隠し砦の三悪人のレビュー・感想・評価
全50件中、21~40件目を表示
全部乗せ!愉快痛快アクションコメディー時代劇!
イヤ〜〜 面白かったわ!
さすが黒澤!さすが三船!
有名な話、公開順の一番初めの
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』
のモチーフとなっている作品です。
時代的には応仁の乱の頃でしょうか?権力者同士の領地争いが続く中
百姓でも戦のドサクサで褒美や大金が手に入るかも?と欲だけは深いけど
実際には何にも出来ないダメな2人の男が耳にしたのが、
隣国に攻められて落城した城主の姫が莫大な金を持ったまま、
何処かへ行方を眩ましている。
見つけて捕らえた者や密告した者には褒美が貰える。
この話に飛びつく欲深い二人の前に現れたのは
素性不明のやたらと偉そうで腕っぷしも強そうな1人の男!
さて、この3人の間に何が起きるのか!
コメディーであり、人間の欲深さのドラマでもあり、
乗馬や一騎打ちなどの戦闘アクションでもあり
侍の忠義ものでもあり、
戦国版「ローマの休日」でもあったりします。
全部乗せ!愉快痛快アクションコメディー時代劇!
なので難しく構えず気楽に観てください!
で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては
改めて三船敏郎が外国人に受ける理由が良く解る。
目鼻立ちのはっきりした顔立ちに腹に響く低音、
大きな力強い体躯なのに、動きは軽快で娘っ子一人くらいは
肩に担いで走れるくらいの身体能力の高さ!
画面に現れただけで無条件で主役!
ヒーローでしかない存在感。
言っちゃ悪いが「シャン・チー テン・リングスの伝説」なんか
誰が主役か最初はわからないでしょ!
(あれは普通で居たい人が否応なくヒーローになる話なので
仕方ないか~~)
そんな隠しきれないヒーローオーラを持つ三船と
絵作りに一切、妥協しない黒沢の奇跡のコラボです。
だまされたと思って若い人に見て欲しいです。
痛快、爆笑、かっこいい。涙が出た。
午前10時の映画祭。
実に43年振りに映画館の大画面で鑑賞。
前回は高校生の時、「影武者」制作中で東宝さんがリバイバル公開してくれてたんだと思う。
「用心棒」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」の今では考えられない三本立て。
邦画ってこんなに面白かったんだと一気にはまってしまった。
当時は洋画のパニック映画、今で言うディザスターフィルム全盛期で、邦画は東宝が百恵ちゃん、松竹は寅さん、東映がトラック野郎(ジャッキーチェンの初期の作品はトラック野郎の同時上映でした)、日活はロマンポルノ。唯一角川映画が頑張ってた。
レンタルビデオ店もない時代、名古屋や京都の名画座へ黒澤映画や岡本喜八の映画がかかると電車で片道二時間かけて観に行ったなぁ。懐かしい。
東宝シネスコープのマークにパッパパー、佐藤勝さんのテーマ曲。もうワクワクが止まらない。
加藤武さんの落武者本当に馬に頭蹴られてるし。
群衆シーン、火祭、裏切り御免、六郎太っ!、もちろん三船さんの馬上で両手離して刀構えて、、、
もう次から次へ痺れて涙が出てきた。
かっこいいもの観て涙って出るんだ。
午前10時の映画祭に感謝。
朝、一回だけじゃなくて夜もすればいいのに。
TSUTAYAやGEOともタイアップすればいいのに。
もったいないですよ。
東宝さんも、古い宝物定期的にリバイバル公開してください。
娯楽映画の〝超絶技巧〟の見本市
娯楽映画として快感を味わえる要素ですが、鑑賞直後に思いつくだけでもこんなにあります。
映画館で未見の方、新作を一本我慢してでも見る価値大有りだと思います。
・バディもの(しかも、見方によっては何パターンかある)
・アクション(地上、馬上。水中はさすがに無い、落とされるのはあったけど)
・臨場感(砂利の坂道のシーンはこちらまで本当に息が上がりそうな感覚になる)
・ロードムービー
・ピンチの連続、機転と偶然による切り抜け
・ハンソロとルークが表彰されるシーンの再現(本当は、スターウォーズのほうが再現してます)
・いわゆる弥次喜多コンビ的な笑いに醸し出される人間臭さ
・そこにいかつい三船敏郎が加わってのコント
・痛快な逆転劇(裏切り御免❗️)
・若姫(強気で、お転婆で、キレのある美人)の成長
・志村喬さんを贅沢に使っての忠誠心
・歌と踊りのエンタメシーン
・多数のエキストラによる規模感
脇を固める役者の存在感が重要なポイント
痛快娯楽時代劇の傑作巨編でこの作品は脇を固める役者の存在感が重要なポイント。百姓の太平と又七のコンビが面白おかしく描かれていて観るものを引き付ける。また雪姫役を演じた上原美佐も魅力的で素晴らしい。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2021-143
裏切り、御免!
