レ・ミゼラブル(2012)のレビュー・感想・評価
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鑑賞自体がああ無情!!
終盤劇場の方々からすすり泣く声
気づけば一緒に来ていた連れの目にも湿ったものが
聞けば嗚咽をこらえるのが大変だったそうな
・・・んな中で、正直苦悶の3時間弱
そういえばアカデミー呼ぶ声高き頃
「英国王のスピーチ」
コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュの名演ありも
爆睡してしまったのでした。
曲数・見所のボリュームの多さを短尺で収めるのは難しいのは理解します。
・・・が前編単調で、のっぺりで
幼い頃に感動した文芸書「ああ無情」
今なお絶賛ロングラン中のミュージカルとしても
トム・フーバー作品のとなれば私には合わないいんだを痛感!!
流石ぁ!!!
贅沢な時間を過ごせました
あらすじを知っている程度で鑑賞。ミュージカルならと、舞台気分でいつもより前の席で楽しみました。
観て良かったです、なかなかに贅沢な時間を過ごしたって感じでした。
冒頭の映像から強烈な印象でした。パン一つでも罪は罪、でも奴隷代りにするため軽犯罪を重く断罪しているのならとんでもないことです。
法の番人を標榜するジャベール警部の強権的な態度に、すっかりジャン・バルジャンに肩入れしてしまいます。
そこから始まる数奇な人生の物語。気づけばラストには涙していました。
隅々までゆき届いたキャスティングと感じました、何度も拍手しそうになっちゃいました。
ヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェイ、上手いだろうなとは思っていたけど、全身全霊というのでしょう、お見事でした。
エポニーヌ役のサマンサ・バークスと学生リーダーのアーロン・トヴェイト、素晴らしかったです。運動に参加する小さな男の子の、明るい歌声も心に残りました。
エディ・レッドメインも歌が上手い、彼のアップは魅力的でした。逆にラッセル・クロウは堂々とした立ち姿が印象的、危うい足元はジャベールの心の奥のあり様なのでしょうか。
宿屋夫婦、とんでもないと思いつつ憎み切れないのは、貪欲な生きる力にチョッと惹かれるからなのかな。
ああ無情
ミュージカル風であることに抵抗を感じずに観ることができました。
とても良かったです。
ヴァルジャンに対する司教の慈悲愛が映画を通して作中の各箇所に入っており、
慈悲愛の深さと大事さを教えてくれました。
私の人生にとって、糧になる作品になりました。
しかし、作中で残念だったシーンとしては、ヴァルジャンが最期の時を迎えるシーンで、コゼットとマリウスの二人から去った日の時間経過の描写が無く、ヴァルジャンが去ってからすぐに再開した様に感じて、感動が薄れてしまいました。
エポニーヌ役のサマンサ・バークスの歌声が心に響きました。
エポニーヌが大好きになる映画です(笑)
無常?
前評判の良さで見に行きました。
複数の出演者の報われない無情さというのはあまり伝わってきません。
映画界というのはアメリカに代表される正義は勝つみたいな単純なところが多いのでこのぐらいのストーリーでないと観客がついてこれない・・・ペイできないということでしょう。
日本人の心を揺らす程の無常感はありません。
本来のストーリーと関係ないのですが娘(実の子ではない)を嫁に出すのに客観的に彼氏を観察し手助けし祝福して送り出すところに少しばかり考えさせられました。
私も娘を送り出すときにこんなにすがすがしく出来るだろうか・・・。
音楽は心地良いものが多く全体話の内容がに軽く仕上げられているのでカップルにもお勧めできますが私にはいまいちでした。
全部をミュージカルに仕立てるよりメリハリを付けたほうがインパクトが強かったのではないでしょうか?
