リンカーンのレビュー・感想・評価
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政治家は信用できない
起伏のない会話劇の睡魔に勝つ忍耐力があれば、その後に待つ感動を得ることができる。名前を呼ばれた議員が奴隷解放に対する賛否を表明する。表決であんなにハラハラドキドキするなんて思わなかった。だれが賛成か反対か判るのだから、賛成するにしても反対するにしても覚悟が必要だ。それによって次回選挙の当落に影響する。国会議員の先生も落選すればただの人。政治家は清廉潔白では務まらない。立技(正論)も寝技(裏工作)も必要だ。リンカーンでさえ奴隷解放のためにはいろんな手を使っているようだ。オバマは演説で核兵器削減を説いただけでノーベル平和賞を授与された。何も実績をあげていないばかりか、アメリカ大統領であれば戦争で多くの死者を容認しなければならない。だから、政治家にノーベル平和賞はそぐわない。
スピルバーグは枯れたのか?
文豪や名作家と呼ばれる小説家の作品から面白味が消えるように、スピルバーグにも同じような滅びの現象が起きているのか?
ただ史実を垂れ流すだけなら、テープレコーダーにでも喋らせれば良い。
ドラマと呼べるような映像描写が何一つなく、全部説明ゼリフでお茶を濁す始末。
何故リンカーンが執拗なまでに奴隷解放にこだわり、自由と平等を謳ったかが、全くもって不明瞭。
伝記を読んだり、リンカーンの予備知識をもってこの映画を見ろと言う事か?
脚色するなら、ちゃんとリンカーンの内面も映像で補完しろ!
スピルバーグよ。
この作品から「今の日本人に必要なもの」とやらは、何一つ見出せへんかったぞ。
予告と本編の翻訳も違いすぎて、政治的な悪意すら感じる。
まるで計算されたかのような駄作やった。
文句なしに、個人的な今年のワースト映画の一位。
靴屋になれない大統領。
本年度のアカデミー賞で、最多12部門にノミネートされながら
二部門しか受賞できなかった今作の、何が原因なんだろう?と
思いながら公開を待っていた。で、鑑賞したら理由が分かった。
リンカーンの功績を謳い上げると地味になるということだろうか。
何も史実に基づいて正確に描かずとも、よりドラマチックに描く
ことは幾らでもできたろうに、敢えてスピルバーグはしなかった。
これは好き好きになるので良いも悪いも鑑賞者の印象によるもの、
今作が面白かった派、つまらなかった派に分かれるのは仕方ない。
私もリンカーンそのものがよく描けていた点と、やはりダニエルの
ソックリさん^^;を上回る演技には魅了されたものの、ドラマと
しての躍動感やエンターテインメント性には欠けていると思った。
確かに彼が成し遂げた功績は(一方では)大きい。
今の合衆国大統領がオバマであることの意味がハッキリと分かる。
でも英雄じゃなし、南北戦争においては清廉潔白でもない。
正に普通の政治家であり、家じゃ奥さんに頭が上がらない温情派。
彼の強固な信念が大きな目的を成し遂げた。それが今日を作った。
偉大なリーダーとはどうあるべきか、を淡々と描いた作品だった。
それにしても面白かったのは、リンカーンを始め、ソックリさんが
多数登場しており、しかもそれを俳優が成り切って演じているのが
またハンパなく凄くて、先程の話の流れは地味でも、各々の個性は
とめどなく派手^^;、奥さん役のS・フィールドですら、生き写しか?と
思うほど似ている。(性格までもしっかりと)
この奥さん、こんな描かれ方で可哀想…と思われるかもしれないが
本当にこういう人だったらしい^^;リンカーン大統領、押されっぱなし。
家でも凄いドレスを毎回身に纏っていたが、お買いものが大好き♪
夫が暗殺されたらすぐ遺族年金を要求、噂と違いしっかり者だった?
