その手にのるな
劇場公開日:1958年2月16日
解説
現代フランスの推理作家ジョルジュ・シメノンの原作を「オンボロ人生」の共同脚色者の一人沢村勉が脚色、「悪魔の顔」の岩間鶴夫が監督、同じく小杉正雄が撮影したスリラー・ドラマ。主演は「花嫁のおのろけ」の高橋貞二、南原伸二、「黒い花粉」の杉田弘子、小山明子、「がっちり若旦那」の渡辺文雄。ほかに桂小金治、小坂一也、関千恵子、中村是好、明石潮など。
1958年製作/94分/日本
劇場公開日:1958年2月16日
ストーリー
アパートの新築工事場でバーの女給が殺され、五万円相当在中のハンドバッグが奪われていた。捜査に当った栗林刑事の目は近くのアパートに住むキャバレーの楽士岸田良平に向けられた。彼には彼を裏切った妻を刺したという傷害罪の前科があったし、殺しの現場には彼の勤め先のマッチが落ちていたからだ。しかし警察に出頭した岸田は頑強に犯行を否定、物的証拠のないまま彼はアパートに帰った。が、これを知ったアパートの住人たちは彼を殺人犯として冷遇、あることないこと噂しあっていた。岸田は真向いのアパートに住むストリッパーの立花由美に秘かな思いを寄せていた。しかし由美には牧信二という鉛管工の恋人がいた。そしてこの牧は世間の人から信用され、殺された女給の妹、洋裁学校に行っている浅井光子を由美とともになぐさめ、はげましていた。ところが、この由美のところに、岸田が殺人の夜、工事現場で牧らしい人影を見たといって来た。それとなく由美が牧にただすと、彼ははっきり否定した。そこで由美も岸田を憎むようになった。しかし、ここに一人のバタ屋が現われた。牧が犯人だと知る唯一人の目撃者である。牧は口止め料のことからバタ屋をも殺してしまった。すべてを知った由美も、牧のたのみを断ることが出来ず、岸田を誘惑して彼の部屋に入り込み、証拠のハンドバッグをかくすのに成功した。翌日、由美との新生活を夢見て駅で待つ岸田は、彼女が現われないのでアパートに帰って来た。しかしそこにはハンドバッグを発見したアパートの住人が集っていた。建築現場に追いつめられた岸田は無実を叫びながら高い足場から転落した。その時、群衆の中から「犯人は牧よ!」という由美の叫び声がきこえた。あわてて逃げ出そうとする牧の前には栗林が立っていた。