「【”真理の探究。”今作は、地球外文明の探索を幼い頃から只管に行う女性研究者の姿を科学、神(宗教)、政治の介入など様々な要素を盛り込みながらも、斬新なSF描写で描いた逸品である。】」コンタクト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”真理の探究。”今作は、地球外文明の探索を幼い頃から只管に行う女性研究者の姿を科学、神(宗教)、政治の介入など様々な要素を盛り込みながらも、斬新なSF描写で描いた逸品である。】
■電波天文学者のエリー・アロウェイ(ジョディ・フォスター)は、父テッド(デヴィッド・モース)と共に宇宙を観察しながら、幼い頃から地球外生命体に交信を送り続けて来た。
そんな彼女のもとに、ある日宇宙からメッセージが届く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は、いわゆるハッピーな宇宙人との心温まる遭遇だけを描いていない。幼い頃から天文好きの父と共に地球外生命体とのコンタクトを続けて来たエリー・アロウェイの、成長物語であり、神の存在、政治の介入などが現実感を持って描かれているのである。
・興奮するのは、彼女が宇宙からのメッセージを初めて受信するシーンである。2.3.5.7~101までの素数を打ってくる様は、胸躍るし、その後ヒトラーの演説シーンが映されるシーンからの、”ヴェガ”からの高度な設計図面を読み解いていくシーンはワクワクする。
・それまで、彼女の研究費を削っていたドラムリン博士(トム・スケリット)が掌返しで、彼女を支援していたと思ったら、彼自身が前面に出てさも、自分が交信に成功する礎を築いてきた様な振りをするシーンや、政治が介入してくる様など。
だが、彼女を支援して来た実業家ハデンの絡みなども、ドラマとして面白い。
■”ヴェガ”の設計図面により作られた移動装置の形態が今までのSF映画では見た事がない斬新なスタイルであり、乗務員と目されていたエリー・アロウェイに対し、彼女を想うパーマー・ジョス(マシュー・マコノヒー)が、敢えて無神論者ではないかと問う所から、乗務員がドラムリン博士に代わるも、発車間際に乗り込んできた狂信的なカルト宗教家に爆破され、彼が命を失うシーンも、シニカルである。
・だが、ハデンが同型の移動装置を密かに北海道に作っていて、エリー・アロウェイが乗り込み、”ヴェガ”に向かって”ワームホール”状の所を移動するシーンは、その映像自体が斬新すぎる。後年、クリストファー・ノーラン監督により制作された「インター・ステラー」よりはるか前にこのようなシーンが撮影されていたとは、驚きである。ロバート・ゼメキス監督、凄いな。
あのシーンは、いわゆる”ワープ”であろう。エリー・アロウェイが到着した地で現れたのが父テッドの姿をした”ヴェガ”の人であったという設定も、”ヴェガ”の人達の文明が、如何に高度なモノであるかが、分かるのである。
<地球では、余りにも早い1秒でのエリー・アロウェイの”帰還”に、疑問視する政府、宇宙機関関係者が多数居る中、エリー・アロウェイは自身の経験を真摯に語る姿も良い。
今作は、地球外文明の探索を幼い頃から只管に行う女性研究者が、その夢を叶える様を斬新なSF描写を交えて描いた作品なのである。
科学、神(宗教)、政治の介入など、様々な要素を盛り込みながらも、一人の女性が”真理を探究”する様が良き作品でもある。>