涙の花道
劇場公開日:1956年2月19日
解説
雑誌「講談倶楽部」所載の中沢ケイ夫の小説『修羅の花道』を「若き潮」を監督した堀内真直が脚色、監督、撮影は「若き潮」の小原治夫。主なる出演者は「「少年宮本武蔵」より 晴姿稚児の剣法」の中村賀津雄、「伝七捕物帖 花嫁小判」の伊吹友木子、「大当り男一代」の山田五十鈴、「まらそん侍」の瑳峨三智子、歌舞伎の女形で中村賀津雄の実兄中村芝雀など。
1956年製作/87分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1956年2月19日
ストーリー
江戸随一の人気役者中村雪之丞は、親の仇小原玄蕃が一色内蔵介と名を変え、旗本になっていることを突きとめた。その報らせに郷里から江戸に向う弟新五郎は、雲助たちに囲まれて困っている町奴清兵衛、みち親娘を救ったことから子分大三郎の手引きで久方ぶりに兄と対面することができた。だが、一色の手先中村吉蔵が芝居見物に来ていた一色にそれを告げた。初めは仇の動静を探る手段として一色の妾八重に近づいた雪之丞は本心から彼女を愛するようになっていた。八重が茶屋で雪之丞と逢っていたのを知った一色は、八重を軟禁したうえ、ならず者に雪之丞を狙わせた。数日後、監視の眼をのがれて料亭江戸紫の女将そよを訪れた八重は、船徳に身をかくすことになった。とも知らず、八重を追って江戸紫に現れた一色は、親兄弟を一色に殺されて復讐の機を狙っている浪人新免十四郎に出逢い、激しく斬り合う折も折、新五郎と共に馴染のそよを訪れた清兵衛のため窮地に追い込まれるが、辛くものがれ去った。それ以来、一色一味が執拗に雪之丞、新五郎を襲うので、清兵衛は雪之丞をもわが家に引き取って、子分に兄弟の身を護らせることにした。そんなある日、命にかけても雪之丞に本懐をとげさせようと決意した八重は、そよの計らいで雪之丞に会うが、雪之丞は仇討をやめても八重と夫婦になるつもりだった。一色が旅に出ると知った新五郎は兄を励まし、街道の松並木で一色を討ち取った。しかし、不幸にも十四郎と大三郎は斃れ果てた。かくて雪之丞と八重は目出たく結ばれ、新五郎はいとしいみちに見送られて旅に出た。