北海の叛乱
劇場公開日:1956年1月8日
解説
木村千依男の脚本を「関の弥太ッぺ(1955)」の渡辺邦男が「たん子たん吉珍道中 (三部作)」の毛利正樹と共同監督、「森繁のデマカセ紳士」の渡辺孝が撮影を担当した。主なる出演者は「柿の木のある家」の上原謙、「息子一人に嫁八人」の藤田進、「黒帯無双」の二本柳寛、安西郷子、「姿なき目撃者」の久慈あさみ、「お嬢さん女中」の高島忠夫、久保菜穂子など。色彩はイーストマン・カラー。
1956年製作/94分/日本
原題または英題:Mutiny in the North Sea
劇場公開日:1956年1月8日
ストーリー
浪を蹴って帰港を急ぐ捕鯨船海南丸の前甲板では、川名、大山両機関士をリーダーとする組合員が賞与棚上げ反対運動の気勢をあげていた。名砲手といわれる黒田は幼いころから山本社長の世話になり、学校まで出して貰っただけに苦しい立場にあった。果して棚上げ問題の交渉は、労使双方が譲らず揉み合っている折も折、社長の令息で常務の徹が欧米視察旅行から帰ってきた。交渉が物別れとなった夜、黒田と徹は酒をくみかわしながら、常務と砲手の立場を離れ、裸の人間として協力を誓い合うのだった。まもなく、徹の設計になる新造船富士丸が完成して、海南丸の乗組員が処女出漁するが、徹と過激な川名一派との間に横たわる溝は深まるばかりだった。成果を収めて帰港した日、黒田は徹から伊東船医の娘満智子に贈り物を届けてくれと頼まれたが、その中には求婚の手紙が入れてあった。徹には駿河野会長の娘洋子という許嫁があるが、彼の心はいつか満智子に惹かれているのだった。だが、満智子は黒田を慕っていたので、徹の愛をうけることは出来ず、率直な返事を書いた。北海道の厚岸港を基地にして富士丸と大和丸は、活動を開始することになった。そして、鯨の大群を発見した富士丸は洋上に追うが、世界の労働線戦統一を夢みて日本脱出を画策する川名一派は、禁止ラインを突破しようと図った。ブリッジの徹はそれを知るや「引返せ!」と叫ぶが、川名の拳銃が背後から威嚇して、徹の口を塞いだ。険悪な事態に黒田は機関室に躍り込んでエンジンを破壊し、拳銃の乱射に屈せず大和丸に泳ぎつき、川名のボート目がけて撃鉄をひくのだった。ボートは木葉微塵に砕けたが、黒田も崩折れて絶命した。