資産家の娘だったというからさすがだわ、とも思うけれど、彼らが
口喧嘩を繰り返す今作でも、どう見てもリンカーンの方が歩が悪い。
役に成り切るのが定評のダニエルは、今回も怠りなく役作りに没頭、
奥様役のS・フィールドに対し、文通を申し出たそうだ(よくやるよね)
家でもリンカーン、役でもリンカーン、アクセントも巧かったもんねぇ。
靴職人になりたくて仕方なかったダニエルを映画界が放っておかず、
(なぜ神は彼を靴屋にさせないのだろう)
俳優に戻してみたらすぐにアカデミー賞をとっちゃうダニエルの才能。
なんならお次は壇上で語っていた女性著名人役をやっていただいて、
行き着く所まで役作り対決、米国メリルと競い続けていただきましょう。
日本では大人気のボス(爆)、トミー・リー・Jも鬘を被って大熱演。
彼のしかめっ面がいつ綻ぶんだろうと、そればかりを祈りながら…
彼らの票集めでの奮闘ぶり、採決でのやりとりは本当に面白かった。
「知るか!賛成」とか「クソ食らえ!賛成」とか枕詞がのるところなんか
面々の畜生ぶりに大笑い。死傷者のことを考えたら笑えないのだけど。
ラストがエ?と思うほど淡々と終わってしまうところも狙いなのか。
手袋のシーンは、最後まで粋で良かったなぁ。
(鑑賞後には「声をかくす人」を。隠された事件の真実が暴かれます。)
予想してたよりこじんまりした話
こんな感想をもってどうかと思われるかもしれないが、当初自分が予想していたより話がこじんまりとしていた気がする。
話としては、信念をちょいちょい曲げて、ズルいことを多少行ってでも大局で勝つことを目指したお話ってことなんだろうが、
でもなぜ彼がその法案についてこだわっていたのかには今一つ伝わってこなかったのもあって、妙に話に厚みがない気がした。
最も印象に残ったのは、嫁が最後まで自己中だったことだな。悪妻が賢者を育てるってことなんだろう。
中身はさておき、主演の人は驚くほどそっくりだった。あと、ジョーンズのかつらはかなり似合ってない。
こんな政治家、日本にも欲しい(と、みんな言うんだろうな)
アメリカで最も愛される大統領で、日本でも奴隷解放という歴史的偉業を成し遂げ、そして、アメリカ史上初めて暗殺された大統領として知られているエイブラハム・リンカーン。この映画では、奴隷解放を定めたアメリカ合衆国憲法修正第十三条の下院での可決に掛けた、リンカーンの情熱を描いている。
冒頭、このあたりの歴史的事情に疎い日本人のために、監督のスピルバーグ自身による、歴史的背景の説明があります。確かに、それが有るのと無いのでは、何をしようとしているのかの理解は、全然違うでしょうね。
改めて、南北戦争と奴隷解放、そして、リンカーン暗殺を時系列で示すと下記の通り。
1861年3月4日 エイブラハム・リンカーン第16代アメリカ合衆国大統領就任
1861年4月12日 南北戦争開戦
1862年9月22日 奴隷解放宣言(1回目)
1863年1月1日 奴隷解放宣言(2回目)
1863年7月1日~7月3日 ゲティスバーグの戦い
1865年1月31日 アメリカ合衆国憲法修正第13条議会可決<-今回の映画の話
1865年3月4日 二期目就任
1865年4月9日 南北戦争終結
1865年4月15日 エイブラハム・リンカーン暗殺
と言う事で、日本でも有名なゲティスバーグの戦い(と、演説)よりも、後の出来事を映画では描いているんですよね。劇中、ゲティスバーグでの演説を聞いたと兵士たちが言っていて、しかも、暗唱しているので、そのことは自明ですが。
実は、映画で描かれているのは、たった28日間の話なんですよね。もっと長いような気がしますが。それだけ、濃密な議論が当時のアメリカ国内で行われていたということなんだと思います。
現代の人間から見ると、奴隷解放という偉業を成し遂げたリンカーンは、名大統領と呼ばれるわけですが、当時の人々から見ると、強引と思った人々が少なからず存在したのでしょう。それが故に、暗殺された時「Thus always to tyrants.(常にかくあれ、圧政者には)」と言われたんだと思います。今のTPPへの参加とかも同じ感じなのかもね。時代を経て、上手く行っていれば安倍総理は歴史に名を残す名総理だし、失敗したらヘボ総理になるわけです。
ところで、現代においても、大統領側が特定の法案を議会で通したい時は議会の説得工作を行います。流石に、職を提供するような、露骨な利益誘導はしないと思いますが、WIN-WINの関係でないと相互の利益にはならないでしょうから、どう言う交渉が行われているか、興味深い所ではあります。