キリスト教徒でもなく常に耐えるのに慣れている日本人にはストーリーが軽すぎると感じました。
残念です。
人生に問いかける物語
妹に食べさせるパンを盗んで罪人になったジャン・バルジャン
法を破り続けてでも、フォンテーヌとの約束を守ろうとし、コゼットを我が子同然に愛し育てることで自分の存在理由を見つけようとする。
一方ジャベールは法秩序の番人、仕事に生き、そこに自分の存在理由を見出だそうとする男である。
罪人と法の番人。愛か法か。
相容れない二人の男の人生…
不幸な生い立ちだけれど、愛されることで素敵な女性へと成長したコゼット。
コゼットの幸せこそが又、フォンテーヌの生涯をも明るいものにしていく。フォンテーヌの人生(死)はけして無駄ではなかったのだと…
もし今、親や兄弟姉妹、恋人、妻、子供、誰か一人でも愛する人がいるなら、誰だってジャン・バルジャンのように生きることができる。しかし何故か私たちはジャベールのように生きがちではないだろうか?
ジャベールの生き方も一本筋が通っていて理解できるし、存在理由を見失ってしまった彼の最後の悲しい選択も現代人には有りがちだ。
ジャン・バルジャンもまた自分の存在理由が無くなったと感じた時に天に召されていく。
この映画を観て改めて思った。
一生を賭けて貫く愛ってカッコいいと…
仕事に生きるより、愛に生きる男のほうがイケてるんじゃないかと…
"何があっても一人の人を愛し続けよう"と心に決めるだけで、人生を素晴らしいものに出来るんだと…
そして、誰だってジャン・バルジャンになれるのだと…
一人の人を愛し続けることが生きる理由になり、生きた証しになるのだと…
素晴らしかった
ミュージカル映画は初めて見ましたが感情が揺さぶられる映画でした。
ヒュージャックマンの孤独と愛に目覚めたときの表現力も素晴らしかったです。
鳥肌がたつほど歌に魂がこもっていて二時間半圧巻の作品でした
二回劇場で見ましたが二回目は理解をして映画に挑んだのでそれぞれの人物の人生の葛藤も垣間見れてただ泣いてしまいました
ヒュージャックマンに圧倒させられた作品でした!!
夢つかんで。
ミュージカルの最高傑作が満を持しての映画化。
しかも監督はあの、T・フーパー。
賞を獲る気満々で(もちろん想像ですが)挑んだとも思える、
俳優自身にほぼ全編歌唱させての大長編ミュージカル映画。
名優巻き込んでのオーディションで選ばれたという主演三人、
H・ジャックマンは舞台経験が豊富でトニー賞の常連だし、
A・セイフライドはあの「マンマ・ミーア!」での歌唱が記憶に
残るのだが、A・ハサウェイがどのくらい歌えるのか分からず、
ただ、予告編で常に流れていたあの名曲(夢やぶれて)がかなり
上手かったので期待していた。
(S・ボイルで更に有名になった歌曲、意味を踏まえて聴くとまた)
…かなり圧巻。ビックリ。ここでほぼ満席の観客が泣いていた。
プロの歌手に歌わせての吹替えではないところ、
また、従来の録音のように事前録音に口パクで合わせるでもなく、
リアルに歌わせつつ演技をさせるという新しい試み、
私は映画もミュージカルも(あまり舞台には縁がないけど)好き
なので、息使いを感じる歌唱がよりリアルで良かったと思う。
何度も舞台を踏んでいるプロ(今作ならS・バークス)の歌唱は
確かに素晴らしく、演技をしながらの声量とあの説得力には
たかが俳優陣(ゴメンね)を凌ぐパフォーマンス力が観てとれた。
あそこまではいかなくても^^;(R・クロウはそれなりだったもんね)
よくぞ頑張った、とすべての俳優陣の労をねぎらいたい。
物語は(現代では古臭く当たり前感の)王道をいく大河ロマン、
ほぼ万人が内容を熟知し、何曲かはどこかで必ず聴いている
大衆作品を、改めて映画化することの意味は何だったのだろう。
J・バルジャンの数奇な人生を辿る物語は、
フランス革命を背景に市民の格差や貧困問題を浮き彫りにしている。
後半、学生達が引き起こす革命とその失敗は、
市民の無関心(あゝ無情)という最大の汚点と、
慈愛に満ちた奉仕の力いう対照的な人間の側面を交互に炙り出す。
私は個人的にこのバルジャンという(決して英雄ではない)男の持つ
姑息で不器用な生き方がけっこう好きだ。(逃げたりまた現れたりと)
妹の子供にあげるパンを盗んだだけで19年間も投獄され、
