共喰いのレビュー・感想・評価
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昭和の時代の頃の日活ロマンポルノ?
まだ男尊女卑だった昭和から平成の頃 とんびは鷹を産まない。悪いと思っても親子は似ちゃう芸術か猥褻か大島渚の世界の様でした!!!
光の見える余韻が…
水・竿・うなぎ・灰色…
少ない要素で、圧倒的閉塞感を描き出したのは流石青山監督です!
半分聞き取れずの剥き出しの方言も。
異様な輝きの光石研と、枯れの魅力の田中裕子の素晴らしい演技で脳内補完バッチリ。
なにより…女は強い!と噛み締める一本でした。
とにかく「目力」に納得させられる作品。
生々しく、息苦しく。
でももがいて…救われる、いやそのはず。
軽いか、お高いかの邦画が多い中。
派手さは無くとも観るべき作品の手本だと思います。
いろいろよかった
田中裕子の片腕マシンおばさんぶりに魂消た。
木下美咲ちゃんのおっぱいがとても可愛らしくて、すごく好きになってしまった。顔やスタイル、演技が素晴らしかった。彼女には出世して欲しい。原作の意味合いではもっと多分ブスな役柄なのだろう。
青山監督がこのような人間味あふれる映画を作って驚き、ファンになった。
主導権のS。
原作は未読なんだけど(受賞時の有名な台詞は覚えてますが)
だいたいの内容はあらすじなどからも見てとれるし、なにより
一番の期待株は主役の菅田将暉、彼の演技を観てみたかった。
少し前に35歳の高校生、というドラマがあって彼が出ていた。
まぁ~小憎らしい顔つきに、小憎らしい台詞と笑い方、アイドル
顔でこんなヒール役を堂々とやる彼がとても素晴らしかったので、
今度はどんな演技を魅せてくれるのかと、とっても楽しみだった。
仮面ライダー当時から知っているという友人は私に、
「フィリップだよ、フィリップ」としきりに言うけど、見てないし~。
どうやら史上最年少ライダーを演じたのが、彼だったらしい。
日活ロマンポルノ風に(かなり意識して)作りあげたという本作。
うーん…ポルノマニアじゃないし、詳しくないので分からないが
女の私が観ても、それほど厭らしさは感じられなかった。
どちらかというと青山真治らしさのほうが随所に感じられた。
役者は皆いい。その菅田くんをはじめ、有名無名合わせて快挙。
特に女優陣の脱ぎっぷりといい、演技っぷりといい、素晴らしい。
昭和という時代(舞台は63年)を暴力前提で描くのだとしたら、
こんな風にドブ川(ってほど汚くも感じなかったが)沿いの臭いと
神輿庫の暑狭、団地の日照りベランダ、タイル張りの風呂場など
かなりきてるぞ感を醸し出す生臭さをふんだんに加えているのが
なかなかそれらしかった。父親の性癖(とでもいうのかな)となる
あの行為は、今ではDV!家庭内暴力!と大騒ぎされるだろうが
私的には「ああいうのがSなんじゃないの?」という感じだった。
日常生活で妻子を殴るのではなく、性行為時のみでということは、
酒乱患者に見られるタイプか、単に変質者か、どちらかと思った。
引っ叩かれたり殴られたりすることに快感を覚える人間はいない
と思いたいけれど、なぜかその相手から離れようとしない女達。
いつか、ダメだと思い離れる時まで心身が持つのかと心配になる。
殴る方は傷つく相手の一体どこに快感を覚えているのだろうか。
それにしても可哀想なのは息子の方である。
あの男、あの男、と夫のことを呼んでは、その血を継ぐ子供など
アンタひとりで十分だと、主人公の母親は何度も息子に言う。
それあんまりじゃないか。この子はアンタの子供でもあるんだよ!