黒澤明が娯楽に徹したら向かうところ敵なし。
午前十時の映画祭11にて。
大筋は、敵に占拠された自国領から、姫君と軍資金を敵の包囲網をかい潜って隣国まで送り届けようとする脱出劇。
秋月家の侍大将である真壁六郎太(三船敏郎)、報奨目当てで戦場にやって来た百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)、秋月家の姫である雪姫(上原美佐)の4人旅になるのだが、太平と又七がごまかすために言ったことを六郎太が採用し、わざわざ敵の領地を通り抜ける決死の作戦を決行することになる。
その上、太平と又七は六郎太と雪姫の正体を知らないから、彼らに使命感などなく、金塊を持ってトンズラしようとしたりするのだから面白い。
彼ら一行は次々と危機に見舞われるのだが、間一髪で切り抜けるアイディアを連続させる構成がヒッチコックのようでもある。
『スター・ウォーズ(episode Ⅳ)』に引用されたことで有名になった太平と又七の掛け合いのシーンで映画はスタートする。
埋蔵金掘りの強制労働夫たちが反乱を起こし、暴徒となって石段を駆け降りるシーンの迫力に圧倒されるが、まだまだ物語は導入部だ。
太平と又七の前に仁王立ちの六郎太が現れると、物語の本筋が動き始める。
この、岩山の上に立つ三船敏郎を見せる構図の完璧さ!
やはり本作でも三船敏郎の身体能力が発揮されている。
敵の騎馬を追う三船は、両手で刀を高く構えて両足だけで駆ける馬を操っている。『七人の侍』では裸馬に乗って見せた。
このシーン、追う三船と逃げる敵騎馬をパンで撮影して背景を流すことですごいスピード感を出している。
田所兵衛(藤田進)との一騎打ちでは、長い槍を見事に振り回す。対する藤田進も姿三四郎を演じた人だけに三船としっかり対峙しているが、運動量は圧倒的に三船だ。
敵の鉄砲隊に追い詰められた場面で、村娘を肩にかついで山の斜面を走ったりもしている。
上原美佐は、オーディションで決まらなかった雪姫の役を、一般人から東宝の社員がスカウトしたというのは有名。
撮影にあたって乗馬と剣道を特訓されたらしいが、短いシーンだが山中で馬を乗りこなす姿は見事だった。
本作で人気を得たが、2〜3年で女優を引退している。
途中の宿場で人買いに連れられた秋月領の村娘を助け、一行は5人となる。この娘を演じた樋口年子という女優は雪姫のオーディションを受けた一人だったらしい。
この娘が姫の正体に気付き、身を挺して雪姫を守ろうとする姿は感動的だ。
黒澤明は「やり過ぎくらいが丁度いい」がモットーで、時々暴走したような映像を挟む。
本作では火祭りの場面が正にそれだ。それはまるでケチャックダンスのようで、山林の村というより南海の孤島の儀式の様で、モスラでも出てきそうだ。
いよいよ捕らえられた雪姫、六郎太、村娘の三人。万事休すの場面で、顔検分に現れた田所兵衛を前に雪姫が堂々と兵衛とその上司を批判する。
この台詞は、現代にも通じる人の上に立つ者の在り方を問うている。
雪姫の言葉で踵を返した兵衛と共に最後の大脱出を図る。「裏切り、御免!」
終幕の後日譚もハートウォーミングで、終始楽しめる傑作である。
果たして、六郎太、雪姫と共に早川領に逃げ込んだと思われる田所兵衛は、その後どうなったのだろうか。
百姓コンビが面白かった
アニメでゲーム
心まで沈黙するな
そもそも3悪人って誰?と思ったが、登場人物全てではないかと。
だって各々、自分の野心実現や名誉回復しか考えてないし、雪姫も侍も足軽2人も立場が違うだけ。雪姫の付き人(侍)の忠誠心は職務上の言動だよね。戦国時代とは言え、終始彼が足軽2人を罵倒して見下してるのは不快だったよ。
唯一、誰かの為に立ち回ったのは雪姫に庇われた娘かな。健気に人身売買に抵抗した彼女は、その後どうなったんだろう。雪姫に救われた忠誠心から、自己犠牲に転じる姿が可哀想だった。
「貴女が死んでも、また他の誰かが犠牲になるだけだから止めなさい」と言いたくなった。
野心や欲望を「身の程知らず」「ワガママ」と否定的に捉えるより、自尊心や向上心の強さと肯定的に考えた方が権力への依存や自己犠牲を回避できるかも。
エラい人もその他大勢も、ひたすら自分の為に生きて良いんだよ。
見どころは、火祭りシーン。ノースリーブ&短パン姿で軽快に踊る雪姫です。
魅入ってしまう!!!
