「ネッシーは、います。」リアル 完全なる首長竜の日 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ネッシーは、います。
大変失礼ながら、主演二人と首長竜というタイトルもあって、
もっと下らない作品なのかと思いこんでいた。
原作は第9回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞したそう
だが、まったく知らなかったし(ゴメンなさい)
だからやはり、映画ってのは観てみないと分からないものだ。
タイトルが示す通り、リアルとはこれが現実なのか、仮想空間
なのか、今作ではすでに冒頭から雰囲気が怪しい。
佐藤健が演じる浩市がいるその空間自体が、どうも奇妙なのだ。
まぁそう思ってずっと観ていくと、やがて物語は大反転し(爆)、
そういうことだったのか…に続けて、過去における謎の真相に
迫っていくのだが、監督お得意のややホラーめいた映像表現や、
ドキッとさせる人形?のような表情など、細部まで拘りがあり、
最後までまったく飽きなかった。
確かに、何じゃこりゃ~?と思わせる急展開やバトル^^;はある。
でも自分が見る仮想空間(例えば夢)の中であれば、
綾瀬はるかが演じる淳美が言うように、何だって出来るわけだ。
そんな奇想天外な夢の中の映像を、よく具現化したなぁと思う。
こんなあり得ない仮想空間を、もし自分が実体験出来たとしたら
すごく怖いけど^^;なぜか行ってみたい気すらしてきちゃうのだ。
だが主人公二人が於かれた状況は、そんな夢心地ではなかった。
過去のトラウマ(自責)に囚われた人間が作り出した妄想のなかで、
かなりの苦しみを味わい、二人はますますボロボロになっていく。
それでも愛する人を救いたいと願う相手は、何度も挑戦し続ける。
けっこうなラブストーリーであるが、ちょっと観たことがない物語。
こんな表現方法もあるのかと、改めて監督の創造性に感服する。
タツノオトシゴ=首長竜か。。。
確かにそう見えないこともないが、これ自体もかなりの創造力。
今作ではこのあたりも水と引っ掛けて、かなり入り組んだ構成と
ホラこれだよ~を匂わせる不気味な繰り返しをしつこく描き出す。
真相が分かってからは、あ~だからあの場面は。なんていうのが
総てハマり気持ちいいが、かといって人間の奥底にある憎悪まで
完全に描き切ってもいない。どうしてあの少年はそこまで彼らを
追い詰めたのか、単なる嫉妬にしては…?と謎は謎のまま残る。
このあたり、原作はどうだったのかな~と思ったりした。
私は首長竜といったら、やはりネス湖に在住の(爆)ネッシーだが、
この度(以前からだけど)新たな調査で完全にあれは間違いだった
と証明され、地元の皆さんを含めて、なんだか非常に残念至極だ。
とはいえ、そんな未知の生物(仮想怪物)を想像するのは楽しい。
未だ宇宙人はいるいないを繰り返し、未知の生命体を巡る映画も
盛んに作られているが、いや~それはそれでアリでしょう!である。
なくなったら困る。なくなったら寂しすぎる。
リアルな世界(現実空間)で生きている自分達には、
もしこんなことが現実になったら…?などと、夢に見たりするが、
他者の意識下に潜入するという、そんな医療技術(センシング)が
本当に開発されたら、そしてもしそれを使える状況に於かれたら
やはり挑戦してみるだろうと思う。ここはもちろん純粋に。
登場人物が総て不気味に描かれ^^;
最後に辻褄を合わせるのが困難になる部分もあるが、
内容が新たな試みとして成功するように、映画もかなり挑戦的だ。
(それで島の現在とか観てみたいなぁ…あと松重さんは元気ですか)