無言の乱斗
劇場公開日:1959年12月1日
解説
原健三郎の原作を、「ギターを持った渡り鳥」の山崎巌と西河克己が脚色し、「風のある道」の西河克己が監督したもので、非行少年を描いたもの。「清水の暴れん坊」の横山実が撮影した。
1959年製作/77分/日本
配給:日活
劇場公開日:1959年12月1日
ストーリー
無軌道な世の風潮にまきこまれて罪を犯したハイ・ティーン達が、今日も少年鑑別所に送られてくる。--木下昌夫もその一人である。だが、教官の向井は、ふてくされた彼を見て、この少年は立ちなおれる、と直感した。けれど、昌夫は鑑別所で庄田順平や寺尾栄太といった仲間と喧嘩して日を送った。昌夫がおとなしい少年になるのは、許婚者の澄枝のことを考えた時だけだった。昌夫がこの鑑別所に送られてきたのは、--澄枝との結婚を夢見て、芝というヤクザに強いられたキョウカツをやったからだった。バンドのボーイだった彼はおとなしい少年だった。が、金欲しさと、おどす相手が母と不倫の仲にある柳沢だったことが、彼の良心を盲にしたのである。--鑑別所の少年達は教官にあくどいいたずらを働いた。しかし昌夫はそれには加わらなかった。向井教官は澄枝を訪ねて、昌夫をはげましてもらおうとした。ところが、澄枝はあいまいな飲屋で媚を売る女になっていた。芝は、昌夫が鑑別所に入った後も、澄枝を追いまわしていたのである。向井はそんな彼女を友人の玩具工場に世話した。昌夫も、向井の心にうたれて真面目になろうとしはじめた。ある日、芝の乾分が入所してきた。その男が澄枝のことを話したことから、また昌夫は狂暴になった。昌夫は脱走した。澄枝の所に行ってから、彼は芝のもとを訪れた。澄枝の復讐のため、彼は芝と乾分に対決した。芝のとりだした短刀をもぎとり、昌夫は相手を刺そうとした。その時、彼の手にとりすがったのは母だった。妹の文子もやってきた。ひるんだ彼から短刀を取った芝は、それを昌夫めがけてつき出した。刃を受けて倒れたのは母だった。正しく生きることを言いのこして、母は死んでいった。今は昌夫も、澄枝と結ばれ、強く生きることを誓うのだった。