「新たな発見なし」リンカーン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
新たな発見なし
アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの伝記ドラマだが、描かれるのは南北戦争終盤からで、奴隷制度廃止か否かを争う議会にスポットがあてられる。
ダニエル・デイ=ルイスの熱演は見応えあり、トミー・リー・ジョーンズの演技も渋い。
ただ、ストーリーとしては新鮮味がない。議会の投票や南軍との和睦の駆け引きをサスペンス・タッチに脚色し、じっくり構えながらもスピード感のあるカメラワークで見せるあたり、さすがスピルバーグだとは思う。だが、史実には大きく手を入れるわけにも行かず、映画としてドラマチックな面白みに欠ける。もちろん駄作ではないが、同じスタッフによる「戦火の馬」のほうが、先が読めないだけ楽しめた。
伝記ドラマは遊びを入れる余地がある人物や年代を扱ったほうが作品に特色を出せる。敢えて、史実がはっきり記録された人物を選択したスタッフ&キャストの力量は讃えたい。
それにしても奴隷解放から150年、未だにアメリカでは人種差別が尾を引いている。ハリウッド映画で白人と黒人のカップルが頻繁に出るようになったのは、ここ数年のことだ。
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