最終目的地のレビュー・感想・評価
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ホプキンスさんと真田広之さんがチュってやっちゃ・・った!!(~ロ~...
ホプキンスさんと真田広之さんがチュってやっちゃ・・った!!(~ロ~*)。複雑な関係が交差する、優しく美しい最終目的地。
あと味の良い作品でした、 チュッ♪
運命を変える自問自答
不幸ではないけど幸せでもない人々がそれぞれの幸せに向かって歩み出すお話かなと。最後は綺麗にハッピーエンドです。だもんで、物語の起点とも言うべき自殺した作家が影が薄くて可愛そうです(笑)
キャラクター達は掘り下げると濃ゆい人達ばかりで、あと4時間くらい長く見てみたい映画です。
地味な作りに反して、情熱的な人々の再生のドラマが心に響きますよ
流石はジャームス・アイヴォリー監督作だ。人間の生涯で最も複雑で、しかも難解であるテーマと言えば、人間関係に尽きると思う。
誰でも人間は、自己の人生に於いて人間関係を巧く扱う極意を身に付ける事に成功出来たとしたら、もうその人は人生の大半を成功させたと言っても過言ではないと思う。
何故なら、人は他人に活かされて、その人間関係から、自己認識が生れ育ち、成長していくものに他ならない、それこそが人生だと私は信じて疑わないからだ。
この作品でも、80歳を越えているアイヴォリー監督が実に鮮やかに、人の目にも見えず、そして決して手に取る事も出来ない愛情と言う、人間の心の中にしか存在しないエネルギー体である、人間の本質である愛を情熱的に見事に描き出している。
今は亡き一人の作家の伝記の執筆を望むアメリカの若き伝記作家の突然の訪問を受け入れた事から生れる、新たな故人に対する心の変化を、実に軽妙に描いていく。
しかもこの作品の面白さは、今では故人となった亡き作家の人生に深く関わって来た人々の現在から、故人に対する愛情と言う過去の出来事を表す事にも回想シーンを一切排除している点が興味深い。
全編、愛の認識の違いや、それぞれの立場の相違から生じる、故人に対する気持ちの相違を丁寧に描き出し、しかも今現在を生きている人の心の中に自然と芽生える、時の経過と共に変容する、愛の不思議な姿を巧みに焙り出しているのだ。
その様な人間認識で必要不可欠な、様々に異なる愛の姿を描く事で、人々の多様性とそして、時と共に変化する生き様を描く事で、作品を観る人達の心に常に毎日が変化する可能性を持つ、素晴らしい可能性に溢れている事を見事に伝えてくれて、私の心も捉えて離さない作品だった。
80歳を越えている高齢の監督作品とは思えない、常に生きる事への情熱的な愛の表現が全編にあふれていた。
ファーストシーンの南米の情景に音楽が重なり合う中で、これから始まる物語の奥深くそして、穏やかなラストを予感させていた。
そして、このラストがまた、それぞれが、各々の最善の希望を掴む事が出来た、新しい目的地にたどり着くと言う、ハッピーエンドが心地良く、大好きな終焉だった。
特に妻キャロラインと伝記作家オマーの恋人だったディオドラの再会のシーンが特に素晴らしい余韻を残してくれた。
妻キャロラインは、気難しく、本心を中々打ち明ける事をしないが、彼女の本当の泉から湧き出るような深い愛情をローラ・リニーが見事に抑えた芝居で魅せてくれて最高だ。
何せ、愛人とその娘と同居している訳なのだから。キャロラインの本質は非常に懐が広く誰に対しても本当は情熱的でも、それを表に出さない彼女の生き方に胸を打たれたね!
異国に集う異邦人。
人は皆「いい人」になりたいと思っている。ワガママな気持ちを押さえつけて相手のことを考える。しかし本音はそんな美徳とは真逆の欲求でいっぱいだ。だから人は皆、正しいと思う道に中々進めず停滞してしまうのだ。本作は南米ウルグアイの片田舎で停滞する人々が、それぞれの最終目的地を目指し歩み始めようとする物語だ。
朽ちかけた邸宅に集うのは、自殺した作家ユルスの妻キャロライン、ユルスの愛人アーデンと幼い娘ポーシャ、ユルスの兄アダムとそのゲイ・パートナーであるピート。そこへ作家の伝記を書くための承認を得ようとやって来たオマー。彼らは様々な理由でこの地にたどり着いた異邦人でもある。ドイツ系移民のアダムとユルス、様々な国を渡り歩いた後にユルスに拾われたアーデン、14歳でアダムに拾われたピートは徳之島の生まれ、そしてアメリカからやって来たオマーはイラン人だ。この異国に留まる異邦人たちが、様々な葛藤に苛まれながら少しずつ自分を見つめ直す姿が繊細に情感豊かに描かれる。
国際色豊かな名優たちが織り成すアンサンブルが見事だが、とりわけピートを演じる真田広之が良い。力仕事をこなす逞しさと、細やかな気配りを併せ持つ人物を若々しくセクシーに演じ、名優ホプキンスと対峙してもひけをとらない。ピートの行動力と前向きさは、停滞する人々の中で程よい潤滑剤となっているのだ。
物語の主軸は、オマーとアーデンの恋とキャロラインの再生だが、私はどうしてもアダムとピートの関係性に注目してしまう。年老いたアダムは息子ほど年の離れたピートを解放するための資金調達を画策する。口では「老人のために人生を無駄にするな」と言ってはいても、アダムはピートがいないと物質的にも精神的にも何も出来ないのは明らかだ。アダムもまた「いい人」でありたいと思いながら、ピートを離したくないというワガママな本音と闘っている。そんな彼にピートはストレートに言うのだ「(アダムのいない)他の人生なんて考えていない」と。彼には“アダムと2人で”この土地を最終目的とする計画がとっくに出来上がっているのだ。本音を言えない人々の中で、ピートの率直さ、素直さ、正直さ(裏社会に顔が効くのも本音で生きているからだ)がダイレクトに胸にくる。2人の関係性を明確に捉えた見事なショットがある。昼寝をするアダムに全裸で寄り添って眠るピートのショットだ。セクシーなショットに違いはないのだが、アダムの足を抱えて眠るピートの無邪気さがとても印象的だ。一瞬だけのそのワンショットで、ピートがアダムを心から信頼していることが解り、胸が熱くなった。
人は皆「いい人」でいたい。相手に恋人がいるのなら自分が身を引かなくちゃいけない。夫の若い愛人(しかも彼女は自分が産めなかった子供を産んでいる)に嫉妬をするなどみっともない。しかしそんな表向きの顔はこの土地には必要ない。新しい一歩を踏み出す土地は皆に拓かれているのだから。
ウルグアイの手つかずの自然の美しさと、けだるい音楽、長年連れ添ったパートナー、マーチャントを亡くしても、アイヴォリー監督らしい知的で上品な格調高さは変わらない、いやそれ以上ともいえる。上質な人間ドラマは、後からジワジワと心に沁みてくる。そのエレガンスさにいつまでもいつまでも酔いしれていられる・・・。
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