「憲法修正案を巡る政治劇」リンカーン arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
憲法修正案を巡る政治劇
リンカーンくらい有名な、いわゆる偉人の伝記映画を作る際にに重要なのはやはり“切り口”だろう。『JFK』のように暗殺事件の経緯を追う作品にすることも出来ただろうし、大統領に上り詰めるまで、あるいは南北戦争にフォーカスすることも出来ただろう。
しかし、スピルバーグは憲法修正案第十三条通過を巡る政治劇に仕立てた。
スペクタクルな要素は少ないし、スピルバーグ作品としてはとても意外だったのだが、この選択がとても良かったと思う。
修正案通過には、三分の二の賛成票が必要。
共和党内も急進派と穏健派に分かれ一枚岩ではなく、民主党議員の賛成票がどうしても必要であり、この多数派工作は簡単な仕事ではない。
リンカーンはその一方で和平案の協議も秘密裏に進めていた。
このコツコツした積み重ねがあったからこそ、修正案通過のクライマックスには胸が熱くなる。
今作を観ると、リンカーンが政治家として如何に大胆で優れていたかがよく理解できる。
リンカーンといえば、ゲティスバーグぼ演説が有名だが、この作品も名セリフの宝庫。
このセリフを言えるなんて役者冥利に尽きるんじゃないだろうか?
コメントする