その後も執拗に仮釈放の自分の身を追い続けるジャベールによって、
精神のバランスを崩されつつ、銀の燭台(ずーっと持ってるんだよね)
をくれた老司教の慈悲に逆らわず、いい人間になろうと努力し続ける。
自分を追い詰める警部を逃がしたり、他人の娘を引き取って育てたり、
「俺はいい人間だ」というより「いい人間になりたいんだ」を切に訴える
不器用な優しさが逆に悪徳人間達を追い詰めていくのだ。
正義を振りかざす人間が果たして万能かというとそんな時代でなく、
エポニーヌの両親(この二人、あまりに堂に入ってたわね^^;)のように
浮き沈みを繰り返し、娘を失ってもまだやるか!という不敵な根性を
持ち合せなければ生きられない時代に、どう立ち回って生きるのが
賢いのかを見せつけてくるような話でもある。
とはいえ選びようのない貧富の格差はおぞましく横たわっているが。
名曲「オン・マイ・オウン」「民衆の歌」など、これまで何度も何処かで
聴いたことがある曲のオンパレードと共に、冒頭からずっと背後では
囁くような低い旋律で音が紡がれている…この旋律は最後までずっと
この物語を牽引し続けていくのだけれど、監督がミュージカルに拘って
作りあげた心根がこういうところに感じられてとても嬉しくなった。音の
流れを止めてしまっては、この物語は台無しになってしまう。楽曲と
台詞が低い旋律で滞ることなく繋がり、大河ドラマを盛り上げていく。
日本の大河ドラマも(音楽には拘っているみたいだけれども^^;)
必ずしも思惑通りにはならない様で。まぁ題材にも因るから仕方ないか。
人々の無関心や貧富の格差が無情に吹き荒ぶ中、
神に学びし慈悲の御心を宿した人間たちの新たな人生とその指針の行方、
どこで自分の人生を悟り、どう切り拓いていくかは自分次第、しかし
人生がどんな最中にあっても他を重んじ、自らを鍛え抜く精神力を持て。
…つまり私には何一つ合致していない崇高な物語になるんだけど^^;
だからこそ、こういう大作をこの年末年始に観ておいて良かったと思う、
新たな年の幕開けに相応しい佳作。
(夢やぶれてで夢を掴んじゃった人もいるからね。まだまだ人生は尊し!)
インターミッションはありませんでした(笑)
舞台で表現できない映像
数年前に帝劇で見たレ・ミゼラブル。ジャンバルジャンは滝田栄。ジャベールは村田国男、フォンテーヌは岩崎宏美。コゼットは純名りさ。エポニーヌが本田美奈子とても素敵な舞台でした。今回のジャンバルジャンのヒュー・ジャクマンもジャベールのラッセル・クロウ。フォンテーヌのアン・ハサウエイもミユージカルに適した歌唱力を持っている。私が他に好きなのはエポニーヌ役の役者さんで切ない恋心を歌い上げている。やはりレミゼラブルの有名な歌が流れてくれば、一緒に歌いたい気持ちになります。映像では舞台で表現できない場面を見れるのが嬉しい。但し、舞台はやはりライブなので反応があり楽しい。内容的に端折っている所もあるがミュージカル的には素敵な作品です。
2時間半の拷問
高評価の方がとても多い作品ですので、気分を害されたならすみません。最初にお詫びしておきます。
過去1万本近い数の映画を観てきましたが、久しぶりに上映が終わるのを待ちわびた作品でした。1時間は耐えましたが、残りは精神崩壊を防ぐのに必死でした。
人に言わせると「ただミュージカル映画が嫌いなだけでしょ」と軽くあしらわれそうですが、実はそれほど嫌いではないのです。「サウンド・オブ・ミュージック」は大好きな作品ですし、新旧を問わずミュージカルは相当数観ています。
ミュージカル映画は大きく分けて二種類あります。一つはセリフの一部が歌曲になった物、もう一つはセリフの全てが歌曲になった物です。前者は「サウンドオブミュージック」や「巴里のアメリカ人」など、後者は「シェルブールの雨傘」や、ゼフィレッリ版の「ロミオとジュリエット」など、ロックオペラの「トミー」も後者に含まれるでしょう。勿論本作も後者です。
セリフの全てが歌曲という作品は実はそれほど多くはなく、その理由は同じセリフを言うのに数倍の時間が掛かってしまい、脚本を練り込みにくいという問題があります。その為にこの手のミュージカルは単純な恋愛物と相場が決まっています。
