31年目の夫婦げんかのレビュー・感想・評価
全44件中、41~44件目を表示
1周間40万円のセラピーを100分2千円(夫婦50割引適用)で受けられる
子どもたちが独立して夫婦二人だけの生活。毎日が同じパターンの繰り返し。すぐ倦怠期という言葉を使いがちだが、パートナーに飽きているわけでも嫌っているわけでもない。いつの日からか惰性で暮らしている二人。そのことに気づかず平穏な生活を送っていると思い込んでいる。
そんな60代の夫婦にメリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズが扮する作品。
この夫婦の場合、妻が惰性で生活することにピリオドを打とうと行動を開始する。刺激がない人生に嫌気が差したというよりも、この先への危機感が募ったといっていい。このまま、ただの同居人と化していくのが怖いのだ。
この物語では、老後の人生設計をどうするとかではない。互いに思いあって仲良く暮らしていくにはどうしたらいいかという悩みだ。もちろん会話も大事だが、妻の望みはスキンシップであり、夜は以前のようにベッドを共にしたいという願いがある。
なかなか口に出して人に相談できることではない。
悩んだ末、妻が見つけたのが、スティーヴ・カレルが演じるカウンセラーだ。1周間のカウンセリング・コースに嫌がる夫を強引に連れ出す。このカウンセラー、口調は物静かだが、毎日出される課題は過激で、これが笑いを生み出す元になる。いわば荒療治で夫婦仲を元に戻そうというのだ。
課題に進んで取り組もうとする妻と、バカげたことと決め込んで相手にしない夫、悲喜こもごもの1週間を笑いながら傍観するが、実は観客こそがこの作品を通してカウンセリングを受けていることに気づく。
31年間溜め込んだ鬱憤を吐き出させたあと、この夫婦を待っている運命とは?
エンドクレジット。画面の大半を占領して描かれる事の顛末に目を奪われて、クレジットは1行も読めない。
妻の「残念なのは、もう時間が残り少ないこと」という最後の一言が胸に残る。
この作品、男に観て欲しいという意見が多く寄せられそうだが、これはお互いさま。ぜひ女の人にも観て欲しい。一番のお薦めは一緒に観る。
男性こそ、観てもらいたい映画
話全体は、やっぱり女性目線ですね。
女性は、絶対共感できると思います。
10年くらいでは、感じないけど、やっぱり
長く夫婦生活を続けていると、こんな不安や不満があるのは女性でしょう。。。
だからこそ、熟年の男性に観てもらいたいなぁ。
好きな人と暮らすなら、やっぱり、もっと心を通わせたいもの。。。
毎朝、決まってベーコンエッグを食べていると・・・
この映画は、メリル・ストリープとトミー・リー・ジョーンズの競演ともなれば、自然と期待が高まってしまうので、もしも外れたらどうしようと、とても楽しみにしていたけれども、その半面ちょっと観るのが恐い作品でした。でも、そんな心配は全く無用でした。
この映画、ファーストシーンから、ドキっとさせられました。そして、その後は、熟年夫婦の、夫と妻の考え方や、気持ちのすれ違いのエピソードの数々が巧みに展開していきます。そして、こんな経験有る、有るとその一つ一つに頷いたり、冷や汗をかいたりで、思わず、笑みが自然と出てしまいます。
