「松田龍平の良さを広く知らしめたのはこの作品かもしれない」舟を編む asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
松田龍平の良さを広く知らしめたのはこの作品かもしれない
その昔、ドラマは弟、映画は兄。兄はあまりメディアに登場しないが非常に良い役者だ、と言われていた時期があった。
今じゃちょっと信じられない気がするかもしれないけれど。
今ではもう良い作品には欠かせない程の役者さんで、出てれば見ようかなとすら思う。
NHKのBSでのドラマはこの映画の後半部分を掘り下げたものだった。
ドラマの馬締さんには既に香具矢さんという奥さんがいて、彼の一風変わった恋の物語は割愛されていた。
チャラ系の役割のオダギリジョーの役が向井理になりチャラいというより宣伝部で適材適所を発揮していた。
松田龍平はラドウィンプスの野田洋次郎 宮崎あおいはミムラ 黒木華は池田エライザ 加藤剛が柴田恭平 小林薫は岩松了に、それぞれキャスト変更されていた。
野田洋次郎は多分かなり松田龍平を踏襲していて、声などはそっくりに聞こえる程だった。
もちろんドラマ版の出来は素晴らしく、池田エライザ演じる新部員みどりの働きの目覚ましさを描くものになっていて、映画では見られなかった小さな(失礼)エピソードもじっくり見せてくれていた。
キャストの重厚さ知名度は映画に及ぶものではなかったと言えるのかもしれないが 脚本と構成と新キャストの魅力もまたそれを補ってもいた。
昔 映画版をサブスクで見た時より ドラマをリアルタイムで視聴し終えての再度の鑑賞が 深みを増したのは言うまでもなかった。
広辞苑や広辞林 こういう中型辞書を編纂するという事はその出版社の底力を世に知らしめる事である。
ゴシップ記事で部数を爆発的に稼ぐ週刊誌 婦人誌、漫画 児童書、それらで経営を上昇させつつも 数十年単位で利益には繋がらない辞書編纂を行うということは たぶん 出版社の矜持なんだろうと想像する。
もちろん私も頻繁に使用する携帯での検索は リアルタイムで調べられて絵も写真も 更に動画さえ見せてくれる時代である。
学校の持ち物として推奨していた電子辞書ですら最近ではとんと見かけない。
とは言え ネット社会において 文字文化は更に加速し、特に日本語の漢字変換や送り仮名はきちんと初等教育において学ぶものとしてその位置を揺らぎ無いものになっている。
AIが非常に流暢で優秀な英文を作成してくれるのに、日本語になると例えば動画の字幕はめちゃくちゃな誤字を提示してきたり。
ネット社会は逆に日本語を衰退どころか向上させている感すらある。
文章力は 今後もとても重要なファクターである事は痛感される。
だが 紙のぬめり感
そういうものを感じられない時代になるのは 心の底から寂しいと思う昭和の人間である。