本作は主人公のジャンバルジャンの数奇な人生をベースにしていて、原作も膨大な長さです。それを短い上映時間で描くのは元々無理があるのです。10程前にリーアム・ニーソンとユマ・サーマンで同じ原作を描いた映画がありましたが、それはジャンバルジャンとジャヴェール警部の関係を中心に描き、とてもまとまりの良い作品で好感が持てました。
本作はあれもこれも描こうとして、それぞれのエピソードや出演者の感情が表面的にしか描かれていません。正直何を描こうとしているのか分かりません。超ご都合主義で何でこうなるの?って展開だらけです。
ミュージカルにとって大切なのは楽曲ですが、これも鼻歌のような変に抑揚を付けた、これで音楽といえるのか疑問な物ばかりで、印象的な曲はほとんどありません。
革命の時の曲が何度か出てきて少し記憶に残るのですが、それがまた問題なのです。ラストにもこの曲が流れることにより、本作が革命を描きたかったのか、何を言いたかったのか益々分からなくなってくるのです。
それでも本作の舞台セットは素晴らしいし、俳優の演技も悪くないし、トム・フーパーの演出も上手です。(アクションシーンの演出が下手というのが露呈してしまいましたが・・・)
目に見える部分が優れているので、脚本の酷さが本当に残念な作品になってしまいました。
ヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェーは多分数年前のアカデミー賞での見事なパフォーマンスが認められての起用でしょう。でもこのようなシリアスなミュージカルより「シカゴ」のような明るいエンターティメント・ミュージカルの方が二人には向いていたと思います。
これからご覧になられる方は覚悟して観てください。観賞後とても良かったという感想を持たれても何も変ではありません。芸術作品の受け取り方は人それぞれですから。
ダイジェスト版っていう感じ・・・
あの大部の原作を2時間38分にまとめるというのは無理があるし、自分が原作をよく知らないからいけないのかもしれないが、話が駆け足で、よくわからなかったし、感動している暇がなかった。原作を読んでいないし、舞台も観ていない。知っている歌と言えば、スーザン・ボイルで話題になった「夢やぶれて」だけ。登場人物を絞っているとはいえ、かなり多いし、5年後10年後などと、話が飛ぶのでついていけなかった。涙ボロボロを期待して観に行ったので、ちょっとがっかり。ヒュー・ジャックマンはエミー賞も受賞しているので、安心して観ていられたが、あのラッセル・クロウが歌えるとは知らなかったし、アン・ハサウェイの母親が舞台でフォンテーヌを演じていたとは驚きだった。アン・ハサウェイがキャット・ウーマンとはまた違ったかわいそうな母親役を見事に演じていて、役柄の幅の広さに感心した。
圧巻ですね(^^)
ミュージカル映画とは聞いていたが、全編歌いっぱなしとは思わなかった(o^^o)。
逆にセリフの途中に突然歌い出すという、ミュージカル特有の違和感は感じなかったけれど(^^)。
ヒュー・ジャックマンの地の底から響いてくるような歌声に圧巻でした。
巨大な船をドックまで引っ張り上げさせられる囚人たちへの、過酷なまでの労働と仮釈放後の社会的排除は、本当に身につまされる思いで見た。
数多くの冤罪が存在すると思われる現代社会においても、多少なりとも同じような思いを抱いている人もいるのかもしれない。
3時間という長編にもかかわらず、テンポ良く進んで行くので長いとは感じなかった。むしろ5時間くらい必要なのでは?と思ってしまった。見るのは辛いけど(o^^o)
貧民街の人たちの服の汚れは、本当に一ヶ月くらい身につけて、汚い場所で生活をしていたんじゃないかというくらい見事です。
「パフューム」並に汚いです(^ ^)
とても良かった
終始涙
舞台見たことなかったので
こんなに悲しいストーリーだと思わなかったぁ
本当に悲しくて終始涙が止まらなかった
ラッセル・クロウが意外にも歌がうまくてびっくり
ヒュー・ジャックマンとの掛け合いが良かった
でも、最後飛び降りたシーンは痛々しい音が…
アン・ハサウェイ登場シーンは本当にずば抜けた可愛さ
ボロボロになっても可愛さは失わないなー
さりげなく好きなキャラはエポニーヌ
好きな人のためにけなげに奮闘して
身を挺する!