やはり、こう言う夫婦の微妙な気持ちをじっくりと魅せてくれるのは、アメリカ映画ならではの楽しみですね。絶対に邦画では、こう言う面白さが表現される事は無いだろうと思うのです。シャイで照れ屋の日本人には、特に最近は草食男子はやりですし、真正面からドンと夫婦の性生活を描ききってくれる映画には、出会わない。
それは日本の場合は特にどちらかと言えば、結婚後は、子供が出来ると、男と女の感情で、夫婦が成立していると言う考え方をするよりも、お父さんとお母さんの役割に徹してしまい、夫婦の愛の上に、家庭が揺ぎ無く存在すると言う感覚は、どうしても希薄になる。すれ違いが有るのが普通で有り、自然な姿なので、修復を試みる必要は余り無く、特に問題としなくても、全然OKだったりする。
こう言った男女の繊細な関係性には、触れないと言うのが、日本人の基本的な考え方なのかな?やはり、国民性の相違も有るのだろうが、こう言う倦怠期を迎えた夫婦の危機のドラマで楽しめたのは、本当に久し振りの事でした。
私は、今年は「きっとうまくいく」が最も面白い映画だと思っていましたが、この映画を観てしまったので、この作品が今では、一番今年観た映画の中では好きですね。
ところで、メリル・ストリープは「サッチャー」の後では、どんな役を演じる事になるのか正直心配でしたが、あのドラマティックなヒロインを演じた後が、この何処にでも生きていそうな倦怠期のオバサンの映画だったなんて信じられないけれども、それでいてこの作品では、ケイ役も抜群に巧く見せてくれている。きっと彼女の最高傑作の映画の一つになる事でしょう。
そしてまた、日本ではトミー・リー・ジョーンズもコーヒーのCMの印象が大分色濃くなってしまいましたが、彼の演技がこの作品でも光ります!
デビッド・フランケルと言えば、あの「プラダを着た悪魔」で、コワーイ悪魔をメリルに演じさせた監督ですし、彼女との仕事も息がぴったり合っているのが伝わってきます。
私は、この映画が余りにも面白い映画で、気に入ってしまったので、絶対に1人でも多くの映画ファンにこの作品を観て貰いたいので、敢えて映画の具体的な内容については今回触れませんでした。それは、是非貴方にこそ、映画館で観て欲しいからです!そして、エンドロールは最後まで、席を立たずにじっくりとご覧下さいね!
ストリープとジョーンズのなんと息の合っている演技なのでしょうか。どう見ても本物の夫婦に見えてしまいます。
★★★★★特選
本日『少年H』試写会とかぶり迷いましたが、こっちを選んで正解でした。よく練られた脚本とふたりの名優の共演が、倦怠期を迎えた夫婦の再生するというシンプルなお話しを、絶妙な間合いで演じて見せたのです。それは凄みのある演技とかドタバタではなく、ほどよく抑制されたフランケル監督の演出によって、限りなくごく普通の家庭らしさが再現されていたのでした。さすがは『プラダを着た悪魔』で一世を風靡した監督だけのことはあります。時にユーモラスに、時に激しくぶつかり合い、そして和解していくハートフルな展開でした。
だからきっと同じような倦怠期を迎えたカップルだったら、思わず感情移入してにたりと苦笑いするシーンがどっさりと詰まっています。特にご主人さんは覚悟して見たほうがいい内容ですぞぉぉぉ~!
