南部騒動 姐妃のお百
劇場公開日:1959年4月10日
解説
「毒蛇のお蘭」につづく新東宝の毒婦シリーズの第四篇。大貫正義・葉山浩三の脚本を「大暴れ女侠客陣」のコンビ毛利正樹が監督し、友成達雄が撮影した。
1959年製作/82分/日本
劇場公開日:1959年4月10日
ストーリー
惣七がきられた。南部藩藩士内海幸次郎は責任を感じて病床の惣七と娘お百を桑名屋徳兵衛に頼んだ。親切な幸次郎をお百はひそかに慕った。しかし徳兵衛は幸次郎からの見舞金も渡さず、しかもお百を女中にし、その上内儀の留守中なぶりものにしてしまった。そして怒ってつめよる惣七を締め殺してしまった。無残にも息絶えた父にすがってお百は仕返しを誓った。お百はすっかり人が変った。徳兵衛とお百の間を疑ってわめき騒ぐ内儀を徳兵衛が突き飛ばして死なせた時も冷然と見ていた。その夜の大嵐で徳兵衛の持船は皆沈み、旅に出た時箱根地獄谷の硫黄の煙につつまれて徳兵衛はお百の恨みも深い匕首に倒れた。江戸家老吉川外記は料亭で芸者小春に心惑わされ、それがお百とは知らず藩主と腹違いの自分の世嗣を生んで藩主とせよと南部藩乗取りの陰謀を強いた。お百は八重菊と云う殿の腰元になった。幸次郎は外記にお納戸金横領の濡れ衣を着せられ、国表家老からは外記陰謀を暴く証拠品の入手を命ぜられた。折よく密使として糸路が八重菊を見張った。八重菊に野心のある不知火は忍んだが、八重菊の短剣でさされ外記にも斬りつけられた。血糊のついた短剣は糸路の手で幸次郎に渡ったものの、正体のばれた糸路は拷問を受けるが不知火の知らせでかけつけた幸次郎に救われた。不知火により八重菊と外記の陰謀の次第を知った幸次郎の進言でお家の大事と掃頭介自ら江戸にとんだが、すでに藩主は外記の悪企みの霊水とやらで衰弱していた。八重菊の口添えもあってお納戸金横領事件の取調べは幸次郎に一任された。取調べに当った幸次郎は八重菊がお百であったことに驚き、もう身も心も毒されてしまったが、せめて幸次郎の手で成敗されたいと泣きくずれるお百を痛ましげに見守った。今はすっかり悪事の証拠のあがった外記と掃頭介が火花を散らす大広間に外記の陰謀を暴露する八重菊の妖艶な笑い声が響き渡った。