「ざっくり切られたザックリー・・・あぁ、ソンミ様」クラウド アトラス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ざっくり切られたザックリー・・・あぁ、ソンミ様
「命は自分のものじゃない」というペ・ドゥナ演ずるソンミ451が忘れられない近未来のパート。このエピソードが最も優れているし、ウォシャウスキーならではの革命の意義を教えてくれた。ざっくり6つのパートとは、
1849年太平洋諸島。奴隷貿易に関わる弁護士ユーイングの物語で、帰国の航海につく際、密航していた脱走奴隷オトゥアと出会う。悪徳医師グースに毒を盛られ、瀕死の状態になるのだが・・・といった展開。
1936年ケンブリッジ。ゲイのロバートは差別から逃れ、大作曲家のビビアンの元で作曲の手ほどきを受ける。やがてユーイングの物語からインスピレーションを受け、作曲を手がけるがビビアンが自分の曲を奪おうとしたため・・・という悲劇。
1973年サンフランシスコ。原子力発電所計画に従事していたシックススミスは原発の欠陥を告発するためルイサ・レイに報告書を託すが・・・
2012年ロンドン。「顔面パンチ」という小説を発表したダーモットが酷評評論家を突き落とす。そのため本が売れ、出版元のカベンディッシュは大もうけするが、ダーモットの兄弟たちに6万ポンドを強請られることに。老人施設に入れられ仲間と脱走を企てる。
2144年ネオソウル。給仕クローンとして働いていたソンミ451が純血種の映画「カベンディッシュの災難」を観て自分の存在に疑問を持つ。革命組織のヘジュに救出され、クローンの実態を告発する手助けをする。
崩壊後106度目の冬。ある島では女神ソンミを崇めていたが、食人族の襲撃に怯えていた。昔の技術を持つメロニムが現れ、姪キャットキンを助けた礼として悪魔の山へガイドすることになった。
とにかく豪華な俳優陣と、男女関係なく1人何役もこなしている。ヒュー・グラントやヒューゴ・ビューイングが常にイヤな奴だというのも面白いし、それぞれの時代の中心人物が何かしらで他の時代にリンクしている。リンク内容も書物、音楽、恋愛、思想、宗教と多岐に渡り、奴隷問題を通した階級制度、LGBT問題、原発、監禁、クローン、自然環境など様々な問題を提起する。その編集テクニックも似たようなシーンを繋げたりして緊迫感を増しています。
6つの章立てにすることなく、細切れでパラレルワールドみたいな扱いだったのもいいし、ハル・ベリー以外は誰がどの俳優なのかわからなくなっているのもいい。特殊メイクすごすぎ!