「非人間のキャラが最も人間臭い可笑しさだけが存在する笑い」テッド 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
非人間のキャラが最も人間臭い可笑しさだけが存在する笑い
弱気な独りぼっちの少年がクリスマスイブに星へ祈りを捧げると、テディベアに命が宿る奇跡が起きる。
唯一無二の大親友ができ、めでたしめでたしって終わらず、プロローグに過ぎないのが、今作のポイント。
少年は当然、成長し、マーク・ウォールバーグというオッサンとなり、恋に落ちるのだが、彼以上にオッサン化しているのがテディベアってぇのがバカバカしい。
可愛いルックスとは裏腹に、酒とドラッグ、そして、若いオネエちゃんが大好物で、2人の交わす会話は始終、下ネタのオンパレード。
未だに80年代のドラマ・ミュージックに目が無く、性分はガキのまんまやから楽しいには違いないが、周囲は呆れ顔でクマと人間の腐れ縁を見つめていく掛け合いは笑い声が絶えず、楽しいひと時だった。
『フラッシュ・ゴードン』を選ぶセンスがニクい。
相棒のマーク・ウォールバーグはティム・バートン版『猿の惑星』で猿の軍団相手に一歩も引かなかった経験が活きたのか、クマ1匹との掛け合いなんぞお手の物である。
吹替版では屈指のダーティー芸人・有吉弘行が担当。
十八番の毒舌口撃を茶目っ気たっぷりに繰り出し、打々発止のギャグラリーは、更にテンポを富む効果を発揮。
クマだけに簡単に人を喰っちまっている。
下品さが鼻につくものの、面白い作品には違いない。
ただ、クマのぬいぐるみである必要性があったのか?
正直、疑問だ。
別にクマみたいなオッサンでも支障が無かったような気がする。
ダン・エイクロイドとかジョン・グッドマンとか、渡辺哲とかetc.etc.
まあ、可愛い可愛いクマがオネエちゃんとチョメチョメする落差が、笑いの肝なんやろね。
ストーリーもサゲも全然捻りが無く、何やそれ?!って呆気ないオチは呆れたが、お色気サービスも盛り合わせてたので、良しとするかぁ。
どら猫ガーフィールドの目玉が忘れられない帰り道にて短歌を一首
『星祈り 今じゃマブダチ 腐れ縁 クソガキさらば 毛深くキメるぜ』
by全竜