隠密将軍と喧嘩大名(前後篇)

劇場公開日:

解説

八代将軍吉宗と、将軍職問題にからんでそれに楯つく尾張大名の抗争を描いた娯楽時代劇で、陣出達朗の大衆読物所載小説が原作。脚色は宮川一郎・鏡二郎、監督は「天皇・皇后と日清戦争」の並木鏡太郎、撮影は「不如帰」の山中晋。「黄金奉行」の嵐寛寿郎、「宇治みさ子の 緋ぢりめん女大名」の宇治みさ子をはじめ、坂東好太郎・若山富三郎・北沢典子らに、新人の安藤彦三郎が出演している。

1958年製作/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1958年9月7日

ストーリー

◇前編 徳川八代将軍の座をめぐって、尾張大納言継友と紀州大納言吉宗が激しく争っていた。吉宗は天英院や水戸綱条の推輓で将軍相続は必至と思われ、継友はその憤懣を乗馬で爆発させた。しかし近習岩藤清次郎をつれての遠乗りの途中、継友は落馬し絶命した。継友の弟宗春は復讐を誓い、八代将軍となった吉宗の政策にことごとく盾をついた。尾張藩江戸屋敷は長男万五郎の初節句を祝って豪華な鯉幟をあげた。吉宗の緊縮政策にもとづき、役人がこれの引下しを命じた時、磯輪鯱太郎が家康公より拝領の鎧を着用して現れ、役人を追払った。吉宗は、尾張家に拝領の鎧と法蔵の笙があるのは政策実行の障害になると考え、取上げるため隠密を放った。宗春は鯱太郎、名和三四郎をつれて料亭に遊び、銀次というスリを味方につけた。芸者お雪は、銀次を心服させた鯱太郎の男ぶりに惚れぼれした。別室では隠密頭右京と岩藤が密談中で、お雪と猿んべを使って鎧盗み出しを命じた。宗春の国入り祝の日。菊太衛門の控室に忍び込んだ隠密は彼の羅陵王の装束を身につけ、天守に上って法蔵の笙をうばったが、鯱太郎にさまたげられ笙を折って死んだ。笙の音階を調律し、秘曲を教わるため、京都八条家に鯱太郎と三四郎が出かけている留守に、岩藤一味は拝領の鎧を盗んだ。京に行った鯱太郎は八条保親に秘曲の教えをこうたが断わられ、娘の雅子姫によって、出奔中の彼女の婚約者梅渓通季に教われと教えられた。一方三四郎は笙を岩藤一味に奪われかけたが、編笠の浪人に救われる。八条家には秘曲の譜面を将軍の命令で役人が取上げにきて、鯱太郎と対立していた。保親は秘曲を鯱太郎に教えると、通季に伝言をたのんで死んだ。かけつけた三四郎を雅子は「通季様」と呼んだ。雅子と共にいる鯱太郎を見て逆上したお雪は、短銃で彼の腕を射った。鯱太郎と、笙は谷底におちた。水に流れる笙を編笠の浪人、松尾主膳がひろった。◇後編 雅子姫は、心改めた猿んべに助けられ、鯱太郎は浪人に救われた。鎧が岩藤一味の手にあると聞いた鯱太郎は、江戸隠密屋敷にこれを追った。浪人主膳は笙を売込む風を装い隠密屋敷に入って、鯱太郎の笙奪回を助けた。鯱太郎は逃れる途中巾着切り銀次にかくまわれた。三四郎実は梅渓通季に、雅子をつれた猿んべも銀次の家に集ってきた。遺言通り鯱太郎が通季に秘曲を教えている時、隠密たちが乱入し、三四郎は殺された。再び現れた主膳に笙は奪われた。将軍吉宗は鎧、笙の二品が共に手に入ったと聞き、尾張家に東照宮大祭に両品を出品するようわざと命じた。登場して吉宗を城中でなじった宗春は、乱心者として閉じこめられた。松平家上屋敷に送られる宗春を家臣と鯱太郎が奪回しようとした。吉宗は旗本八万騎を動員してこれに対せんとし、尾張家側も戦いの決意を固めた。隠密屋敷にとらわれた鯱太郎はお雪に助けられたが、お雪は死んだ。岩藤を斬って鯱太郎は脱出する。鎧を江戸城にはこんでいた隠密達は、松尾主膳にこれを奪われ、主膳は銀次の家にあった鯱太郎をも何処かへ連れさった。宗春を訪れた水戸綱条は、動乱のもとである二つの品を、家臣松尾主膳に奪わせたのは、天下の平和を願ってのことと語り、吉宗と宗春を和解させた。やがて吹上御殿で、鯱太郎と雅子の吹く笙の音が、一同の前に静かに流れた。

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