Tokyo Melody Ryuichi Sakamotoのレビュー・感想・評価
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ファンにとってはたまらない価値と意味を持った一作
私が坂本龍一の「音楽図鑑」を初めて手にしたのは、同作リリースから5年経った中学生の頃。今回の修復デジタル化されたドキュメンタリーを介してアルバム制作時(1984年)の原風景に出会えたことは、人生で何百回と聴き続けてきた楽曲に更なる広がりをもたらしてくれたと言っていい。若かりし教授が完成形とは微妙に異なるフレーズをピアノで試し弾きするあの姿、あの映像に心震える思いがした。楽曲だけでない。東京の街並み、カルチャー、広告、それから教授の表情、仕草、佇まいに至るまで、全てが刺激的なものばかり。そして社会や芸術に対する教授の言及、考察のなんと鋭敏で研ぎ澄まされていることか。あの頃の彼がじっと見据えて夢想していた未来を遥かに超えた2026年に我々はいる。62分というTV番組サイズ(元々、フランスのTVドキュメンタリーとして製作)の短さではあるが、ファンにとっては掛け替えない意味を持った一作と言えよう。
同時代を生きた人間には心な刺さりました
1984年の東京という「村」と、電子のシャーマンとしての坂本龍一
僕の観察によれば、この映画は単なる音楽ドキュメンタリーではない。フランス人の女性監督が採集した、1984年(昭和59年)の東京という巨大な「村」の生態記録である。
スクリーンに映し出されるのは、世界へ飛び出す直前の、一番尖っていた頃の坂本龍一だ。
彼がスタジオで操るのは、当時の価格で1200万円はした怪物マシン「フェアライトCMI」。その無機質な画面に向かい、タバコを吹かしながら数値を入力する姿は、音楽家というよりは科学者か、あるいはニューアカデミズムの学者のように見える。
だが、この映画の白眉は、その最先端の電子音の合間に、執拗なまでに下町の「祭囃子(まつりばやし)」がインサートされる点にある。
ねじり鉢巻の男たちが打ち鳴らす太鼓の原始的なビートと、教授が構築する冷徹なシーケンス。一見、対極にあるこの二つが、フランス人の眼には等しく「極東の都市のノイズ」として映っているようだ。そして実際、映像の中でその二つが重なり合う時、不思議なシンクロニシティが生まれる。秋葉原のジャンクパーツも、神輿(みこし)も、結局は同じ熱量で振動しているのだ。
象徴的なのが、新宿・スタジオアルタの街頭ビジョン(アルタビジョン)のシーンである。
巨大なブラウン管の集合体に映し出される教授の顔と、それを見上げる雑踏。そこに「生活感」はない。あるのは、バブル前夜の浮かれた空気と、消費される記号としてのスターの姿だけだ。
黒塗りのハイヤーで移動し、自動車電話で打ち合わせをする教授は、この混沌とした1985年前後の東京を泳ぎ回る、冷めたシャーマンのようにも見える。
音楽ファンはもちろんのこと、あの時代の「湿度」と「未来感」が入り混じった東京の空気を再確認したい人にとって、これは第一級の歴史資料と言えるだろう。
教授がメロすぎる
とにかく坂本龍一がカッコ良すぎる。
正視するのがつらいというか、じっとみてると恥ずかしくなってしまう。
当時自分はちょうど社会人になったころだった。
戦メリはテレビで知った気がする。
音楽図鑑は、初めてリアルタイムで聴き込んだアルバム。映画から流れる曲を聴いて、40年経ってもどの曲も鮮明に自分の中に記憶されていることに驚いた。
どれほど聞き込めばこんなに共鳴するのだろう。
ウォークマンで繰り返し、繰り返し聞いていたのかもしれない。
曲の作り方について、さいしょから順に作るのではなく、部分ごとに作ってそれをつなげるんだ、といっていて、現代のミュージシャンが普通にやっている手順はこの頃から始まっていたのだなあ、と感慨にふける。
先日見たDiariesが思い出され、あたかも最盛期と思われるようなこの30代から、あと40年もの間とてつもない業績を積み上げてきたこと、こんな音楽家が他にいるのだろうか?と改めてその功績に感銘を受けた。
この映画が再び見られるようになったことで、後世にまで長く坂本龍一のいろいろな歴史が映像で残ることになってよかったと思う。
最後に演奏されるセルフポートレート、このアルバムで一番好きな曲だ。
1984年ころの記録映像. YMOや戦メリが過ぎて,アルバム"音楽...