さて、冒頭、戦闘シーンから始まるんですが、『プライベート・ライアン』で見せたような、色合いを落とした映像で、戦争の悲惨さなどを浮き彫りにする演出をしています。時代が時代なので、リアルな肉弾戦ですね。
それと、ダニエル・デイ=ルイスですよ! いやぁ、リンカーンは教科書などでも我々は顔を知っているわけですが、そっくりですね。ビックリです。ただ、そっくりなメイクだけではアカデミーの主演男優賞は取れないわけで、憲法修正(そして、戦争の終結)に掛けるリンカーンの情熱を、あたかもリンカーンが乗り移ったかのように演じています。この映画は、彼の熱演に尽きるね。
2013年の第85回アカデミー賞では、主演男優賞(ダニエル・デイ=ルイス)とアカデミー美術賞を受賞。同じく2013年第70回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(ダニエル・デイ=ルイス)受賞。その他にも、沢山の賞を受賞しています。
下記で、“アメリカ連合国”と表記しているのは、国際的には正式にその存在を国として認めた諸外国は無いため。もっとも、戦時国際法における交戦団体としては、その存在と地位は認められているようですが。
アカデミー主演男優賞に納得。
隣で鑑賞されていた老夫婦は‘いい映画だったな’とつぶやかれていました。
俺的には‘…’。
‘奴隷開放制度の歴史的解決’という話には確かに唸らされる話題ではあります。
また、リンカーンの信念と行動もこの映画見て‘凄いな〜’とか、やっぱり困難な時代には強いリーダーが必要なんだってことも感じました。
けど、他の方のレビューにも書かれていますが、本当に全体的に地味。
歴史上の人物だから嘘は描けないけどスピルバーグならもう少しエンタメ性付けられたのではないかと…。こういう作品にそんなこと期待すべきないとも思うのですが…。
あと、俺に歴史的知識もないからお話について行けなかったというのもありますが…お恥ずかしい。
ダニエルデイルイースの名演はさすが!鈍い俺でもそれはひしひしと感じました。観客までも引き込むセリフまわしや演説口調はグイグイ引き込まれますね。サリーフィールドなんかもすっかりおばさんだけどいい味出してました。
本当にスピルバ-グ映画なのか!
部屋で話し合いしているだけの映画。リンカ-ンが暗殺されるシ-ンも無く、インパクトに欠ける。今までと違う作り方に驚きました。私的にはつまらない映画でした。
艶っぽい恋愛も派手な救出劇もないのに感動
日本における第16代米国大統領エイブラハム・リンカーンは、奴隷解放宣言を発した人で、ゲティスバーグでの演説
"government of the people, by the people, for the people(人民の人民による人民のための政治)"
で知られている。というか、たぶんこれくらいしか知られていない。
ところが本作のリンカーンは、そこからしばらく後、南北戦争終結直前における憲法13条修正案が提出された下院が舞台。
日本人にしてみれば、憲法13条が何なのかも知らなければ、南北戦争の歴史すら知らない。
なんのことやらさっぱり分からない中で進むストーリーは、政治サスペンスの様相を帯びて熱っぽく進んでいく。
これが逆にアタリではないかと思う。
政治的なワードが出てきてつまらんとかいう人もいるみたいだけれど、そういう人は知ってる内容だけで作られたディズニーでも見ていればよろしい。ストーリーを追う必要のないアクション映画なんかもオススメだ。
そういう作品は山ほどある。
しかし知らないからこそ、また逐一説明を入れずともドラマで仕立てる作品こそ、映画というのは盛り込まれるストーリーがふくらみ、感動も大きくなる。
そういう意味では、米国で育って周辺知識が既知の観客よりも、僕らはよりいっそう幸せなのかも。
今、日本でも憲法改正が論議されているけれども、米国における憲法修正も手続きのハードルは高い。議会で3分の2以上の賛成を必要とする。
リンカーンの共和党全員が団結しても20票足りない。まして共和党だって一枚岩じゃない。保守派もいるし、急進派だっている。簡単じゃない。
それをリンカーンは
「なんだ20票か(only twenty)」
と軽く言ってのける。
その自信はどこからくるのか。
憲法13条修正により奴隷制度が廃止され、南北戦争が終結するから。
すでに多数の犠牲を払っている同戦争を終わらせようと、みんな期待して憲法修正に期待したのだ。
しかし議会の行方如何にかかわらず戦争が終わってしまったら?
