新・己が罪
劇場公開日:1956年10月9日
解説
屈辱の傷痕を胸に秘めて茨の道を辿る薄幸の女、紅涙を誘う哀切のメロドラマ。菊池幽芳の原作八度目の再映画化。脚色は杉本彰。監督は「金語楼の雷社長」の毛利正樹、撮影は「四谷怪談(1956)」の鈴木博の担当。主な出演は「ある夜ふたたび」の乙羽信子、「鉄血の魂」の中山昭二、「勤王? 佐幕? 女人曼陀羅 (二部作)」の高田稔、「金語楼の雷社長」の江畑絢子、「君ひとすじに (完結篇)」の相馬千恵子、その他、千石規子、杉寛、小峰千代子、城実穂など。
1956年製作/92分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1956年10月9日
ストーリー
箕輪環は医学士塚口虔三と相愛の仲だった。塚口がアメリカへ留学する思い出として旅行を思い立ち、塚口の遠縁に当る小夜子と三人で出掛けたが、小夜子はその夜電報が来て帰ってしまう。それは二人が計画したワナで、塚口は許婚島子もあるという男だった。或日環は塚口に妊娠した事を告げた。驚いた塚口は小夜子と相談の上表面だけの結婚式を挙げた。一見幸福そうな家庭生活。しかし塚口のアパートを訪れた環は、島子とも同棲している事を知った。屈辱と絶望から彼女は自殺を図ったが、居合せたバーのマダム野崎歌子に助けられ、彼女の助力で出産した。その頃、国許の豪農桜戸から縁談があり、歌子は上京して来た環の父と相談し、子供は歌子の故郷房州に預けられ、環は結婚した。正弘も生まれ、彼女は幸福な日を送っていた。或る時旅行先で正弘が病気にかかり、診察を受けたのがアメリカから帰って来た塚口だった。再び迫る塚口をのがれ環は正弘の保養をかねて房州へ行った。そこで正弘は漁師の子玉太郎と仲好くなった。或る波の荒い日、正弘は波にさらわれ、それを助けようとした玉太郎をも、無情な海は奪い去る。玉太郎を育てたお作から自分の子と聞かされた環は、実の母親の愛も知らずに死んだ玉太郎の亡骸にとりすがり泣き崩れた。