兄とその妹のレビュー・感想・評価
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オリジナルの映画のレビューが書きたい
これは1939年の島津保次郎監督の作品を見てのレビューである。
なぜ?
こんな脱亜しているのにこの一年後に戦争に突入してしまったか?
それは、最後の場面だろうね。
もの凄いプロパカンダ映画である。
飛行機を使って、まるでカサブランカの最後の様に描く。実際のカサブランカはこの映画の二年後。まさか、リスペクトされているとは思えないが、飛行場での別れはこの映画の方が先。
しかし、この映画での別れは、国との別れ。大陸での新しい新天地が主人公には待っている。
つまり、「八紘一宇」である。
帝国主義とは資本主義の発展的姿である。従って、この主人公の、務める会社が戦前であってもおかしくない。そことは話がうまくいかす、新たな世界へ出ていく姿を描いている。現代の言葉で置き換えれば「グローバリズム」と言えるかもしれない。
単純に帝国主義が戦争を引き起こしたと学校では習うかもしれないが、日本は戦争にまけて、色々な人権などは取り戻す事は出来たが、世界の帝国主義からは遅れをとる事になる。まぁ、それで良かったのかもさしれない。
ここに描かれし、姿は戦前のブルジョワの華麗な生活と言った所。やっかむ会社の同僚達は「組合活動」にも見える。
怖い怖いプロパカンダ映画だが、作る演出家の技巧を感じる傑作だと思った。
世界大戦前夜、日中戦争の最中だというのに、現代のような平和なサラ...
世界大戦前夜、日中戦争の最中だというのに、現代のような平和なサラリーマン社会を描いている。ロンドンの会社にも取引があるようだし、なぜだか時代が感じられない。間宮の家は彼の妻と妹の3人暮らし。妹は外では現代的なキャリアウーマンのような雰囲気。兄に対してもはっきりモノ言う元気のいい娘。誕生会で女学校時代の友だちと歌を歌ったりするシーンで、兄嫁は一歩引いてうらやましそうに眺めている。
文子をもらいたいという重役の甥(上原謙)。オックスフォード出のやり手だ。機会をうかがい、箱根にピクニックに行って縁談をもちかけてみる。「兄が後ろ指さされるような結婚はしない」と、ちょっと考えさせてくださいと答える。そんなとき、経理部の林部長が間宮に対して「競馬狂いだということを告げ口しやがったな?」と殴り合いのケンカになる。全ては重役に取り入ってることが原因だった。しかし、他人の中傷なんてしない真っ直ぐな男である間宮。直情的に辞表を叩きつけた。殴り合いのシーンは迫力満点。本当に殴ってたように思う。
またまた就職浪人になるところだったが、保証人になってくれた知人(笠智衆)の仕事を手伝うことになった大陸へと向かう。その仕事が成功するまで妹の結婚はお預けとなった・・・
碁のシーンでは先読みの考えを映像化しているのが面白い。
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