「いま、人生の謎が解けようとしている」クラウド アトラス 23さんの映画レビュー(感想・評価)
いま、人生の謎が解けようとしている
始まりは奴隷貿易の時代。
奴隷貿易の一端を担う弁護士には、黒人の友がいた。
財産を狙う医者に命を狙われるも友人に助けられ、奴隷貿易の撤廃へ一石を投じることとなる。
時は流れ中世。
高貴な生まれの男と親密な関係を持つ作曲家志望。
旅の中高明な作曲家の右腕となる。
輪廻の中から手繰り寄せた音楽を認めるため、作曲家から逃げ出し、弁護士の公開日誌を愛読しながら、クラウドアトラス交響曲の完成させ、最愛の人を想いながら自らの命をたつ。
約40年後。
偉大な記者を父に持つ芸能ジャーナリスト。
物理学者となった、高貴な生まれの男との出会いから原発事故を誘発し、石油市場の安寧を企むものたちの存在を掴む。
交響曲や物理学者の持っていた作曲家志望の手紙を手がかりに決定打を見つけ出し、摘発に成功する。
そして現代。
過去に高明な作曲家の妻と関係を持った老人。
金に貪欲な生き方をしてきたツケで、まるで強制収容所のようなホームに入れられてしまう。
一世一代の脱走を試みて、その経験を脚本として残す。
そして未来。
朝鮮半島は海面上昇により沈み、ネオソウルなる都市は原子力の文明により栄えていた。
そこではクローンを用いた奴隷制が再建されていた。
革命軍は脱出劇の映画から、虐げられる現状からの脱却を目指すクローンの内の1人を引き入れ、地球外の都市へ非人道的な行いを発信するも、統治勢力に蹂躙されてしまう。
反乱に加わったクローンは波紋が広がる事を確信しながら処刑される。
文明崩壊後。
古い民の文明を利用する民族と、原始的な生活を続ける民族が混在する世界。
革命軍に属したクローンが神として崇められる。
故郷での変化のない生活を望むも、放射線により留まれば滅亡してしまう事を知る。
一度は拒んだものの、異邦人を受け入れる事で次の世代へと託すことが叶う。
大海に投じた一滴の滴もいずれ大海となる。
各々の世界で境界を取り払い、あえて困難に立ち向かう事で一石を投じた。
それらの行いは精神を形成し、業へと繋がる。