1984年ころの記録映像.
YMOや戦メリが過ぎて,アルバム"音楽図鑑"のころ.
音楽の制作過程の変化, 聴き方の変化
時間順に作曲するのは過去のやり方で, 断片を蓄えてつなげる作曲とか
聴衆も一曲フルに聴くよりも, 断片を聴く方にシフトしている, エレベータや各フロアなど, 滞留する数十秒や数分でまた次の音楽に変わるような.
教授のスタジオでは, 当時の5インチフロッピーに音源を蓄えていたり.
フランスとの合作映画らしい視線も味わいでした.
暮らしていると見慣れてしまい, もはや気にも留めないような所.
当時の東京の街の景色, 環境にあふれる音の数々.
駅員が切符に入鋏とか, 竹の子族とか, 祭囃子, パチンコ屋, 公園の掃き掃除, etc
秋葉原のネオン, 渋谷の鉄道や首都高の多層立体交差, 東横線渋谷駅(当時は高架で始発駅), 東京タワー, ビル群, etc.
ファン目線で, 音楽的にも興味深い場面が盛りだくさんでした.
音楽図鑑の楽曲,
戦メリの名場面,
YMO散開ステージ,
アッコちゃんとご夫婦(当時)でピアノ連弾,,,
40年ほど過ぎて, 当時の東京の模様をいま見られることにも, 意義を感じています.
坂本さんは
古いアルバムの中のトーキョー
YMO散開後、ソロアルバム「音楽図鑑」の制作風景やインタビューや戦メリ、1984年の東京の風景などが収められた坂本龍一のドキュメンタリー。
VHSかレーザーディスクでジャケは見たことあったり抜粋した一部分がyoutubeなどで見たことあるけど
4kでレストアされきれいな画像で全長版を見ると古いアルバムを見るような不思議な面白さがあった。
1984年の渋谷、秋葉原、浅草、原宿の風景(まだアルタのモニターは白黒だった)
「音楽図鑑」でメイン機材で使われているフェアライト(初期サンプラー)の説明(フロッピー的なメモリーでかい)
フェアライトは当時は細野晴臣(フィルハーモニー)立花ハジメ(Mr. Techie & Miss Kipple)などいろいろ使われていたなあ
坂本龍一は1番絶好調の時期で才気とナルシストがいいバランスでかっこいい。
62分と短いけど劇場で観れてよかった
TECHNOPOLICE TOKYOで開花した教授のエピローグ
音楽図鑑
1984年の東京の“音”と教授を活写
1984年、32歳の坂本龍一を追ったドキュメンタリー。
国鉄職員が改札バサミで切符に切り込みを入れる音、パチンコ台の中で弾かれる玉の音、家電量販店で売られているテレビの画像音など、当時の“東京の音”や、原宿の竹の子族、新宿アルタや東急文化会館といった今は現存しない商業施設も映し出されており、当時を知る人はノスタルジックな気分に、当時を知らない人は新鮮に感じられるはず。
幼少時の記憶、文化や社会の変化、音楽の創作プロセスについての“語録”や、当時の妻矢野顕子との「東風(Tong Poo)」の連弾など、アーカイブ映像としても貴重。まあ坂本のファンダム向け以上の何物でもないが、62分という短いランニングタイムもあってサクッと観られる一本。
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