人間性は、とても良い。
まさしく主演俳優。
陰影で当時の空気感を伝える照明のもと、
脇を固めた名優を支えに、
抑制の効いた落ち着きで誠実にエイブラハム・リンカーンを映し出す。
その中心、タイトルロール、
ダニエル・デイ=ルイスによるリンカーン像が素晴らしい!
知的なあたたかさを発散する佇まいと、
憂いを帯びた声、巧みな話術、静かな葛藤。
すべての存在感に魅了された。
ドラマ性に欠け、
偉人伝の範疇を出ていない印象はあるが、
拍手ものである主演俳優の見事な体現から、
"良い政治家とは何か"を訴えかけられる事はたしか。
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