まさに捨身の愛
そこまで人を愛せるって素敵だなー
150年前の原作が新しい
ヴイクトル ユーゴーは フランスを代表する作家で、ロマン派の詩人。ボードーレールを見出して世に紹介たことでも有名。たった23歳で詩作や小説を評価されて、レジオンドヌール勲章を受け、ルイ18世から高額の年金を受け取っていた。にも拘らず、リベラルな知識人として、コメデイフランセーズの台本で、王政を笑い上演禁止になったり 1848年にはルイ ボナパルトが政権をとると これに真っ向から反対して弾圧され、ベルギーに亡命せざるを得なくなった。以来、1870年でナポレオンが失脚するまでフランスに帰ることができなかった。 小説「レ ミゼラブル」は ベルギーで出版される。
クリスチャン精神に裏打ちされた人道主義。人としてより良き人として生きようとする男、ジャン バルジャンの半生を描いた。1本のパンを盗んだゆえに19年間投獄され、出獄後 一晩の宿を許された教会から銀食器を盗み、捉えられるが、神父から、それらは盗んだものではなく与えたものだ、と証言されて罪を逃れる。この神父に 良き人として、人の為に生きることを諭されて良心に目覚める というお話は余りにも有名。 子供の頃は 岩波少年少女文庫で読み、心が躍った。ジャン バルジャンと警部シャベールとの確執、どこまでも追ってくる執念の塊のようシャベールの恐ろしさ、パリの地下水道のドラマテイックな逃走、コデットを虐め抜く叔父叔母のいかさま師ぶり、せっかく安定した生活ができるようになり人々の信頼を得て市長にまで成りながら、他の男がジャン バルジャンとして逮捕されたと知ると、すべてを投げうって出頭する勇気、、、ジャン バルジャンの冒険に息もつけずに読み進んだ。人間として、良き人として生きる決意、少女を守り、幸せになるまで見届けると言う断固とした決断、自分の良心を見つめる厳しい目、本当に素晴らしい名作。感性豊かな子供のうちに 是非読んでおくべき本のひとつだ。
ミュージカルはロンドン コペントガーデンで上演されて大成功、ロングランで、今でも上演が続いている。映画化してフイルムを作ったのは トム フーバー。「英国王のスピーチ」を作った監督。 ジャン バルジャン役は オージーの、歌って踊って演じる、ヒュー ジャックマン。44歳。身長190センチの大きな体で、ミュージカル「オズから来た男」を演じて、オーストラリアよりもアメリカで先に、人気者になった。全然名前のない役者時代に テレビで共演した7才年上のオージー先輩役者デボラリー ファーネス(全然美人じゃない)と結婚して以来、ずっと離れたことが無いという仲良し夫婦だ。
このミュージカル映画は、演技を撮影した後、レコードしておいた歌を画面にくっつける従来のミュージカルの製作方法をやめて、演技と歌をライブで撮影している。そのため どの役者の歌も迫力のある臨場感に満ちている。
映画の最初のシーンに、みな度肝を抜かれるのではないだろうか。オーケストラの重厚な響きで始まる大スペクタクルだ。どでかい帆船を修理するために港のドッグに船を停留させるために何百人もの囚人たちが鎖につながれたままロープで船を牽く。ドッグの畝かと思っていたものが、船をひくロープでそこに豆粒のようにへばりついていたのは 疲れ果てた囚人たちだったのだ。ここでヒュー ジャックマンが歌う「囚人の歌」がすごい迫力だ。彼いわく、36時間水を飲まないで居ると、顔が4.5キロ痩せることが出来る。そうして自ら激しい頭痛と戦いながら脱水し、骸骨のような形相になってこのシーンを演じたのだそうだ。恐るべき執念。本当に圧倒された。