ここが本作のミソ。
打算的な理由がなくちゃ政治は動かないのか。
人が信じる平等とは何か、平和とは、公正とは何なのか。
目の前の低い課題に流れて、将来にわたって得られるであろうチャンスをフイにしてしまうのか。
劇中、リンカーンはほとんど命令しない。
自らが決断し、そして人々の良心に訴えかける。
だから人々に愛されたのだし、みんながついていったのだろう。
それはまた、思惑の違う人たちの狭間で苦しむ人生を歩む宿命でもある。
立派な息子の父親であり、ごくごく普通の女性の夫君であり、しかしみなが愛する大統領リンカーン。
いささかドラマチックに仕立ててあるのだろうけど、その辺に目くじら立てることはすまい。
この種の題材で伝記よろしくやられたら、それこそ観客はそっぽを向いてしまう。
政治に関するアレやコレやもトリビア的に楽しめるつくりになっている。
米国政治につきもののロビイストがどんな動きをしているのか、大統領と議会の関係、党内調整などなど。
目をつむって耳をふさいだらそれまで。なんだろうと関心を持てば応えてくれる。なにせスピルバーグ監督作品だもの。矮小な精神に逃げ込まなければ大丈夫。
わざとらしい恋愛もなければヒロインの救出劇もない。
だけどこみ上げてくる感動。
この映画はすごい!
では評価。
キャスティング:9(頭にくるバカと優柔不断と狭量の政治家たちがイキイキと。もちろん主演のダニエル・デイ=ルイスはいうまでもない)
ストーリー:10(艶っぽい恋愛も胸躍る救出劇もない。でも胸を熱くさせる)
映像・演出:8(戦争よりも議会をメインにすえたため少し地味。でも時代がかってて好き)
平等と公正:8(これほどガツンと自由について考えさせられる映画は久しぶり)
感動:10(ジワッとくるシーンがいくつも。どれも目から水が漏れ、鼻はワサビをかいだようになる)
というわけで総合評価は50点満点中45点。
日本人は「政治」というだけで遠ざけるきらいがあるから、その意味で本作は向かい風。
しかし鳥は羽ばたくとき風に向かう。苦手意識を押し込めてどっぷりつかってしまえば目が開く。
そしたら何か感じるものがあると思う。あると信じて鑑賞するのがオススメ。
寝る
正直、ここまで地味な作品とは思わなかった。
スピルバーグ監督、アカデミー賞でも旋風を巻き起こしアメリカで話題の映画。
ただしエンタメ要素は一切なし。南北戦争や奴隷制度に関する刺激的な描写は全く描かれず、小さい部屋でなにやら地味~な会話をする場面がとにかく多い。
当時の歴史背景に詳しいアメリカ人ならともかく、あんまり学生時代に勉強しなかった俺みたいな人が興味本位で見ると、2時間半の長尺の中睡魔と戦うだけになってしまうので注意(笑)
歴史好きには良い
リンカーンの名言、人民の人民による人民のための政治
正しくその名言を達成した人だと実感しました。
私は歴史に詳しくないのですが、
リンカーンと言えば、名言、奴隷解放、暗殺といったことしか知らなく、
鑑賞しました。
最初は奴隷解放の第13条の修正案に向けての
賛成者を集うために、工作していく。
ところどころ、コミカルな部分もあったのですが、
テーマが重すぎてあまり笑えなかった。
前半は重たく長く感じられましたが、
後半では議決のときに、賛成者が増えていく賛同の声には、
観ながらも楽しみました。
最後にはトミーリージョーンズ演じる、奴隷制度への執着
の意味には涙がほろり。
リンカーンの暗殺のシーンは少ししか触れられませんでした。
レディスデーにも関わらず、男性が多く観ていました。
後半ずっとすすり泣きの観客もいました。
きっと西洋史を勉強していたら、もっと感情移入できたのかも知れません。。。
時を逃さない洞察と覚悟
思っていたより落ち着いた作品でした。観て良かったです。
南北戦争終盤の奴隷制度撤廃に向けての議会の攻防。リンカーン大統領の人となりや信念への情熱がダニエル・デイ=ルイスの名演を通して、じっくりとしみこんできました。
印象深かったのは、成すべき時を逃さない洞察と覚悟。トミー・リー・ジョーンズ演じる人権急進派スティーブンスとの議論にこめた、静かな気迫にゾクっとしました。
スティーブンスも聞く耳の持ち主で良かった、反対のための反対は何処にも行きつけません。
議場でのやり取りは、議事録などの資料を参考にしているのでしょう、緊迫した舌戦でした。
