瓢箪から出た駒
劇場公開日:1946年1月24日
解説
「姿なき敵」に次ぐ千葉泰樹監督作品である。
1946年製作/82分/日本
配給:大映
劇場公開日:1946年1月24日
ストーリー
荒川と小森は相反する性格が共通する仲の良い二人組である。彼等の住む隣組に美しい乙女が病気の母と共に住んでいる。当節の配給状態では碌々母親に栄養をとってやることも出来ぬと心を傷めている乙女の有様を見て秘かに彼女に好意以上のものを感じている両人は互いに抜駈けの功名を立てようと奔走するがうまくゆかない。結局妥協して仲良く何か食糧を手に入れて彼女に贈ろうと買出しに出掛けるが至るところで失敗する。ちょうどその時買出部隊と悪質の闇商人検挙の網が張られ警察の前は延々長蛇の列、没収された食糧の山……熊蔵、三平の両人こりゃ堪まらんと、とある豪壮な邸内に身を隠す、逃げ込んだ防空壕ではずみに触わったスィッチ中に入ると隣の室には米俵、缶詰、砂糖、酒などあらゆる食糧が貯蔵されている。両人は荷物についている荷札と星のマークを見て、これはてっきり戦争のドサクサに紛れて持ち出したものと直感する。その頃、終戦時の軍人の非行糾弾が社会の世論となり、両人の忍んでいる将軍の家へも新聞記者が探訪記事をとりに来ていた。老獪を極める将軍の応答--悪徳の確証を握る二人、かくて意気揚々と我家に帰った両人の心尽くしの食糧の贈物に母親は涙を流して感謝するのだった。悪徳将軍摘発ニュースで一躍隣組の人気者となった二人に、お千代さんの複雑な感情の視線が注がれている。