清須会議のレビュー・感想・評価
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笑いの下に見え隠れする熱さと冷たさ
観る前の心構えとして言っておくと、本作をバリバリの
コメディとして鑑賞すると肩透かしを食らうかもしれない。
笑いの量で言うと先日TV放映もされていた
『素敵な金縛り』の5~6割程度といったところかな。
だがその分、歴史ドラマとして意外やしっかりとした見応え!
クスクス笑いの中にヒヤリとするような冷徹な思惑や、
各キャラの抱える熱い想いが見え隠れする所が妙味。
重さと軽さがうまい塩梅(あんばい)に混じり合った佳作でした。
* * *
まずは『軽さ』の方から。
どのキャストも全力でヘンな役に挑んでおりました。
佐藤浩市のスネ夫並みの日和見主義者っぷり、
妻夫木聡のハイパーなバカ殿様っぷり、
役所広司の空気読めない熱血野郎っぷり
(らっきょうそんなに要らない)、
中谷美紀の全力ハッスルぶり、
そして天海祐希の雑な扱い(爆)
しかし、真剣なシーンはちゃんと真剣に演じてますとも。
なかでも大泉洋演じる羽柴秀吉は見事!
おマヌケと思わせて頭は回るし、夢にかける情熱と度胸もある。
人の心をつかむ術に長けていて、腹の内は最後まで読めないが、
それでもどうにも憎めない。貪欲すぎて逆に清々しいというか。
冗談抜きで、秀吉ってホントにこんな奴だったんじゃないかしら?
あと、なんといっても左近(爆)。
デンデケデンデケデンデケデンデン♪と勇ましい音楽が流れる度に
吹き出してしまった。例の落武者さんもゲスト出演で嬉しい。
* * *
次に『重さ』の方。
出てくるキャラの9割は、腹にイチモツ抱えたような御仁ばかり。
猿(秀吉)と猪(勝家)を大将に据え、2つの勢力が騙し合いの化かし合い。
相手の人間臭さを弱点として利用し、コトを有利に運ぶ冷徹な戦い、
そして間に割って入る、女性キャラの執念深さも恐ろしい。
だがどちらの勢力も、敵同士でありながら
完全に憎み合っている訳でもない。
敵でありながら、あるいは味方でありながら、
熱い感情と冷たい感情が入り雑じるこの微妙な温度。これが面白い。
なかでも柴田勝家と丹波長秀の友情には目頭が熱くなった。
「心の中の儂に問え。」
だなんて、ムチャクチャ熱くて格好良いじゃないか。
友人への叱咤と思いやりに溢れた、粋(いき)な台詞だった。
* * *
以下、不満点。
まずは尺の長さかな。やや冗長に思える場面もあったので、
もう10%ほどテンポが早ければベストだったと思う。
次に、剛力彩芽演じる松姫に最後、“女の凄味”が足りなかった点。
まあ、あの歳でその迫力を求めるのも酷だと思うので、
今後も精進なされよ(←どういう立場だ)。
だが、篠井英介演じる織田信長に、部下を魅了するだけの
威厳や存在感が無かった点はかえすがえすも残念だ。
勝家や秀吉らを結ぶ、単なる敵同士で括れない複雑な感情は、
主君への尊敬や憧れが原点だったと思うから。
* * *
とまあ多少の不満はあるものの、結末の知れてる話をこれだけ
おもしろ可笑しく見せられるっていうのは流石だと思います。
大満足の4.0判定! 監督、次回作も楽しみにしてます。
ところで鑑賞後、登場人物たちのその後について調べてみて、
何とも切なくなってしまった。戦の世ってのは儚いものだね。
この映画単体でも十分に楽しめるが、鑑賞前にメインキャラの
生涯をさらりと予習しておくと、より一層楽しめるかも。
〈2013.11.09鑑賞〉
これを連続ドラマでやったらすごいだろうな
これを連続ドラマでやったらすごいだろうな!と思ってしまう。
でも映画だと長く感じる。
ちょい役で出た役者さんの物語をもっと見たかったし。でも映画だからそれはできないし。
コメディ映画として面白く見させていただきました!
けっこう笑いました。
名付けて 「新時代喜劇」
コメディタッチの時代劇、三谷監督らしい
作品でした。大泉洋の秀吉はなかなかのはまり役だったと思います。鈴木京香、剛力彩芽のお歯黒に一瞬、引いてしまうのは私だけでしょうか?
