HERO(2005)
劇場公開日:2005年7月9日
解説
インターネットほか様々なメディアで活躍するクリエイター集団、DENDROBIUMによる意欲作。秘密組織の実験の後始末という汚い仕事に従事する青年の悲哀を描くSFドラマ。ショート・ムービーとして製作され、全4話から構成されている。演劇の世界で活躍中の若手俳優陣をキャストに迎え、超低予算ながら独特の世界観が確立されている。
2005年製作/37分/日本
配給:アップリンク
劇場公開日:2005年7月9日
ストーリー
“ヘルティック”という謎の組織の雇われの身である奥山純太(小原雄平)。彼は組織の実験の後始末として、不必要になった人間や『怪人化』された実験サンプルを処分する仕事に就いていた。自身の体も改造され、組織の最末端として汚い仕事に従事する純太は、組織内部で皮肉まじりに「HERO」と呼ばれていた。冷酷で全てにおいて無関心な彼の心は、ある意味平等で理想的に見えるが、保守的で殻に閉じこもったような印象も受ける。ある日、定期メンテナンスを受けていた純太は、昔の、彼がまだ普通の人間だった頃に書いた小説のことを語りだす。それはさらわれた恋人を探し求め、一心に愛する純粋な少年の物語だった。そこには彼が「HERO」になった理由、そして彼の、人生への渇望と絶望が映し出されていた。ある日、純太の前に、伝達指示と監視のために組織から送られてきた娘・水越鈴が現れる。明るく社交的でよく喋るが、虚言癖があり、善悪の分別が曖昧な鈴。彼女は可愛い顔とは裏腹に、目の底に狂気を湛えている。鈴のつかみどころの無い性格、思わせぶりな態度や行動は、純太に動揺と変化と葛藤をもたらす。無論、それも組織の計画の一部なのだが…。人はどうして、皆幸せになれないのか。血に染まりながら、純太は思う。やがて彼は、鈴に導かれるかのように変化してゆく。