「ミステリーの穴をドラマで埋めている」さよならドビュッシー Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)
ミステリーの穴をドラマで埋めている
どんでん返しの帝王こと中山七里の同名小説の実写映画版。この原作は密度がすっごく濃くて大好きな小説です。
実写映画があると知り調べてみたら案の定、評価があまり良くなく典型的な実写化失敗例かな、と思い放置していた訳ですが…
今日は何観ようかと考えたときに何故かこの作品を思い出し、これを機会に鑑賞。
あのーこれ実写化成功じゃないかな?
確かに原作にあったミステリアスな雰囲気は最小限に抑えられて、どんでん返しの明かし方も少し雑な印象はあったけれど、その分ドラマがしっかりと描けている。
小説を読んだときには感じなかった感情が出てきたし、橋本愛の等身大の演技がリアルすぎてすぐさま感情移入してしまった。
この感情は「文字」ではなく「映像」だからこそ表現出来るものだし、おそらく監督もそこを目指したんだと思う。
ミステリーはあるけどあくまでドラマ
といった感じ。
若干セリフの言い回しが直接すぎて学芸会みたいなシーンもあったけど演出がよく出来てる。
静かな映画、特に邦画はやけに固定カメラが多くて画面への引き込みが弱いけど、今作は主人公を中心に動くカメラワークで物語の世界への没入感がある。
しかも主人公中心なので主人公への感情移入がしやすくなるっといった構造。
この表現は出来そうでなかなか出来ないもの。
やっぱり自分は派手な映画よりこうしみじみとした映画が好きだな、と再確認しました。
というか清塚信也とかいう男何者?
ピアノバンバン弾いちゃってるし独特なキャラを好演しちゃってるし。
彼に教えて貰えるならピアノの練習してもいいかも…
余談
この映画名古屋が舞台でテレビ塔やらオアシス21などの数少ない名古屋の名所が登場するんです。
実は自分も名古屋出身でして。
予選の帰り道にバスに乗ってるシーンがあるんですよ。あのバスはゆとりーとラインといって家の目の前を通ってるんですよね。で近所が映画に映るわけですよ!ちょっと嬉しくなっちゃいました。
あと自慢じゃないですけど、コンサート会場の日本特殊陶業市民会館は中学生のとき合唱コンクールをやったところでして、私もあの舞台に立って歌ったわけですね。
あの橋本愛と同じ舞台に立ったと思うと少し自慢出来ちゃいます。(結局自慢)