「ファンにとってはたまらない価値と意味を持った一作」Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンにとってはたまらない価値と意味を持った一作
私が坂本龍一の「音楽図鑑」を初めて手にしたのは、同作リリースから5年経った中学生の頃。今回の修復デジタル化されたドキュメンタリーを介してアルバム制作時(1984年)の原風景に出会えたことは、人生で何百回と聴き続けてきた楽曲に更なる広がりをもたらしてくれたと言っていい。若かりし教授が完成形とは微妙に異なるフレーズをピアノで試し弾きするあの姿、あの映像に心震える思いがした。楽曲だけでない。東京の街並み、カルチャー、広告、それから教授の表情、仕草、佇まいに至るまで、全てが刺激的なものばかり。そして社会や芸術に対する教授の言及、考察のなんと鋭敏で研ぎ澄まされていることか。あの頃の彼がじっと見据えて夢想していた未来を遥かに超えた2026年に我々はいる。62分というTV番組サイズ(元々、フランスのTVドキュメンタリーとして製作)の短さではあるが、ファンにとっては掛け替えない意味を持った一作と言えよう。
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