淑女夜河を渡る

劇場公開日:

解説

小野稔の原作『名古屋の西と東』から、「こけし子守唄 夕やけ鴉」の関沢新一、「女だけの街」の内川清一郎、原作者小野稔が共同脚色した。監督は前記内川清一郎、撮影は「醉いどれ牡丹 前後篇」の谷口政勝が久々に担当した。主演は「大忠臣蔵」の大木実、高千穂ひづる、「海人舟より 禁男の砂」の泉京子、山鳩くるみ。「夜の鴎」の田崎潤、ほかに福田公子、河津清三郎、関千恵子、田中春男、殿山泰司など。すがお集団第二回作品。

1957年製作/109分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1957年8月4日

ストーリー

形身分けの二十万円を元手に一旗上げようと、漁師の次男坊飯田憲次は名古屋に故郷から出て来た。一方、木村房江は都会にあこがれて瀬戸から名古屋に出て来た。憲次はインチキ投資相談所にだまされて虎の子の二十万円を、地ゴロ須藤一家の愚連隊に捲き上げられてしまった。自棄の憲次は、誘われるが儘に彼らの仲間に落ちていった。町のボス石黒は斎藤と滝川由子らを操って、投資と社交の美名に荒稼ぎしていたが、経済界の大立物千石が有名な漁色家である事を知ると、彼の歓心を得んがため生にえにする美貌の処女を捜していた。その時、偶然千石の目に止ったのが、由子の家で女中として働いている房江である。大都会の忌わしい反面に気付いた房江が一刻も早くそんな絆から脱け出ようとした時には既に遅く、今は須藤一家の身内となった憲次のために全てを奪われてしまった。房江だけは真面目な生活をさせてやりたいと、妹同様に面倒をみていた由子が、やっと彼女をみつけた時は、ガード下に春をひさぐ夜の女になっていた。だが何かと房江を庇ってやる憲次の優しい瞳に何時しか愛の燈が灯って、二人は泥沼から足を洗う資本が出来るまではどんな苦労にも耐えてゆこう、と固く誓い合うのであった。そして由子の計らいで、二人は由子の兄の松吉にかくまって貰った。その為松吉と須藤一味の間に争が起った。妹由子の為にも、将来ある二人の為にも、少しでも役に立つのならと、昔のヤクザに還った松吉は、単身須藤一味の中へ躍り込んで行った。パトカーのサイレンを耳にしながら、松吉救援に駈けつけた憲次は、ピストルを擬した須藤に満身の力をこめてぶつかっていった。銃声が途絶えて、ムックリ起き上った憲次の手には冷い手錠がはめられていた。

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