驚いたのは、コデット役のアン ハサウェイが、とても高い綺麗な声で歌っていたこと。娘のために痩せた体で、身を持ち崩し初めて体を売ったあとに歌う「I DREAMED A DREAM」(夢やぶれて)は、可哀想で不憫で 聴いていて自然に涙が浮かんでくる。でも、エプニーヌ役のサマンサ バークスには勝てない。彼女の歌唱力は本物だ。たった一人、片想いとわかっていて自分の愛した青年を見つめる けなげな純真さを「オン マイ オウン」で歌い上げる。その姿に胸がつまる。
ジャン バルジャンが富も名誉も地位も捨てて、身代わりに拘束された男を救うために名乗りを上げる決意を示す「WHO I AM」(おれは誰だ)も、すごく良い。もう怖いくらい。
たくさんの登場人物に繰り返し繰り返し歌われる「民衆の歌」は 本当に心に響く。貧しくて もう失うものなど何もない民衆蜂起の歌の合唱が、映画を観終わった後でもずっと頭の中で繰り返されて、忘れられない。
原作が良いので ミュージカルにしても、映画にしても人の心を打つ。古典作品だが 今でも人々は富める物と、何も持たないものとに分断され、厳しい生活の中でも、人は愛する人のために身を投じ、良心をもって良き人でありたいと念じて生きている。150年前に出版された文学作品だが、少しも古くない。今日でも全く新しい。
これだけ力の入ったミュージカルをほかに見たことが無い。2013年のアカデミー賞は、全部これにあげたら良いのではないだろうか。
監督はイングランド人です。
いや、役者配分は最高なんです。しかも実際に歌わせることで、ほぼ全編歌いっぱなしという大技を実現しています。特にアン・ハサウェイは素晴らしい。
それじゃあ何でこんな低評価かというと...トム・フーパーはフランス的革命高揚感を理解してないみたいなんですわ。
そもそもレミゼって作品の主題は、人間の尊厳を守るはずの法が逆にそれを踏みにじっているという現実、ジャベールみたいな人間がまるで弱いものいじめのように庶民の心を砕いてしまっているという状況描写です。法と正義の狭間に押しつぶされる人々が集まって革命に向かう時、そこにフランス的高揚感が生まれるわけです。ところが本作には、それがほとんどない。
原因はフーパー監督が主題を見誤ったことでしょう。男女愛は確かに原作にも書かれていますですが、それがメインデッシュじゃない。おまけに本来の主題とはあまり関係のない盗っ人夫婦のキャラが立ち過ぎて、革命メンバーの影が薄くなっています。
そもそも最初からして、司教様に助けられるまでの過程がまるでダイジェストです。おまけにこの時のバルジャンはただの乞食と化してます。違うでしょ。ビクトル・ユーゴーが言いたかったのは「パンが食べられない怒り」じゃなくって、「人間の尊厳を踏みにじられた怒り」でしょ。メシのための革命は、バルジャンが逮捕される遥か前にもう終わってるんです。そういう意味で、フーパー監督はやっぱりイングランド人でした。
彼はレミゼに手を出すべきじゃなかった。それこそマイ・フェア・レディの方が向いていたはずです。
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