流れ星十字打ち
劇場公開日:1958年4月16日
解説
オール読物所載南条範夫の『風車十字打ち』の映画化。西村八郎が脚色、「月姫系図」の渡辺実が監督、「おけさ鴉」の今井ひろしが撮影をそれぞれ担当した。出演は「忠臣蔵(1958)」の林成年、中村玉緒、三田登喜子。それに春風すみれ、千葉敏郎、杉山昌三九など。
1958年製作/53分/日本
劇場公開日:1958年4月16日
ストーリー
三代将軍家光の頃、将軍職を継ぎ得なかった駿河大納言忠長は、大目付松平伊予と駿府城で浪人達を集め、幕府転覆の計画をねった。幕府も隠密をはなってその様子をさぐらせたが、伊賀流忍者津上国之介も老中土井利勝の命を受けて浪人新井晋平と名のり、伊予の身近につかえていた。だが、秀でた身のこなしは、伊与や鉄砲指南役剣持弥十郎、天堂兵馬の疑惑をいだかせるに十分であった。そこで伊予は、娘ふさの菩提寺参詣に供を命じ、腰元菊野をして国之介の動向をさぐらせるが、意外に早く、彼の素性は同じ伊賀流の忍者を斬ったことから露顕する。かくて伊予は、ふさを使って国之介を屋敷へ誘き寄せ、謀殺しようと計画するが、ふさはいつか国之介に想いをよせていた。一方陰謀の実態を掴んだ老中土井利勝は、将軍の内意を得て自ら駿府へ出向くことになったが、これを途中で襲おうとする忠長の計画は、駿府城にひそむ幕府の回し者、腰元あいの知るところとなった。彼女は、身を以って利勝に知らせようと城から脱出するが、兵馬の一団にかこまれる。これを防いだ覆面の武士、落した印篭から、それは剣持弥十郎のものと知れた。彼もまた国之介同様、幕府の隠密であったのだ。驚いた伊予は、御前試合の名目で、国之介と弥十郎に真剣勝負を命じる。「拙者を斬ってすべてを殿へ--」そう囁く弥十郎、遂に国之介は涙をのんで彼を倒した。殺到する伊予、兵馬の家来達、それを逃れる国之介を救おうと、一隻の小舟が彼に近づいて来る。舟上の女は国之介を愛するふさ。だが、国之介がかけるよりはやく、兵馬の剣が彼女の命を奪った。ふさの最後を見届けた国之介は、決然と兵馬一党にたち向う。