駆け引き合戦。
原作を読んでません。
原作を読まずに観に行きました。
歴史的な内容には思ったほど意外性はありませんでした。コミカルだったので楽しめました。面白いと思います。
印象的だったのは本能寺から見える五重塔や、清須城からの景色など。イロイロなシーンでの背景や手間に映る花など美しかった。
特殊メイクで血筋を表したところや自然の音を使った効果音などは今までの作品とは違った時代劇を意識した感じに思えた。
尾張弁に逐一笑えたのと、尾張に生まれ尾張で育った人たちには違和感がないくらいの喋り方で役者陣の演技の上手さに凄さを感じた。もっとわざとらしい感じでくるのか?と思ってましたが、近所にいる老齢の方々を見てる気に。自然と見れた(笑)
個人的にはエンドロールの役者の紹介が(あいうえお順)と書いてあるのに笑いがこみ上げてきた。「イロイロな声」に 山寺宏一さんの名前があり、どの声だったのかが気になります。
ところで清須城から旗取りゲームをしに行った海岸はどこだろう?どこをイメージしてるんだろうか?と、愛知県民としては気になるところです。
追記、浅野忠信が演じる前田利家がアイロンをかけてるシーンが頭から離れない。戦国武将も自分でアイロンかけてたのかな?と思うとそれも何だか新しい一面でした。
着物も良かったのよ。個人的には伊勢谷友介が演じる織田三十郎信包が平家の揚羽蝶の紋をあしらった着物が印象的でした。
最近キャストが集まりすぎて仇になってる気が・・
真面目さとおふざけと汚さと
三谷監督、時代劇も行けますね。
本能寺の変での織田信長亡き後の、織田家の跡目を決める“きよすかいぎ”の模様をコメディ仕立てで描いた作品。“きよすかいぎ”は、清州会議と言う表記もありますが、映画は清須会議になっています。
原作も読んだんですが、原作は、各章が、登場人物それぞのれモノローグで構成されていると言う珍しい形態の小説です。モノローグなので、自分の考えていることも、そのままセリフになったりもしている一方、その章の中には、基本的には他の人物は出てきません。なので、同じ場面を、ある人物の視点で描いた後、違う人物の視点で描くなどの手法で、その場の臨場感を作り出しています。
原作の段階では、まだ俳優はイメージしていなかったらしいのですが、脚本化に際しては俳優へのあて書きしたらしいです。その中で意外だったのが、佐藤浩市。いつもは、渋くてかっこいい演技を見せる佐藤浩市ですが、この作品では、日和見の頼りない池田恒興を演じています。まぁ、それでも、そう言う演技は上手いですが。
あと印象に残ったのは、小日向文世ですかねぇ。まぁ、この方は元々、冷静な男も演じる方ですが、この作品では、冷静で、頭脳明晰な軍師を見事に演じていました。
中村勘九郎が織田信忠を演じているわけですが、これってまさか、織田信忠が元服してはじめのうちは勘九郎信重と名乗っていたからですかね?だとしたら、かなりマニアックです。私はWikipediaを見て気づいたんですが、三谷幸喜は歴史少年だったみたいなので、知っていたのかな?
この作品の特徴としてもうひとつ有るのが、織田家の人物たちの特徴を通った鼻に込め、羽柴家の人物の特徴を大きな耳に込めたということ。なので、織田家一族を演じた俳優たちは、篠井英介と伊勢谷友介を除いて、付け鼻をして演じたそうです。篠井英介と伊勢谷友介の二人は、鼻筋が通っていたという事ですかね。
ところで、正直、「大泉洋の秀吉って、どうよ?!」と思っていたんですが、失礼しました。良かったです。人心を掴むのが上手かったと伝えられる秀吉ですが、それを見事に演じています。芸達者ですね。
最後に。三谷作品なので、基本的に“喜劇”と言って良いはずなんですが、中々どうして、結構いい作品になったと思います。衣装や清須城も見事でした。ただ、ちょっと長いですけどね。「信長の跡目を決める」と言い過ぎたような気がしますね。秀吉の天下統一の過程であった訳ですから、そう言う所にもう少し強調しても良かったと思います。そうすると、かなり物語の色彩が変わったと思いますが。
三谷ワールド!
