勝利者の復讐

劇場公開日:

解説

「人形佐七捕物帖 花嫁殺人魔」の金田光夫の脚本を、「童貞社員とよろめき夫人」のコンビ小森白が監督、岡戸嘉外が撮影したギャングもの。主演は「女の防波堤」の細川俊夫、小畑絹子、「女王蜂(1958)」の天知茂。ほかに沼田曜一、三田泰子、北村真知子、鮎川浩などが出演している。

1958年製作/77分/日本
原題または英題:Final Victory
劇場公開日:1958年3月5日

ストーリー

錠前破りの天才前島清一は、二年の刑を終えて府中刑務所から出て来た。幼稚園の雑役婦として子供の啓子を守る妻の房江は、下宿屋の由美子母娘の温かいもてなしの中で、夫を更生させようとし、前島も又正しく生きようと決心した。だが、職はなく、夫が前科者と知れた房江も解雇され、遂に昔の仲間森田を通じて、表面国際商事を経営するボスの深沢に紹介された。ピストルにおどかされ、やむなく宝石店襲撃の一味に加わるが、不幸逮捕される。彼の口をふさごうとして深沢は前島の妻子を誘拐し、房江は暴行された為に自らの生命を断った。かくて復讐を誓った前島は、一切を皆川警部に打明けるが、現行犯のない深沢を捕えることはできない。仮釈放された前島は、啓子を由美子にあずけ、タクシー会社の運転手となるが、深沢の手は彼の周囲にのびて来る。ピストルをもった深沢に追われる彼に、皆川警部は「現行犯で捕えるより方法がない」と嘆くのだった。いよいよ最後の手段を決意した前島は単身深沢一味のいるバーにおもむき、ピストルを身にうけて倒れた。急報によってかけつける警官隊、前島は自らの生命と引きかえに、深沢を警察の手にわたしたのであった。幸い傷は軽く、病院のベッドで、無心に遊ぶ啓子の姿を、由美子と共にながめる彼の眼に、はじめて平和の光がかがやいていた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5生きるのに不器用な男が再起を誓うもまたズブズブと犯罪に手を染めてしまい、それがやがて彼の妻子にも危険が及ぶ羽目に・・・というクライムスリラー

2022年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 天知さんはギャングのボス深沢とその一卵性双生児の弟の二役です。しかしながらその一人二役の特性を脚本が上手く生かせておらず、弟の目立った行動しては主人公の妻房江を暴行して自死させたぐらいで、その後に深沢が証拠隠滅のために彼を消してしまって以降はギャング一味と前島父子のよくある追走劇になってしまったのが非常に口惜しい…。どうせなら、

・前島と警察が協力して深沢一味に決死の罠を張る

・その罠にかかって一件落着・・・かと思いきや、一連の犯罪が深沢かもしくはその弟による犯行によることは明らかなものの、それぞれがどちらによる犯罪なのか証拠不十分で立証出来ない

・結局は二人を逮捕起訴できず、全ては深沢の計略通りに悪が悠々と逃げおおせて終幕

というように双子ゆえのアドバンテージを悪魔的に利用したピカレスクロマンに仕立てれば傑作とはならずとも秀作たり得たのではないでしょうか。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

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