親父の血を継いでいるのが半分、母親の血を継いでいるのが半分、
どうしてこの子をあんな父親の元で住まわせておくんだろう?と
言っていることとやっていることが違うだろう、アンタ?なんて
最初は母親に対してかなり腹を立てていた。
どんな男とくっ付くのも結構だが、子供を産んだのは親の責任だ。
何のどんな血を継いでいようと、ならば一生その子がそうならない
ように見守ってやるのが親だろーが。なんて腹を立てまくったが、
どうやらこの息子は、憎みながらも父を愛し、母をも大切に思って
いる、実に優しい息子であることが分かった。
母親も自分のところへ足繁く通う息子に安堵して見守っていたのか。
彼女である千種と何度も交わるうちに、自分もいつか父のように
女を殴る日が来るんじゃないかとビクビクしている主人公。
おそらくはビクビクしながらも、大きな衝動に駆られていたと思う。
思春期の男の子が、想像を絶する性への興味を持つことは普通で、
ただ実際にそれをやるかどうか、の問題なんだろうと私には思える。
遺伝による性癖になるかどうかは、生きてる環境で決まらないか。
このくだりの例えで後半、千種が素晴らしい一言を彼に吐く。
「アンタのその手は、私を殴るためにあるん?可愛がる為にあるん?」
(その後の行為に要注目)
原作にはないラストの描写まで、ほとんど笑いのないドラマなのだが
あのラストには思わずニンマリしてしまった私。
いいとか悪いとかでなく、本当に好きなんだ…が見てとれたのである。
自分のことを大好きで、愛してくれて、大切に思う気持ちがある人が
もし傍にいてくれるのなら、大いなる欠点が解決できるかもしれない。
女はそういう計画性に於いて、かなりしたたか。
無意識に、抜け目なく、何事もない顔で、確実にそれを実行に移す。
今作に登場する女三人のそれぞれの言い分は(その時点で)
男をビックリさせるものかもしれないけど、よく考えればその通り。
いや~よく喰いまくりましたね、お互いを。
(淡々とした風景の中にうごめくエロと暴力。でも映像は控えめです)
万人向きではないが、これ程の衝撃を受けた作品は久々!今井監督作品同様の戦慄感が堪らない
山口県・下関市内 小さな片田舎の町の中心を流れている汚れた川
昭和63年の夏・この小さな町に、こだましているのは蝉の大合唱だけだった。
このファーストシーン、画面から溢れ出す熱波、その感じが凄い!
ジメジメと身体を蝕み、人を狂わすその暑さ、遠馬のナレーションと被さり、暑さと気だるさだけが観客の脳裏にも届いて来る。
17歳の誕生日を迎えたばかりの主人公・遠馬のギラギラと燃えたぎり、抑え切れない性衝動、遠馬の心と身体の全体を蝕み、包み込んでいる性衝動と言う、この熱く生きる塊。
それが嫌でも、いつしか観客自身を十代の自分との対面へと引きずり込んで行く。
10代の男子高校生、女子高生の性への目覚めから体験へと移って行く辺りの不安と戸惑いの感じが、実に画面の隅々まで、ギラギラと熱く溢れ出ている。
そして、遠馬は父を軽蔑し、憎みながらもその血同じが自分自身にも、歴然として流れている事への恐怖、その感覚を良くぞ、この若い俳優が演じたと菅田将暉に衝撃を憶える。
毎度の毎度の事で、申し訳ないのですが、私はこの映画の原作を未読だ。
だから、この映画のラストが田中慎弥氏の原作のラストとは大きく異なると言うのだが、そのどちらの方が、より素晴らしいのかについての判断が全く出来ない。
しかし、この物語には人間誰しもが持っている心の闇・自分の弱さや欠点と、その闇に何とか、抵抗しようと試みても、己の弱みを振り切り、欠点を打ち負かす事が出来ずに、更に苦しみ、迷い続ける・多感なティーンエイジャーに限らず、人間が本来抱える悲哀が、切々と胸に響いて来る衝撃的な作品だった。そして女性が持っている底力、生命力、運命に翻弄されるだけではない、最後に下す、決断力の強さに圧倒された。
私は実は何故か、この青山真治監督作品を余り観ていなかった。特別嫌いと言う訳では無かったのだが、彼の撮ってきた作品を今迄は観ようと言う想いに駆られる事は無かった。だが、今回この作品を観て、この人の観客の感情に無理矢理忍び込み、観客の感情を鷲掴みにする画の撮り方に脱帽したので、彼の他の作品も今後観てみようと思う。
私は、シャーリー・マクレーンの大ファンなので、ついついこの原作者の田中慎弥氏が芥川賞受賞発表記者会見の時にお騒がせ発言した事は、笑えない出来事であったのだが、この映画を観ると、二十歳から引き篭もり同然に、一人で執筆に専念し、作家への道を極めようとした執念の強さ、底力と言うのだろうか?その強い生きる力のような物が物語の随所から溢れていた。人間に限らず、生きる動物のエネルギーの凄まじさを感じられずにはいられなかった。益々今後、彼の作品が面白さを増してきそうで、映画化も楽しみだ。
しかし、彼のこの物語を、此処まで熱く、狂気と衝撃の高みへと押し上げたのは、田中裕子と光石研の確かな芝居を抜きにしては、完成出来なかった事は言うまでもない!
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