歴史好きにはたのしい
ディテールまできちんと考えて作ってるので、多少現代的なふるまいや言い回しになってもそれがかえって生き生きしていて楽しい。眉剃ってお歯黒なんて、クロサワ映画でしかみたことないからそれだけでも恐れ入った。
羽柴系は耳を大きく、織田系はつけ鼻で鼻を高くメイクしてDNA を強調している。このあたりのこだわりも、日本映画離れしていて評価したい。
この映画を楽しむには、ある程度はこの時代の人間関係の知識があったほうがいいと思う。凝り固まった肖像画や大河ドラマのイメージの中の人たちも、私たちみたいに生きていたんだ、と改めて感じられるのか、いい。そして、滅びていった時代の脇役たちが、実は時代の流れの鍵をいつもにぎっていたのかも。
大義であった
三谷幸喜はユニークな才能の持ち主だと改めて思う。
織田信長が死去。跡を継ぐのは誰か。
普通にやれば堅苦しい作品になっていただろう。題材は全く別だが、「火天の城」なんて退屈で仕方なかった。
ところが、三谷の手にかかれば、あら不思議、入り口の広い作品になってしまうのだから。
それにしても、よくこれだけの豪華な面々が集まったものだ。三谷引力?
常連から新顔。中にはゴリ押しっぽい顔も(笑)
大泉洋が良かった。クセ者を通り越してキレ者、ズル賢いを通り越して才人、大泉洋本来の持ち味を活かしつつ、誰もが知っている秀吉という人物を見事に魅力的に演じていたと思う。
日本の歴史上、初めて会議で歴史が動いた、と言われる“清須会議”。
恥ずかしながら、全く知らなかった。まだまだ歴史には知らない事が沢山ある。
そもそも、会議とは何の為に開かれるのか。
派閥争い? 利権の為?
本作でもそれぞれの野心や思惑が交錯するが、その先にあるのは、新しい時代を開くという大胆な未来図。
無能な政治家たちが茶番を繰り広げる為ではない。時代劇コメディの形を取りながら、今の世をチクリと風刺する。
種田陽平の美術と黒澤和子の衣装には目を見張る。
音楽とメイクは少々過剰。
最初はスロー気味だったが、徐々に面白くなっていき、会議に至るまでの駆け引き、そして遂に始まった会議という名の戦…いつの間にか見入ってしまっていた。
漫画チックな所もある。
しかし、根底にはどっしりとしたものも感じさせ、演出の手腕はここ近年の監督作の中では最上。
大爆笑作品を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、円熟した今回の三谷の仕事ぶり、大義であった。
コメディではなくコミカルなアクセントのあるドラマ
前作に比べると。。。
いささか前作のほうがテンポ良く感じた。
もちろん三谷さんらしさの笑いやツボは押さえているので面白くない、とかは決してないし、むしろオススメもしたいけどある程度歴史の流れを中学生くらいの歴史が理解してる人なら黒田官兵衛や前田利家などの脇役の立ち位置も楽しめるかな。
しかしながら有頂天やマジックアワーのような次の展開をワクワクするほどではないかも。
初日舞台挨拶も行って三谷監督曰く、お市の方の鈴木京香の衣装のこだわり方やでんでんさんの後の方になると長くなるまゆげ、中谷さんの踊りもチェックしてほしいとのこと。
そんなふうにでんでんさんの眉毛のこと言われたらDVDで借りてみてしまう。が、劇場は一回でいいかな。
会議は踊る
三谷幸喜×会議 といえば、傑作喜劇「12人の優しい日本人」が思い浮かぶ(厳密には陪審員の舞台裏を描いたもので、「会議」ではないが)。しかして本作はタイトルに「会議」の名を冠しているものの、物語の軸となるのはむしろ「根回し」と「駆け引き」。実に日本人らしい。重大な決定は会議室で決まるのではなく、その前に大勢を決するという見本。
作品はやや冗長なため星を1つ減らしたものの(これは俳優人をフルに活躍させようとするが故の、三谷幸喜作品ならではの特徴といえるが)、無駄な肉を減らし100分〜120分程度に収められればさらなる良作になったのではないか。激しい動きのある作品ではないので、ぜひ舞台用に脚本を書き起こしたものを鑑賞したいところである。
原作も面白かったが…
歴史物の実話だから
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