態度を決めかねている議員をコミカル演じたウォルトン・ゴギンズ、なかなかおいしい役どころだったんじゃないでしょうか。投票に際しての私達の立場に近いと思えます。最後まで迷う、一票の重みも心に響きました。
参政権の議論の時、黒人より女性の方が怒号が大きかった、そういう時代。でも登場した夫人達は、かなり強烈な印象を残してくれました。
根回し映画
いろいろとこねくりまわす根回し映画。地味。ダニエルデイルイスが爪の先までなりきっている。当代随一のプロの俳優。ジョセフゴードンレヴィットはさぞ嬉しかったろう。しかしリンカーンの奥さんは最初から最後までやなやつだったな。
足を運んで良かったとは思う。
今日のアメリカ合衆国における、平等の基盤を築いた立役者を描く。非常に臨場感に溢れ、見る者を引き込む迫力があった。憲法改正をめぐる政党間の駆け引きには緊迫感があり、これぞアカデミー賞感はあった。
ダニエル・デイ=ルイス オン ステージ
「ダニエル・デイ=ルイスのダニエル・デイ=ルイスによるダニエル・デイ=ルイスの為」の映画でしたな。
相当リサーチしたんでしょうね。
実在の人物ですしね。
徹底して本人に成り切ろうとしてるのが分かるというか、実際こんな感じの人だったんだろうなみたいな。実際を知らなくとも。
白熱した演技!熱い!全身全霊!燃え盛るような!という表現にはおよそ結び付かないんだけども、その抑揚というか、所作というか、静謐というか、立ち居振る舞いがもうね、もう別人乗り移ってるんですよ。ちょっと気持ち悪いぐらい。いやダニエル・デイ=ルイスの人となりは知らんですけども。
何だかこうね、全編通して顔色が青白く何かの病気患ってるんじゃないかってぐらいヒョロっとしててね。それが映画が進むにつれ過労続きで心労重なってったからだって分かると、ああ、これリンカーン本人は勿論そうだったんだろうけど、ダニエル・デイ=ルイスも実際それ追体験してたんじゃないかなって。
これはちょっと唸りますねぇ。うん。アカデミーで賞を獲ってもおかしかないです。
映画の内容よりも、兎に角ダニエル・デイ=ルイスの演技を観る!みたいな。自分はそんな観賞スタイルでした。
内容がポリティカルだったのでw
いやいや、ダニエル・デイ=ルイス!堪能しましたよ。
さすがスピルバーグ作品
ダニエル・デイ・ルイスが本物の様なリンカーンを演じきっていて、ものすごく魅力があり、かっこよくて最高でした。
トミー・リー・ジョーンズなどの脇役の俳優陣も皆演技がうまく、作品をより良くしていて、見ていて心地よい。
さすがスピルバーグ監督が長年あたためていた作品だけあって、深みのありとても素晴らしいく、まるでタイムスリップしたかのように、昔に戻ってカメラをまわした映像を、見たかの様な映画でした。
また繰り返し見たい作品が一本増えました。
歴史を変える事の重過ぎる代償
スピルバーグが長年温めていた企画が遂に実現。
南北戦争末期、奴隷制廃止を法として制定させようと苦心する
リンカーン大統領と、それを取り巻く人々の1ヶ月間を描く。
映画冒頭でスピルバーグ本人が物語の背景を紹介してくれるが、政治に疎い人間には話がチョイと難しいかな。
それでも、かなり面白い。
奴隷制廃止を謳う“修正第13条”を議会で通過させる為に、
説得・買収・脅迫とあの手この手の政治工作が繰り広げられる。
正義だけでは勝てない。正義を為すために、腹の底まで泥にまみれる……
政治はシンドイね。
ダニエル・デイ・ルイスが物凄い演技で魅せる。
本人とそっくりかどうかは誰にも分からないけど、
上映中、僕はこれが役者の演技である事をしばしば失念していた。
『見事に演じられたキャラクター』ではなく、血肉の通った人間がスクリーンの奥に居るように思えた。
トミー・リー・ジョーンズも強面の活きる良い役。
なぜ彼はあそこまで奴隷制を憎悪したのか……その理由が判明するシーンに目が潤む。
黒人でも白人でも痛みを感じ、哀しみを覚え、
憎み愛する生き物であるという点で、何の変わりもない。
彼とリンカーンはそれを知っていた。
奴隷制廃止を決する投票シーンは、結果は分かっていてもスリリングだった。eigafreakさんも書かれていたが、
歴史の動く瞬間を目にしているような、厳粛な緊迫感と感動に溢れていた。
だが、その代償は?
