ザ・ワーズ 盗まれた人生のレビュー・感想・評価
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ひねり過ぎ?
ブラッドリー・クーパー演じる冴えない作家ローリーが、骨董屋で見つけた古い革の鞄の中から、とても興味深い小説を見つけ
後に、ジェレミー・アイアンズ演じる謎の老人から、その小説にまつわる大切な告白を受けたことで悩み苦しみ、人生までもが変わってしまったというお話。
ん~なかなかどうして・・・。
かなりひねりの利いたストーリーです。
デニス・クェイド演じる作家が、自分の作品について話しながら
同時にブラッドリー・クーパーの話も進んでいくというミザナビームです。
最終的に・・・デニス・クェイドは、ブラッドリー・クーパーであって
謎の女性は、自分(クェイド)の娘?ではないかと・・・。
元々、ジェレミー・アイアンズ自体は存在していなく
自分(クーパー)に起きた出来事の主人公を、謎の老人に置き換え
小説として書いたのだと思う。
そう考えれば、作中最後のローリーの「sorry」というセリフも 辻褄が合うのかなと。
他人の人生を盗んだつもりが、自己の人生を盗む事になる怖い物語
この作品は東京地区では単館系の劇場で、1日一回だけの上映で、しかも3週間程で上映が終了してしまった。
その為に、観るのを楽しみにしていた作品なのに、スケジュールの都合が付かずに、見逃してしまったのだ。
しかし、本作に関しては、幸いな事に割合早くレンタルショップにDVDが並んだので、忘れずに、早速借りて観る事が出来たのは非常に幸運で、嬉しかった。
だが、やはり出来る事なら、本作も映画館で観てみたかった作品だ。その理由は、広い画が劇中に幾度となく出て来た。パリの風景や、ロリーと老人が会って話す公園でのシーンもやっぱりデカイスクリーン観た方がロリーの真実が暴かれてしまう事への不安感や、盗作をしてしまった事への罪悪感に苦しんでいた彼の内面的な恐怖と、真実を告げてしまいたいと言う、罪から逃避したい、その恐怖感が、デカイ画面で観ると更に胸に迫って来るものだろうと思った。
TVの画面位の大きさで観るとやはり、映画作家が観客に伝えたい作品の意図や、その映画本来の持ち味が半減してしまうと私はこの作品を観ても思った。
作家が本当に望んでいたイメージをそのまま観客が受け取る事が出来ない分、感動が観客の心に響いて来なくなるのは当然の事となる。
本作も、面白いテーマのストーリーと脚本であり、ブラッドリー・クーパーは芝居の巧い俳優だし、そして本作の役柄も合っていたので、DVDで観たのは非常に心残りだ。
回想シーンの回想シーンが出て来るなど、物語が2重の構造の回想劇になっているのもとても面白い作りであった。
「人は自分が己で選んだ、その人生を生きて行くしかない」と語る老人の言葉は実に重いものがある。事実、人は本質的には、一人で自分の人生を生きて行くしかないのだ。他人が自分の人生の責任をとって、その人間に代わって生きてくれる事は出来ない。
自分の人生からは、良くも悪くも決して逃れる事は出来ない。
そして嫌でも、自己の選んだ人生を自分自身で責任を持って生きて行かなければならないと言う事は、そこには善も悪も混在しているために、その善悪の総てを引き受けなければならないのも自分自身なのだ。これは非常にある意味恐い。
だから人は、誰しも自分の選択した、その人生を生きている分だけ、善悪の判断を、他者に勝手にされたくない。自己の人生の良し悪しを決定するのは、その人生を閉じる瞬間に自分自身が自己に下すものなのかも知れない。他人は騙せても、自分自身には決して嘘をつく事は出来ない。己の罪から逃れる事も出来ないと言う人生の恐さがを見せ付けられる。
レビューを巧く書けずに日々悶々と悩み続けている私には、ロリーの気持ちが凄く良く理解出来、同情したくなる。人間の弱さ、狡さを浮き彫りに見せてくれる本作は、サスペンス作品として大いに楽しめる映画だ!誰の心の中にも常に忍び寄る機会を狙う甘い誘惑の
罠とその恐怖。私には非常に恐いテーマだ。笑って死ねる様生きて行きたいものだ。
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