自分はキチンと妻を愛しているつもりでも、その愛し方がいかに独りよがりであったか!そして愛しているつもりでも、いつの間にか妻を女性扱いせず、単なる家政婦ロボットとして利用しているのに過ぎなくなっていたか!さらに、妻へのキスどころか、体に触れること自体も厭うことになってしまったか!男って、ものさえ上げれば女は喜んでいると思い込みがちなんですね。反省しなければいけません。愛を与えることって、簡単なようで難しいですね(#^.^#)
劇中でも、愛し合って結婚した夫婦が、いがみ合ったわけではないのに、ちょっとしたきっかけから別々の寝室で寝るようになって、それが日常となって行き、セックスレスな関係に陥ってしまう姿が描かれていました。一度セックスレスになってしまうと、夫の方は面倒になり、なかなかきっかけが作れないようなのです。たとえ浮気を一度もしていない真面目なご主人でも。さらには、お互いに夫婦で肌を触れあうことすら、他人の考えるほど易しいものではないのよという劇中の台詞には、そんなものなのかと驚きました。
タイトルは『夫婦げんか』となっていますが、喧嘩の話ではなく、セラピーを受けて再生していく物語なんです。原題の『Hope Springs』がしっくりくる内容でした。
物語は、夜の夫婦生活を久々に頼んだ妻のケイが、夫のアーノルドに軽く退けられて、自分の人生に絶望し、思い余って一週間で4000ドルもする高額なカップル集中カウンセリングを夫に相談しないで申し込んでしまうところから始まります。ケイの悩みも知る由もなく、一方的に夫婦間のトラブルはないと決め込んでいたアーノルドは、妻の独断に怒り、激しく同行を拒絶します。しかし、離婚経験を持つ職場の同僚の忠告により、危機感を感じたアーノルドは、渋々ながら同行することに。
しかし、冒頭から対面したセラピストに向かって詐欺師と呼び捨てにするなど、セラピーの前途は厳しいものでした。
少々アーノルドの弁護をすると、このセラピー、セックスカウセリングがメインだったのです。いきなり赤の他人に、いつからセックスレスになったかなど夫婦生活の内情をあからさまに聞かれると、失礼な奴だと怒り出すのも無理ないことですね。しかもセラピーごとに『課題』が出されて、次回までに実践しなければいけません。もう何年もセックスレスな関係に陥っているカップルが、いきなり抱き合って寝ろとか『課題』が出されても気恥ずかしいばかり。愛撫しあうという『課題』には、ついにアーノルドが拒絶して、セラピーは中止になる寸前まで追い込まれます。
このときのアーノルドに向けたセラピストのフェルド医師が放つ言葉が印象的でした。「あなたのプライドと奥さんを大切に思う気持ちとどっちが大きいか考えてください。」と。
本作の脚本のいいところは、なかなか一筋ならでは主人公の夫婦が夫婦関係を取り戻せず、何度も危機を迎えるシーンを描いて、観客をハラハラさせてくれることです。その象徴的なエピソードが、「中折れ事件」。セラピーの成果が効いてきて、アーノルドが高級レストランにケイを招待し、そのままレストランのVIPルームで一夜をロマンチックな共にすることに。これにはケイも大喜びで、ふたりは自然に抱き合うように。久々の夫婦生活突入かと思いきや、ケイの置いた姿を見つめたアーノルドは、すっかり萎えてしまうのです。なんて酷い奴って思わないでくださいね。世の殿方の息子くんは、正直なんですぅ。無理してもダメなんですぅぅぅ~(^^ゞ
離婚の危機を抱えながらもセラピーを終えて帰ろうとするふたりに、フェルド医師は暖かく、セラピー参加で大きく変化したことを評価し、これがはじまりなんだと励まします。この先生の誠意あるキャラが、セックスがテーマのセラピーを嫌らしくなく、真剣に夫婦の再生を目指している姿が出ていて、作品のリアルティを際立てていました。でも特に再生でなく離婚を勧めることもあるという言葉には、アーノルドもどきりとさせられたことでしょう(^^ゞ
さあて、そんな瀬戸際なふたりがどうなるのか、ラストのどんでん返しが見ものです。 それにしても、ストリープとジョーンズのなんと息の合っている演技なのでしょうか。どう見ても本物の夫婦に見えてしまいます。隙がありません。年柄にもなくベッドシーンやオナニーのシーンをこなさなくては、ストリープ恥ずかしかったでしょう。それだけではありません。セラピーの課題の中には、公衆の中で××しなければいけないという卒倒するくらい恥ずかしいシーンがあるのです。よくまぁ出演を引き受けたものだと、ストリープの女優根性に脱帽しました。
どんな倦怠期の夫婦でも、この作品をご覧になれば、お互いを見つめ直すきっかけになれると太鼓判を押しておきます。そして久々に、××いたすことになるでしょう(^^ゞ
全44件中、41~44件目を表示