愛情不動

劇場公開日:

解説

長谷川幸延の原作を、「荷車の歌」の依田義賢が脚色したもので、大阪法善寺界隈をバックにしたメロドラマ。「恐喝(1958)」の佐伯幸三が監督し、「グラマ島の誘惑」の岡崎宏三が撮影した。パースペクタ立体音響。

1959年製作/99分/日本
原題または英題:Love Never Wavers
配給:東宝
劇場公開日:1959年5月19日

ストーリー

昭和十五年、華月の舞台で粋な小唄で客の人気を一人占めにしていた芸人がいた。その名は竹山要吉。金と女に不自由なく、その私生活は派手であった。法善寺横丁の古い暖簾を誇る料理屋「二作」は未亡人おますが女手で切り回し、店は繁昌していた。一夜、興行師杉野と共に店に現れた要吉を、おますの娘圭子はひそかに慕った。要吉の人気は下った。私生活からくる芸のくずれ、時局の緊迫が原因であった。しかも要吉は他の芸人と争って負傷した。一夜酔いつぶれた要吉は、手厚く看護する圭子の深い愛情をしみじみと感じた。いざ負傷がいえて舞台に立った時には、人の心はすでに要吉の芸から去っていた。その頃、杉野は軍部と手を結び腕を振っていた。おますは「二作」の経営を続けるためにやむなく杉野の世話になった。一方、要吉は失意と苦難のどん底にあった。三味線渡世の通る時勢ではなかった。酒に溺れる要吉を更に打ちのめしたのは圭子の結婚であった。落ちぶれた芸人要吉よりも、時勢を巧みに生きぬく杉野を、おますは婿に選んだのである。淋しく身を引いた要吉に召集令状が来た。ただ一つの心残りは世間から見捨てられた自分の芸であった。華月の舞台で要吉が名残りに弾く三味線は人の心をうつものがあった。しかしそれは昔日の面影もとどめず、淋しい舞台であった。戦局は悪化し、法善寺横丁の人々も四散した。そして終戦。この界隈も塗りかえられた。一日その横丁に感無量に立ちつくす要吉の姿があった。折しもネオンが輝き、バーの立並ぶ一角から出て来たのはバーの女給圭子だった。おますは他界し、杉野とも別れた圭子は、思い出多い横丁を立ち去れなかったのである。圭子を追って要吉はバーへ、そして彼女の部屋に入った。部屋の隅に思いがけぬ自分の三味線をみつけて、要吉は心暖まる思いがした。圭子は汚れた自分を恥じたが要吉には彼女の変らぬ心づかいが嬉しかった。年月こそ経たが、二人の心は暖く結びついた。

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