嘘を吐き、信頼する人々をも裏切り、独裁者の如く権力を振るい、愛する家族さえ傷付ける。
数十万もの命を奪った戦争の終結を先伸ばしにした事実も変えられない。
それが人類の尊厳を守る為だ、後に生まれてくる何百万人の為だと固く信じていたとしても、
あののんびりと優しい物腰の男は、それを為すのにどれほどの恨みを買い、
そしてどれほどの呵責を感じた事だろう?
それはどんなに苦しかったろう?
恨みを買って暗殺されたリンカーン。
暗殺後のシーンで僕は、紙に黒インクで印刷された歴史上の偉人ではなく、
親しい人を亡くしてしまったような、自分の中の何かが欠けてしまったような、そんな感慨に襲われた。
家族を愛する事、人間を愛する事に苦しみ抜いたひとりの男の死を悼んだ。
弱い人間、欠点のある人間でも歴史は動かせる。
歴史を動かすのに必要なのは、揺るがぬ意志。
そう教わった気がする。
〈2013/4/20鑑賞〉
迫力に押され、あっと言う間の2時間半だが、日本人には少しばかり難しいかも知れないね
アメリカの歴史の詳細や、政治情勢にも明るく無い私には、どうしてハリウッド映画界が、この1~2年に立て続けてリンカーン大統領を素材にした作品を多数撮る事にしたのか?
その背景には何が起因しているのか理解出来ていない。
まぁしかしそんな動機を知った処で、この作品の良し悪しの評価が変わる事も無いのかもしれないが、何故かそこがどうしても、私には引っかかるのだ。
黒人奴隷解放を行った彼は、最もアメリカ人に愛されている大統領の中の1人である。
しかし、元々大陸に永年棲んでいたネイティブアメリカンを多数大虐殺する政策をした事でも大変有名な大統領なのだ。
そんな彼の「人間は神に因って平等に創られた」と言う大いなる矛盾する、2面性を今のアメリカ社会は知りながらも、今日も英雄として祭り上げる、その今のアメリカ社会のマインドと言うか、世界観がどうしても気になるのだ。
黒人であるオバマ大統領が2期も続けて大統領に就任した事が、リンカーンブームの背景になっている理由とは、考え難いのだ。
この作品ではリンカーンが、今生きている黒人たち生涯だけでは無く、これから未来に生れて来る黒人をも、救う事になるのだと言うシーンがあったが、確かにリンカーン大統領が、この決議を成功させていなければオバマ大統領も存在していなかったのかもしれない。
そう考えると彼の政治的功績は大きいのだろう。
そして、本作をスピルバーグ監督は、大統領の生涯の伝記映画としては描かずに、彼の悲願である南北戦争の一日でも早い終結と、それに合わせて黒人奴隷を解放させる事を議会で、可決させる迄の日々を克明に追った心理ドラマとして描いた事は実に名案だったと思う。
そして、確かにリンカーンを演じたダニエル・デイ・ルイスは名優中の名優で巧い。
サリーフィールドも「ノーマレイ」に続いてオスカーを併せて2度も獲得しているので、文句の付けようの無いキャスティングだ。
だからこそ、スピルバーグが政治的な素材を主題にした作品を創ると、完全にオスカーをよこせと意識して撮った事が見え見え確実で、映画全体が嫌味に見えて、嫌いな作品になる。
それに引き換え、元々マイペースで、生真面目なロバート・レッドフォードが制作した「声を隠す人」には、スピルバーグの様な嫌味な処が微塵も感じられない。
そう言えばもう1点思い出したが、この「リンカーン」は、彼の政策が議会で勝利し、完全にハッピーエンドの物語で絶対に終わらせるべきだったと思うのだ。
その後の暗殺事件の事は誰もが周知の事であり、ましてや幼い三男息子の泣き顔のアップを長々と撮るなどは、完全に描く必要の無いシーンだ。どうしてもと言うなら、ナレーションか、テロップ表記で充分だ。
その前迄に映画が描き出して来た緊迫感溢れる、芳香な味わいの大人の映画を安っぽいお涙頂戴のバカな三文映画に貶めてしまう。やはりこれでは3度目の監督賞は絶対無理だ!
