共犯者(1958)
劇場公開日:1958年10月22日
解説
完全犯罪を計画して押し入った銀行ギャングが、自らの犯罪に怯えていく心理を描いたサスペンス・ドラマで、原作は松本清張。「赤い陣羽織」の高岩肇が脚色、「赤線の灯は消えず」の田中重雄が監督、「素っ裸の青春」の渡辺公夫が撮影した。「赤線の灯は消えず」の根上淳、「不敵な男」の船越英二、「素っ裸の青春」の叶順子に、高松英郎・宮口精二・倉田マユミ・八潮悠子・多々良純などが出演している。
1958年製作/95分/日本
劇場公開日:1958年10月22日
ストーリー
--九州・福岡市。内堀彦介は目抜き通りの家具デパート・丸堀屋の社長である。彼はわずか四、五年の間に数千万円に近い資産と信用と地位を得たのだ。彼と吉沢雅恵との婚約披露パーティの席上、市長は彼を“立志伝中の人物”とたたえる祝辞を述べたくらいである。--五年前、彼は食器具のしがないセールスマンだった。彼は漆器の外交員の町田武治と知り合った。二人は銀行強盗の計画をたて、内部の事情を知る山陰地方の銀行に押し入った。金を分けあい、「これ以後は見ず知らずの他人になろう」と約束して別れた。彦介は外交員の足を洗って、郷里の福岡に帰り、地道に商売を始めた。三年たち、誰にも疑われぬ時になって、今の場所で大大的に商売を始めたのだ。--彦介はどんな時でも新聞に注意を集めていた。町田は消息が知れなかった。財産・地位の出来た今は、共犯者・町田が一番恐しい。彼の成功を知ったら、昔の事で脅迫してくるだろう。それは総てを失うことだ。彼は不安に苦しめられた。町田の郷里が宇都宮だったことを思い出した。電話帳を調べると、町田は高崎で漆器商を営んでいた。彦介は高崎の新聞に三行広告を出し、私設調査員を募集した。竹岡良一という男が誠実らしかった。新規取引のためという名目で、町田を含む高崎の実業家三、四人の調査を彼に指示した。竹岡からの第一信。手広く順調に営業している。月二回の通信は平穏のうちに半年続いた。竹岡が福岡まで挨拶に来たいと申し出たとき、彦介は会う必要はないと返事した。竹岡通信は続いた。「町田氏は美人秘書と邪恋に落ちた。競輪に熱中。」「最近は営業不振。高利の金で手形を落した。」「ほとんど破産状態。近日中に店を閉じる噂あり。」「店を整理し、女秘書と千葉方面へ向った。」彦介は竹岡に町田を追わせた。千葉からの通信、--「町田氏はここでも失敗し、懐中無一文で西へ向った。」更に追わせた。「大阪でニコヨンをしている。西へ向う模様。」「神戸から岡山へ移り、人足をしている。」「今は尾道。」「コジキ同様になって山口へ向った」これらの報告で、彦介は町田の意図をはっきり知った。町田はかつての共犯者・彦介を探しているのだ!「下関に着いた。ニコヨンである。彼は目下病気中で公園に寝ている。」ついに、彦介の最後が来たらしかった。彦介は、町田の出現を確かめに出かけた。(これ以後につづく結末は、製作者の要望によって、伏せることにしました。)