劇場公開日 1949年7月19日

「噂から恋が始まり、思い込みから因習が打破される。」青い山脈(1949) 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0噂から恋が始まり、思い込みから因習が打破される。

2023年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1949年。今井正監督。東京から私立の女学校にやってきた女性教師はある日、クラスの生徒(東京からの転校生)にきた男性からの手紙が生徒のいたずらだとわかったことから、男女交際が悪いわけではなく、いらずらこそが卑劣であると厳しい口調で説諭。すると、学校の品位や伝統を重んじる大多数の女生徒から反発の声があがり、保護者や町の有力者を巻き込んで大騒動になっていく、、、という話。
都市と農村の対比を前提に、学校の品位や伝統という名の封建的な因習に真っ向から立ち向かう気骨ある女性教師が、徐々に仲間を増やしていくのは物語の定番。また、いたずらの背景に、実際に当該生徒が高等学校の男子生徒と異性交際になりかけている事実があるというのもミソで、まったくの捏造ではない思い込みから噂が生まれ、噂との関係で事実が出来上がっていく。最後にすべてが明らかになったとき、噂はどうなるか、思い込みはどうなるかという興味が物語を駆動する。これも定番。
高校生と女学生の関係、女性教師と地元医師との関係、大人の権力関係、女性たちの分裂、など話が大きくなるところまでで前篇は終了。うまくできている。
ちなみに、大柄でのびのびとした準主役といっていい杉葉子、元祖「眼鏡女子」というべき若山セツ子、凛としたたたずまいの飯野公子、真面目青年の伊豆肇といった東宝ニューフェイスの面々がたくさん出演している。

文字読み