なんて面白い映画なのだろう。
なんて気持ちのいい映画なのだろう。
何度となく繰り返される二人の掛け合い。観客を映画の世界へ導いてくれる導入・狂言回し、かつ物語のアクセントであるものの、人の”生”を、忠義のために命を粗末にする武将との対比で、謳いあげてくれる。
そして三船さんの登場。『羅生門』の山賊や桑畑・椿と比べると、なんと品のあることよ。なのに、姫に振り回される感じがなんともかわゆい。そして他のレビューでも絶賛される騎乗のスタント。それ以外のスタント。
雪姫の立ち振る舞い。化粧は妖怪かギャグかとびっくりするが、不思議なことに物語が進んでくるうちに美しく見えてくる。所作のキレ、着物の裾裁き、お見事。候補に挙がった女優ではお気に召さず、ずぶの素人の上原さんが抜擢されたらしい。セリフ回しにも最初度肝を抜かれるが、これまた、終盤格好良くキメてくれる。
途中で加わる女。最近のつまらない映画やドラマを見ている身が予想する動きの上を行く。まだ、人の”信”が生きていた時代なんだなあ。
そして、敵の将。江戸時代300年のうちに”忠義”のあり方が捻じ曲げられてしまったけれど、戦国時代はまだ、誰に命を託すか選べる時代だったんだなあ。己を知って、”活か”してくれる上司に使えたいものよ。
国盗り物語故の残酷な場面はある。
でも、上に立つものが、下の者の命や生活を気遣い、下に使えるものが上に立つものの立場を思いやるという筋に、
一緒に旅するものをもだまくらかしての逃避行ーいつばれるのか、
敵陣を突破する逃避行ーその危難の越え方、
が、意表を突くような方法で、わらしべ長者のように、一つの展開が思いもよらない展開を生み、と楽しませてくれる。
しかも、それがダイナミックな、心あらわれる映像・音楽で展開。
観ないと損をします。
C3POとR2D2が結構小ずるい
ルーカスが参考にしたとの事から一度観てみねばと思っていたが……。この二人組は忠誠心も一徹さも無く、凸凹コンビという事以外共通点はほぼ無し。それに上原美佐の雪姫の形相が男まさりとかのレベルでは無く無茶苦茶怖いんですけど。参考にしたのは設定までだったよう。それはともかく火祭りの場面は圧巻。戦国と上映当時の日本全体の「何が何でも復興してやる」の象徴をかけたのか、何かとてつもないエネルギーが伝わってくる。北野武が座頭市でやりたかったのはこのオマージュだったのだね。(あっちは唐突すぎて違和感ありまくりだけど)
捕虜の反乱シーンといい、よく死者が出なかったなあと感心する。ストーリーはともかくやはり黒沢映画(特に白黒映像)の迫力は凄いな。
139分ある
画力
日本映画黄金期?
惚れぼれするような完璧な脚本
いやー面白い!
最高のエンターテイメントに仕上がっています
見事な脚本で一切淀みなく展開します
全く無駄のないプロット
六郎太と姫の物語を太平と又七を配して展開させることでお話に弾みとコメディリリーフとなす
同時に六郎太のプロフェッショナルさを際立ているのです
田所兵衛とのプロットも実に見事
六郎太と姫を引き立てる構造にもなっています
本当に惚れぼれするような完璧な脚本です
そこに姫のキャラクター造形
それを体現し得る役者を探し求めて配役された上原美佐の美貌と美しい身体と演技には参りました
娯楽映画の教科書なのは間違いないです
スターウォーズの元ネタというのは有名ですが、宮崎駿監督のアニメ作品にも多大な影響を与えているとおもいます
太平と又七が姫にジェスチャーで伝えようと可笑しな身振りで笑えるシーンが有りますが、あれは当時NHKで絶大な人気番組だったジェスチャーショーからインスパイアされたものではないでょうか?
これ程のレベルの高い世界水準の脚本を作る力が当時の日本映画界にはあったのです
今の映画界にとって、もっとも必要な、取り戻すべきものではないでょうか
全50件中、21~40件目を表示