私は貝になりたい(1959)のレビュー・感想・評価
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フランキー堺だがシリアス
赤かぶ検事のフランキー堺しかろくに知らない若輩者だが、それゆえフランキー堺は喜劇人だと思っていた。こういう役もあったんですね。銃剣突撃させられる兵卒の悲哀。こんなんで戦犯にされたら浮かばれねぇや。
戦争という名の理不尽
DVDで鑑賞。
市井の人を演じさせたら、フランキー堺の右に出る者はいないんじゃないかなと思いました。「世界大戦争」と云う映画でもそうでしたが、戦争がもたらす理不尽に翻弄され、幸福な生活を享受することさえ許されない状況に怒りを露わにする男を演じていました。繊細な演技によって、心の内の深い悲しみや様々な感情が画面を通して観る者の胸を打つ…
非人道的行為であったとしても、上官の命令に逆らえばこちらの身も危ない中で、捕虜の米兵を刺殺せざるを得なかった豊松。裁判においてそのことを斟酌してくれたら彼は死刑にならずに済んだかもしれない、と思いましたが、米軍側に立って考えると、仲間を無惨に殺害されているわけで…。やはりこれも戦争と云う状況が生み出した理不尽以外の何物でも無く、決して繰り返してはならない悲劇だなと思いました。
※修正(2022/03/27)
民主的な軍隊なんて存在しない
中学生くらいの時に、SMAPの中居くんが主演のリメイク版が流行っていた。その当時は「私は貝になりたい(特にホタテ)」なんて言って茶化していたけど、原作がこんなに胸に刺さる作品だとは思っていなかった。東京裁判では、実際に二等兵で死刑になった人はいないそうだが、何が何だかよくわからないままに戦争責任を追及されて有罪になってしまう理不尽さ、悲惨さはこの作品が表しているものと共通しているように思う。「だから東京裁判は不当で、亡くなった方は是非とも靖国にまつらにゃいかん」ということではなくて、戦争に負けるというのはこういうことなのだ、という一つの例示であり、強く戦争に反対するメッセージを伝えるものだと私は理解した。
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