歴史が動いた瞬間に立ち会えたような気分を味わえる
スピルバーグ監督がどうしても描きたかったリンカーンの生き様
もっとも愛されたアメリカ大統領とは一体どんな人物だったのか
全く知らない人間からするとわかりやすくその人物とその時代の背景、
歴史が動いた瞬間の出来事を紹介した作品
政治とはこれほどまでに複雑で苦悩するものなのか
と思い知らされた 人間の尊厳と命に狭間でもがき葛藤する 自分にそれだけ大きな権限と絶大な力がある為に、とてつもない責任がのし掛かる そこに費やした労力は計り知れないものがあると思います リーダーのあり方、聡明で、人の上に立つものの優しくもあり、力強くユニークもある説得力 機転が早く、人一倍の努力家 その圧倒的な存在感は、これだけの時間が流れても未だに引き継がれている
彼がやってのけたことの素晴らしさを伝えようとする人々がいること、その思いは永久に語り継がれると思います
伝記物ではなく、憲法改正の話でした。日本の政治家の方に見ていただきたいです。
伝記物かと思ったら、憲法改正の話でした。
アメリカの歴史はほとんど知らず、難しかったけど面白かった。
知識があれば別の面白さがあるのだろうけど、ない者にとっては、なんで?どうして?という面白さだった。
歴史秘話ミステリーみたいな感じです。
見始めた頃は、なんで憲法改正?北軍が勝てば、主張が通るのだから、必要ないのでは?と思った。
でも、奴隷解放は大義名分で、本当は黒人を白人と平等に扱う気などないらしい。
アメリカの南北戦争は奴隷解放は名目で、北部は工業地帯で、奴隷として使うよりも労働者として使う方が都合がいいし、効率もいいからと聞いたことがある。
当時のアメリカの憲法がどういうものかわからないけど、わからないながら推測すると、たぶん黒人に白人と平等な権利は認めないうというものだろうと思った。
そうなると、アメリカには州法というものがあるから、結局奴隷制度的なものが残る。
憲法>法律だから、憲法を変えれば、それはできなくなるけれど、北部政府にも、方便で奴隷解放と言ってはいるが、そこまでしてやる気はないという人がたくさんいて、大激論になる。
そんな中、南部政府の和平使節団がやってきて、反対派の人が勢いづきそうになる。
どうする?リンカーン大統領、みたいな話でした。
現在の日本の政治状況を考えると、さらに興味深いです。
違法はだめだけれど、違憲はOK。
戦争できない憲法は変えたい。
でも、変えにくいから、三分の二の賛成から、過半数に変えてしまえ。
などと主張している、日本の政治家の方に見ていただきたいです。
トミー・リー・ジョーンズ!おまえはもう少し仕事を選べ!
作品自体は素晴らしかった
映像も美しかったし
黒澤明を意識した力強いショット
主演俳優も
まるでリンカーンの銅像が
命を吹き込まれたような
凄みがあった
ただし一人だけ
日本で暮らしている俺から見れば…
トミー・リー・ジョーンズよ!
お前がどんなにシリアスな芝居をしても
お笑いにしかならないぞ
あんなくだらないCMに出過ぎた代償は大きいぞ
お前が画面に映ると
薄っぺらくなっちまうんだよ
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