「オリジナルに思いを馳せてしまうな」許されざる者 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナルに思いを馳せてしまうな
折角のリメイクなので比較したくないけど、やはりストーリーとキャラクター配置が同じなのでついオリジナルが浮かんでしまった。というか、リメイクは凡庸で退屈な日本映画だったな、と。北海道の風景、美術など見所はあれど、まったく面白くない。
脚本、よくないですね。何がどうあっても女郎の顔刻む男と刻まれる女から始めなきゃ、だと思う。
枯れて、軽やかで、残酷なオリジナルを、若い監督が深刻に作り直して惨敗した感じです。
『十三人の刺客』とかリメイクでも本家を凌駕できるリメイクもあるんで、多分よくないリメイクだと思う。そもそも本家はアカデミー賞はとってますが、言ってみればそう大層な話でもないので、何をそんなに深刻ぶった芝居と深刻ぶった音楽つけてんのか理解に苦しむ。たぶん製作者側にイーストウッドのファンはいないんでしょうね。何度となく撮り慣れた宿場町を軽やかにさばくイーストウッドと、アカデミー賞作品を日本に翻案しようと若手監督が必死でやっている本作(監督初の時代劇?)、考えてみれば、「イーストウッドによる最後の西部劇」とえらい違うものをよくぶつけたな、と。
まあ、リメイクなので、ほかの楽しみを見つけられればと思っても、オリジナルがチラツイてしょうがなかった。こんなつまんない話だっけ?と何度も思った。
芭蕉じゃないけど、「わび」「さび」のあとのあとの「軽み」の境地の西部劇によく挑んでしまったな。
ラスト方面の改悪エピソードを見ながら、「若過ぎ」と思いました。
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