青春航路 海の若人
劇場公開日:1955年4月19日
解説
商船学校の生徒を書いた『平凡』連載の小説から「この世の花」の舟橋和郎が脚本を書き、「明日の幸福」の瑞穂春海が監督する。撮影は「石松と女石松」の佐藤三郎、音楽は「飛竜の門」の木下忠司の担当である。出演者は「越後獅子祭り やくざ若衆」の中村錦之助、「七変化狸御殿」の美空ひばり、「息子の縁談」の船山汎、「血槍富士」の田代百合子、「姉妹(1955)」の中原ひとみなど。
1955年製作/94分/日本
配給:東映
劇場公開日:1955年4月19日
ストーリー
山里は名船長だった亡父の遺志をついで、商船士官たるべく商船学校の学生寮に青春の日を送っていた。だが寮生活の彼の周囲は、横井や森村等一部学生の放縦な態度に気分は乱れ勝ちで、一本気な山里はそれを嫌って一時は退学しようとさえしたが、先輩の一等航海士宮崎の叱陀を受けて、積極的に学内改革に乗り出そうと決心するのであった。宮崎の妹雪枝は、兄のアメリカ土産の万年筆を山里に贈って蔭ながら励ましていた。故郷の母康子の苦労を偲び、山里は港湾倉庫の夜警のアルバイトをしていたが、ある夜酔漢田岡に追われる芸者力丸を助けてやった時、山里はその万年筆を落し、力丸の家にも何処にも見当らなかった。次の夜山里は田岡の乾分達に襲われ、止むなく力丸に介抱をうけた。扨て強力に学内革新運動に立つ山里は、横井達が例の万年筆を所持してそれを盾に力丸との関係を追求し不信任を唱えたのには困惑した。雪枝すらもそれを誤解して彼に背を向けるのであった。こういう横井達の煽動により、山里は学内で不信を招き、思わぬ事態に希望を失ない故郷へ帰った。故郷で彼を待ち設けていたものは、母の死という悲しい不幸だった。葬いを終え虚脱した山里は、雪枝がその村に彼を訪ねて来たことも知らず、商船士官への夢も捨て一介の水夫たらんと呆然と町へ帰って来た。だが偶然出会った級友福田に強いられ教官緑川の許へ来た山里は、亡き父母の真意を汲む緑川の言葉に男泣きして再び寮へ帰ることになった。やがて商船学校教課総仕上げの駿河湾横断帆走の日が来て、同じヨットに乗った横井も彼のフェアなシーマンシップに動かされた。誤解もとけて桟橋へ駆けつけた雪枝の姿も見られた。やがて卒業前の遠洋航海に乗り出す日が来た。夢中で手を振る雪枝に、希望に充ちた山里が船上から答えた。