江戸一寸の虫

劇場公開日:

解説

幕末、新徴組の結成を背景として時世を憤慨する一人の江戸ッ子侍の皮肉な行動を描く。サンデー毎日に連載された中野実の小説を「六人の暗殺者」の菊島隆三が新人大塚道夫と共同脚色し、「おしゅん捕物帖 謎の尼御殿」の滝沢英輔が監督、「大岡政談 人肌蝙蝠」の永塚一栄が撮影を担当した。主なる出演者は「自分の穴の中で」の三國連太郎、「青銅の基督」の滝沢修、「こころ」の安井昌二、新珠三千代、「下郎の首」の瑳峨三智子、「王将一代」の辰巳柳太郎など。

1955年製作/123分/日本
原題または英題:The Samurai of Edo
配給:日活
劇場公開日:1955年10月25日

ストーリー

風雲をはらむ幕末、譲夷を叫ぶ旗本侍青木彌太郎は、役人や異人と結托して金儲けに狂奔する桑名屋を襲い、奪った千両箱を手土産にして新徴組に走った。ある日、水戸藩を脱藩した熱血青年の清水清次が、根岸の寮に吉原上りの愛妾おたつと住む彌太郎を訪ね、貪欲な父上月小藤太が不浄の金を集めていると打ち明けた。その夜、上月家に忍び入った彌太郎は、清次の妹妙の度胸と美しさに心を惹かれた。その頃、江戸城では老中総評議の結末、新徴組を江戸市中の讓夷派浪士取締りに任命した。そして、隊士の屯所が捕吏に囲まれ、危地に陥った彌太郎を救ったのはおたつだった。清次が異人を斬ったといって駈け込んだ日、彌太郎は朋友山岡鉄太郎と逢った。山岡は時勢の流れを説き、徳川を亡ぼすものは讓夷論だといったが、彌太郎は山岡を徳川の提灯持ちと罵って斬りつけた。だが横紙破りの彌太郎も、山岡の敵ではなかった。その後、妙を上月家に訪ねた彌太郎は、小藤太の奸計から捕吏に捕えられた。やがて、官軍が勝って、彌太郎は恩恵で釈放された。しかし、妙がすでに人妻になっていたことが、彌太郎をどのくらい落胆させたか知れない。失意の彌太郎は山岡に出逢い、料亭につれて行かれた。おたつがそこで女中をしていた。二人の生活が始まったが、彰義隊が上野にたてこもった日、彌太郎は遺書をのこして、戦火に身を投じた。深傷に倒れた彼は、おたつの腕に抱かれながら死んでいった。

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